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漫画から考える「いじめ」

今日は漫画を紹介しながら、「いじめ」について考えてみます。
こんにちは!くつばこくつばこ+のせんです。妹の定期演奏会を見てきました。ひとつの舞台を大人数で作り上げるって、やっぱりいいなあと思います。

☆羊の目。さん

今日は、漫画家・イラストレーターの、羊の目。さんの作品『アウトサイダーズ』を紹介します。みなさん、羊の目。さんを知っていますか?TwitterやInstagramで短編・長編漫画を投稿していて、書籍も4冊出しています。話の舞台は学校が多くて、友情や恋愛、些細な日常の1コマなど、いわゆる「青春」と言われるストーリーが多いです。ほんわかした話もあれば、現代社会の問題へ鋭いメッセージを伝える話もあります。
最近、「鮮やかな言葉」「耳の聞こえない女の子と音楽」など、手話を題材にした漫画が投稿されました。ほっこり、そしてハッとさせられる作品だったので、よかったら読んでみてください。

☆『アウトサイダーズ』

さて今回紹介するのは、最近書籍化したばかりの、『アウトサイダーズ』
アウトサイダーズの意味は、“はみ出し者”。日常生活を送る中で、居場所がないと感じている人たちがたくさん出てきます。それぞれの話はサクッと終わってしまうのですが、セリフのひとつひとつに重みがあって、この1冊にたくさんのメッセージが込められています。
せんに刺さったのは、「いじめなんてありません。あるのは犯罪です。」という言葉。これは、主人公がクラスメイトからいじめられていることをある先生に打ち明けて、その先生が上の先生に伝えた言葉です。
「いじめは犯罪」スローガンとしてはよく聞きますが、一体どのくらいの人がこの言葉を実感としてもっているでしょうか?

☆「いじめ」という言葉

2011年に起きた、大津市のいじめによる自殺事件、みなさんご存知ですか?いじめの存在や対応等を、学校と教育委員会が隠蔽したことが大きく報道され、世間に衝撃を与えたそうです。この事件を受けて「いじめ防止対策推進法」が作成され、いじめに対する見方に変化をもたらした、大きな事件です。
この報道を聞いた人の中に、「いじめで死んでしまうなんて」という感想を持った人がいたそうです。それまでいじめによる自殺が大きく報道されたことがなく、結びつかなかったのかもしれません。でもこの感想こそ、「いじめは犯罪」の実感がない故のものだと思います。いじめには様々な種類があります。最初は無視やからかいから始まり、エスカレートすると暴行、恐喝、窃盗など。この域になったら完全に犯罪です。SNSがコミュニケーションの主流になった現代では、表に出てきづらいいじめもたくさんあります。でも、どの方法にも共通するのは、「お遊び感覚で、人の尊厳を踏みにじっている」ということ。
「いじめ」というのは、顔や素性を互いに知った集団で起こるもので、道端ですれ違った見知らぬ人に突然殴られたら、それはいじめとはいいませんよね。これはれっきとした犯罪です。でも同じように人に殴られたとしても、「いじめ」とされてしまえば相手へ注意喚起がされるだけで、よほど残虐なことをしない限り出席停止や逮捕まではいきません。「犯罪者」が野放しにされ、「次は何をされるのだろうか」と怯えながら、また同じ空間で生きなければいけないんです。

☆学校という塀の中

アウトサイダーズの話は、学校でのいじめでした。学校は閉鎖的になりやすいところです。だからエスカレートもしやすい。周りにいる生徒が止められたら良いですが、この力は様々な条件が整わないと発揮されにくいと思います。なので、教師が最後の砦でいなくちゃいけない。生徒のいざこざに気づこうとすること、気づいていないふりをしないこと。そして、受け取ったSOSを潰さないこと。「どうせ大人に言ったって何も解決しない」と諦める子を、一人でも減らせたらと思います。

いろんなことを長々と書いてしまいました。欧米の一部では、いじめている方にカウンセリングを受けさせるそうです。誰かをいじめていないとやっていられないほど、病んでいる。その理由を探していじめをせずに済むようにしようという考え方です。日本もこの考え方になったら、今よりも救われる人は増えるのでしょうか…。

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