見出し画像

2024年度に新社会人になった皆さんへ・・・私が当社の新入社員に話したこと

新年度を迎え、私たちも新たに約1,700名の新社会人の皆さんを仲間に迎えました。

年度初めの風物詩になってきましたが、今回も、私が4月1日にパナソニック ホールディングス㈱・パナソニック オペレーショナルエクセレンス㈱の合同で開催した入社式で、新入社員に話した内容を紹介します。

はじめに

新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。今年も、多くの方々をお迎えすることができ、嬉しく思います。せっかくの機会なので、パナソニックの歴史と皆さんに期待することについて話します。

皆さんが生まれたのは2000年頃。そこから70年ほど遡った1932年、松下幸之助創業者は「当社の真の使命を悟った」とし、全社員・・・当時は店員と呼んでいましたが・・・を集め、第一回創業記念式を行いました。実際の創業は1918年ですから、その14年後に真使命を悟ったことになります。

そしてその場で「精神的な安定と、物資の無尽蔵な供給が相まってはじめて人生の幸福が安定する。自分が松下電器の真使命と感得したのはこの点である」とし、それを250年かけて実現すると宣言しました。これが当社グループの「250年計画🔗」です。

以後も、創業者はそのような社会の姿を「物心一如の繁栄」と表現し、その理想の社会の実現を追求しました。私たちの諸先輩方も、事業を通じて、その時代における社会課題の解決と人々の幸せのために働き、「お役立ち」を果たしてきました。

皆さんが入社したパナソニックという会社は、そういう会社なのだということを改めて心に刻んでいただきたいと思います。

グループが目指す姿

250年計画の最終年は、いまから158年後の2182年。

私たちは、いまを生きる私たちの幸せを犠牲にせず、2182年に生きる私たちの子孫が、いま以上に、いまより遥かに安全で安心で健康で、精神的にもモノ(物質)の面でも満たされた日々が過ごせる・・・そういう物心一如の繁栄に満ちた社会を実現しなければなりません。

そう考えると、居ても立ってもいられなくなる喫緊の課題が地球環境問題。世界各地で起きる猛烈な熱波、大規模な干ばつや森林火災。日本でも集中豪雨・ゲリラ豪雨などによる水害が多発しています。このまま地球温暖化が進めば、「安全・安心」どころの話ではありません。

その危機感から私たちが取り組んでいるのが、事業を通じた地球環境問題解決です。長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT🔗」を掲げてさまざまな取り組みを進めています。パナソニックグループの一員になった皆さんには、いま一度、このことについて「自分の使命」のひとつとして認識をしていただきたいと思います。

失敗を恐れず挑戦する

2182年の物心一如の繁栄の実現に向けて当社が力強くお役立ちし続けるには、社会課題を先取りして、すなわち未来の社会やお客様の変化を先取りして、そこでお役立ちできる商品やソリューションを打ち出し続けなければなりません。しかし、未来の社会やお客様の変化は顕在化していれば先取りなどできないわけで、顕在化していない変化を先取りするには仮説を立てるしかありません。

仮説は当然間違うこともあります。しかし、間違っていれば修正すれば良いのです。仮説が正しいかどうかは、やってみなければわかりません。だから、早く失敗して、早く間違いに気づき、次のステップに進んでいくことが重要です。

失敗するスピードを上げることが成功への近道と考え、ぜひ失敗を恐れずチャレンジしてください。ただし、失敗したからにはただでは起きない。失敗の原因、間違いがどこにあったのかをしっかり見極めて、成功への確度を上げていくことを心がけてください。

大切にしてほしい考え方

ここからは、パナソニックグループで活躍する皆さんに大切にしていただきたいことを2点話します。

1つ目は、「社員稼業」の実践です。社員一人ひとりが自分の仕事を、あたかも自営業者のように「稼業=稼ぐ業」として取り組むということです。

パナソニックグループの経営は、事業の責任者だけが行うのではありません。社員一人ひとりが、自らの仕事の責任者、経営者であり、自分に課せられた仕事の全責任を負っていると考える。全能力を傾けて創意工夫をこらし、より良い方法や手段を生み出して積極果敢に挑戦し、より大きな成果をあげる。これが「社員稼業」の考え方の基本です。

