「住んでみてビックリした本当のフィンランド」~十字軍とかノブゴロドとかカルマル同盟とか・概説フィンランド史(2)~ 靴家さちこ

前号にも書いたが、世界史なら苦手だ。数字音痴が年号を頭に叩き込み、方向音痴が地図の中に迷い込み、戦で何度も変わる国境を必死で追ってみても全体像はつかみにくい。会ったこともない昔の偉人たちの長たらしい名前は「テストに出たら怖いぞ」と恐怖心をあおるだけで、なかなか親しみがもてない。

それでもいざ外国に住むとなれば、歴史ほどその国の人の国民性を探るうえで手がかりになるものはない。ノキア・ジャパンで数年働きフィンランド人と接しただけでも、「もとはスウェーデンの支配下にあった」「ロシアにも支配されていた時代がある」といった基本情報が耳に入り、それを通してフィンランド人が持つスウェーデン・コンプレックスやロシア嫌いを目の当たりにするのは面白いことだと思っていた。

さらにヴァイキングに関してもフィンランドは微妙だ。西暦800年頃からスウェーデン人ヴァイキングはフィンランド本土にも立ち寄っているが、当時はまだフィンランド人という定義も確立されていなかったので、昔のフィンランド人がヴァイキングで活躍したという言い方はできない。なので「北欧といえばヴァイキングですね」と歴史ファンの人が話をふっても、フィンランド人の反応は薄い。

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