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韓流時代劇にヒントをもらって

『善徳女王』を夢中で見ていた。新羅に実在した唯一の女王という設定に惹かれたのだ。もちろん事実そのままではないだろうが、女であるが故の艱難辛苦があったのは当然だ。その辺がとてもリアルに描かれていた。また、古代朝鮮半島に伽耶という大きな国があったことはドラマの中で伽耶出身者の苦悩が描かれていて、初めてその複雑な歴史を知った。やがて朝鮮半島全体が新羅になったことなど、とても興味を惹かれた。

埼玉に高麗(こま)神社という神社がある。朝鮮半島で高句麗と新羅の争いが起こり高句麗は滅びる。そのときに亡命してきた高句麗の若光(じゃっこう)という高貴な身分の人と民がこのあたりに住み着き、寺を建てたいわれがある。朝鮮から来た人達が神社を建てるはずがない。明治時代の廃仏毀釈で神社に名を変えさせられたのだ。

善徳女王が「必ず百済と高句麗を統一して、一つの国新羅にする」という夢を持っていたことをドラマで知り、ああ、結局女王の死後、夢が実現して半島全域が新羅になったのだなあと感動した。政治的な意味はさておき、女性の王が壮大な目標をもっていたことに感動したのだ。

高校生の時使った「世界史地図」を広げる。伽耶国は新羅になって、地図の次のページでは高句麗も新羅になっている。また、仏教伝来の図も出ているから、このころ、仏教が日本に伝来したのだなあと納得。

それにしても明治政府は歴史ある高麗人の寺を神社に変えさせるとはなんという暴虐。各地にある高麗神社は、歴史を紐解くと高句麗に由来している。ゆえに絶対に神社ではなくもともとは寺だったはず。明治政府がタリバンそこのけの暴虐政策をとったことはこのような事実からもわかる。私たちは歴史では学ばなかったが。

そんなことまで連想は広がり、源氏物語に登場する麗人(こまうど)が朝鮮半島が新羅に統一されたころの北部、元高句麗から北部の満州あたりに起こった「渤海」の人、という学説がとてもリアルに迫る。

またドラマの中では「春宮」を「トングン」と発音している。授業で「古代は多くの言葉が中国から伝わってきたので中国語読み、あるいは朝鮮半島語読み。例えば春宮はトングンと発音していた」(金田一春彦説)と教えたことが間違ってはいなかったと嬉しくなった。

韓流時代劇は私にとって、ヒントとなり、またちょっとした世界史散歩になるのだ。


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