この社員稼業を実践するための行動指針が、11項目からなるPanasonic Leadership Principles(PLP)🔗です。パナソニックグループの社員は誰もが自らがリーダーであるという意識も持ってもらわないといけない。

そして11項目あるPLPの一番目にあるのは「お客様起点で考える」です。一番目にあるということは、最も大事にして欲しいからです。お客さまに心から喜んでいただく。その一心で仕事に臨めば、その仕事にやりがいを感じるし、実際に喜んでいただければ「苦労してやってきて良かった」と思えるものです。

私も皆さんと同様、事業部門ではなく当時の本社R&D(技術部門)に配属されました。皆さんが生まれた2000年頃は、テレビ放送がアナログからデジタルに変わり、「dボタン」で利用できるデータ放送サービスが導入されました。私は入社して10年近くその領域の研究開発をし、1998年頃から日本のBSデジタル放送開始に向けて、業界の中での方式の規格化と当社のデジタル受信機の開発を担当していました。当時は課長ぐらいのポジションでしたが、これが商品化されて店頭に並んだ時に、お客様が「こんなことが出来るのか」とビックリされたのを見て嬉し涙がでたことを今でも思い出します。この経験は、放送のデジタル化という業界の大きな変化に相当のポジションで携わらせていただいた恵まれていた状況もありますが、皆さんにも是非、自分の開発成果でお客様に心から喜んでいただくような経験をしていただきたいと思います。

すべての仕事には誰か「お客様」がいます。その誰かは社外の誰かかもしれないし、社内の誰かかもしれない。いずれにせよ、今からの皆さんの仕事は、「誰かのためにやるもの」です。自分がやりたいからやるのではありません。その「誰か」のことを思い、「誰か」に喜んでもらえるように創意工夫をする。仮に今後、皆さんが職場で仕事を与えられ、「誰のためにやっているのかよくわからない仕事だな」と感じたら、すぐに上司とよく議論してください。

誰のためにやっているのかわからない作業は、十中八九価値を生んでいないものであり、実際に価値を生んでいないのならば会社の中にあってはならないのです。

2点目は、「皆さんのポテンシャルを最大限発揮する」ことです。

皆さんは、社会人として「こういう場所で新しい価値を生み出したい」「こういう成長を遂げたい」などさまざまな期待を抱き、当社に入社していただいたことでしょう。その皆さんが持つ無限の能力を、最大限に発揮していただきたい。

いま、パナソニックに必要なのは革新です。そしてその革新はまだ道半ばです。長い歴史を持つ会社には、いまの時代には必要ないルールや既成概念がたくさん残っています。ひょっとしたら、皆さんの上司から「(旧態依然とした)このルールに従ってやってください」と指示されるかもしれません。

しかし、それが価値を生まない、あるいは非効率なやり方と感じた場合、怖がらず、遠慮せず声を上げて欲しい。「これが我々のやり方だ」「昔からそうやってきた」という既成概念をぶち壊す。ぶち壊して、一人ひとりがポテンシャルを150%も200%も発揮する。社員一人ひとりのポテンシャルをUNLOCKするのが今年のテーマ🔗でもあります。

皆さんが持つ新鮮な視点やアイデア、あるいはそれに基づく積極的な行動や挑戦が、グループの革新を加速する原動力になることを期待しています。職場に残る過去からの慣習や上司への行き過ぎた気遣いを含め、革新を妨げるものに縛られる必要はまったくありません。

そうしたものに困ることがあれば、すぐに上司や先輩に相談する、それでもダメなら私に直接言ってきてください。

この会社の過去にとらわれない新たな視点を持つ皆さんが、一人ひとりのポテンシャルをUNLOCKする。それがグループ全体のポテンシャルをUNLOCKする大きな力になることを期待しています。


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!