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手がかかる子は愛おしい ~ジップロックで梅干し作り 後編~

梅の実をジップロックに入れて漬け込んだ前編の続き。

明けない夜はない。
止まない雨はない。
わかってはいるものの、7月の土用が過ぎても雨が続き、いつまで経っても梅雨が明ける気配がなくやきもき。

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漬けている梅ちゃんから出た梅酢はたぷんたぷんしていて、もうぼちぼち天日干ししたい頃合いだな……と思っていたら、ジップロックに別段穴があいている様子がないのに梅酢が漏れ出てくるなんてことも。
梅から出たガスが充満してジップロックの口をあけてしまったか、それとも袋が酸と塩っ気に負けたのか。
そうなったら慌てず、周りを拭いて口を閉めなおして、新しいジップロックに入れて。

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そんなこんなでやきもきしながら寝かせている梅ちゃんの様子を見つつ梅雨明けを待っていたら、8月に入った途端に雨雲がスポンと抜けました!
梅雨明けおめでとう!

ちょうど二の丑である8月2日、ついに土用干し開始です。

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干し網に梅干しを並べて、日なたに干すべし。
今年は漬けている間に皮が破けちゃったものが多かったね……
そのままだと網にひっつきがちなので、干しはじめて小一時間ほど経ったら、梅を転がしてあげましょう。
でもいきなり強烈な真夏の太陽がやってきて、小一時間でもどうしてもひっついてしまい、無事だった精鋭も皮が破け……。
ま、でも売り物ではなく食べるのは自分だけ(家族や親しい友人にはきれいなのをあげる)だから、マイベンライ。

様子を見て転がしながら干すこと三日。
干すべし干すべし干すべし。

三日目には梅ちゃんは名探偵ピカチュウばりにしわしわぁとなっており、消毒した保存瓶に迎え入れます。

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初回のおととしと昨年は、一日目昼間干した後に再び梅酢に戻し、二日目・三日目は干していましたが、今年は三日間干したらどうなるだろうと思い干しっぱなしに。
やはり去年のと比べると、一層ピタッとしわしわしているようです。

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こちらは去年のもの(漬けてから1年)。去年は梅が豊作だった。

そして今度は寝かして熟成させるターン。
干したての梅ちゃんを入れた瓶を暗所に置き、できれば半年……少なくとも3ヶ月以上は寝かせます。
干してすぐは塩気が立って、塩辛い梅干しが好きな私でもどうにもしょっぱすぎる。それが寝かせるうちに塩気が段々と落ち着いてきて、梅干しらしいきゅっとした酸味とねっとり感が出てきます。
梅干しをよく食べるのと周囲にあげるのとで大体1年でなくなってしまい、寝かせれば寝かせるほどいい梅干しになるとは聞きますが、確かめられていません汗

干した際に網にひっついて剥がれた皮をちょびっと食べてみると、田舎の梅干しらしい梅の香りとお日さまの匂いが合わさり、何とも豊かな気持ちに。
実際問題、自分の家で採れた梅(害虫を摘まんで取るくらいで、基本放ったらかし)と塩(と消毒に使うウォッカなどのアルコール)だけで漬けて、保存料も何も使っておらず、贅沢には違いないです。

私が梅干しを自分で漬けるようになったのは、自分の家の庭に梅の木があるからの他、田舎漬けのようなきゅっと酸っぱくてしょっぱい梅干しが好きなのに店頭に並んでいるのは減塩や蜂蜜漬けのものばかりで、なかなか好みの梅干しと出会えず、出会っても結構お値段が張るからというのがあります。
なんだかスーパーで売っている梅干しって、口に合わないんですよね。
特に、塩分5~8%といった減塩のものなのに冷蔵ではなく棚に陳列されているやつ。
塩分が20%も入っていると、常温のままでも長期保存がきくんです。塩分濃度が薄まるにつれ保存力が弱まり、塩分5~8%では常温で放置できないはず。

つまり、合成保存料が使われているということです。

その他にも酸味料、化学調味料、ステビアなどの甘味料などの人工調味料が。
もちろんこのご時世人工調味料を完全排除して生活することはできないけど、棚に陳列されていた梅干しの場合はいつまでも舌に残る変な甘さと薬っぽさが許容値を超えていました。全く梅干しらしくない味。
カリカリ梅のジャンキー感は好きですが、それでも中には受け付けないものもあります。
近所のスーパーでは好きな昔ながらの梅干しが手に入らず、そう頻繁に直売所に行けず、そうなったら自分で作るのは自然な流れでしょう。
家の梅だから、土地のものをいただく身土不二の考えにも沿っているし。ある意味一番の産直。

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とはいっても塩分濃度20%じゃ塩辛すぎるという場合は、塩抜きをしてみてはどうでしょう。器に水を張ってちょびっと塩を入れて(真水だと塩が抜けにくいんですってよ)、そこに塩分濃度20%の梅干しを入れて半日~丸一日(途中で水を交換した方がいいかも)。塩気が抜けたら水気を切って軽く干し、冷蔵庫で保存。塩抜きした梅干しを蜂蜜に漬ければ、蜂蜜梅に。

梅を漬けている間に出た梅酢も、大切な副産物。
もちろん梅酢も買おうと思えば買えるけど、好みの味なのは梅酢も一緒でして。
お酢の代わりにあれこれ使える上に味がパッと決まって、結構重宝しています。
うちでよくやるのは、梅酢を使ったドレッシングと梅酢ごはん。
ドレッシングは適当です。昆布茶や中華だしの素をお湯で溶いて、そこに梅酢、めんつゆ、好みで砂糖や蜂蜜(私は入れない)、豆板醤やおろし生姜を入れてオリーブオイルやごま油を垂らせばOK。何なら梅酢にオリーブオイルだけでも十分ドレッシングになると思います。

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梅酢ごはんは、気持ち固めに炊いたごはんにひとかけするだけ。そこにシラス、刻んだ大葉、白ごまをたっぷり混ぜるのが好き。おにぎりにしても良し。さっぱりシャッキリして、夏バテ気味でも入りやすいです。

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買ってくるのは時間が節約でき簡単だけど、もし余裕があったり好奇心がわいたりしたら自分で作ってみるというのも大切だと思います。どんな工程で作るか。どんなに手間がかかり心配するか。売っているものと味の違いはどうか。体験を通して気付くことがある。
梅干し作りは手と時間がかかるけど、放置して寝かせるのが大半だし、なんたって愛おしい。ごはんが楽しみになる。

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漬けてから1週間ほどもすると、梅干しから蜜が。梅干しは漬かったり干されたりしながら呼吸し成長する、生き物のようです。
かわいい梅ちゃん。美味しく育て。

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今日も美味しくいただきます。

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