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落語日記 着実に主任興行を重ねる馬治師匠

鈴本演芸場 5月中席昼の部 金原亭馬治主任興行
5月14日
馬治師匠の久々の主任興行に訪問。前回の主任興行は、同じ鈴本演芸場で昨年2月上席昼の部だったので、1年3ヶ月ぶりとなる。
昼の部なので、平日は訪問できず、他の予定もあって、日曜日のこの日のみしか行けなかった。馬治ファンとしては、いささか残念。この日は、馬治ファンのいつものメンバーも参加していたが、他の落語ファンで見知ったお顔はいない。寄席ファン、鈴本ファン、新規の入場者が多いような印象。
この主任興行の顔付けは、師匠の馬生師匠をはじめ、馬生一門の弟弟子の皆さんが交替で出演、さながら一門会のような雰囲気で主任をアシストしている。

柳家しろ八「道灌」
前座は、柳家小八師匠の弟子。師匠に似てお声が良い。

金原亭馬久「子ほめ」
短縮版のような印象。後半登場する子供を褒める台詞が突然登場。

アサダ二世 奇術
この日は、意外とちゃんとやっていない。

五明楼玉の輔「宗論」
神戸から来たディオール神父、クリスチャン~。馬鹿々々しさ爆発。

金原亭馬玉「紙入れ」
弟弟子が丁寧な一席でアシスト。長屋の角の豆腐屋の女房の間男の小噺も丁寧な一席になっている。久々にお聴きしたが、ますます師匠に似てきた。

ホンキートンク 漫才
新生コンビとしてのネタも固まってきたようだ。遊次さんが大汗かいての熱演。

柳家小ゑん「ミステリーな午後」
初めて聴く新作。職場の昼食休憩の風景を面白く描く。主役の鈴木係長のせこい行動が騒動を巻き起こす。とき顔を出す駄洒落のオンパレードが可笑しい。

橘家圓太郎「祇園会」
京都弁が上手い。江戸っ子と京男の対話、方言だけでなく二人の性格の違いを見事に描く。中手が入ったように、祭囃子を口で演じる場面が秀逸。

柳家小菊 粋曲
相変わらずの艶やかさ。文字通り寄席の彩り。

古今亭菊丸「ちりとてちん」
今や古今亭の重鎮。噺本来の可笑しさを伝える見事な技量。お世辞上手の男の何気ない一言が可笑しい。

仲入り

すず風にゃん子・金魚 漫才
コロナ禍が治まりつつあり、二人の漫才にとっては、より客席との距離感が縮まっていて良い効果。

柳家はん治「ぼやき居酒屋」
はん治師匠の芸風といっていいボヤキ節。この日も期待に応えるボヤキ節が炸裂。

金原亭馬生「稽古屋」
膝前は、師匠が個性を発揮された見事な高座で、弟子の主任興行を盛り上げる。演目も音曲入りの十八番。稽古屋の師匠が相変わらず色っぽい。

ストレート松浦 ジャグリング
膝替わりは、珍しく曲芸。見事な技の連発。

金原亭馬治「笠碁」
この日の馬治師匠の演目は、得意中の得意の噺、十八番と呼んでも良い噺。馬治師匠が掛け続けてきた、まるで盟友のような演目。
熟年男性二人の友情を描く噺。二人を見続けてきた馬治師匠が見せる友情は、二人を見続けてきた観客には、年月を重ねると共に深まってきているように思える。
子供のような無邪気さがあふれる喧嘩。屁理屈の馬鹿々々しさは言ってる方も言われている方も承知の上、そんな感じ。喧嘩自体が友情の証し。人間、たまには感情を爆発させてガス抜きすることも大切なことかも、そうも思わせる一席だった。

ネットに上がっていたこの主任興行の演目は以下のとおり。ここにも記録に残しておきたい。
初日 11日 お見立て
2日 12日 井戸の茶碗
3日 13日 × 休席(とっこめ寄席で馬生一門は鹿芝居に出演)代演 古今亭菊丸師匠
4日 14日 笠碁
5日 15日 × 鈴本休業日
6日 16日 幾代餅
7日 17日 景清
8日 18日 らくだ
9日 19日 文七元結
楽日 20日 棒鱈
このラインアップを見ると、現時点での馬治師匠の得意な演目の上位が並んでいると思われる。文七元結は冬の噺だが、師匠の好みの噺であることが感じられる。

参考までに、前回(昨年2月)主任興行の演目は下記のとおり。
初日 幾代餅
2日 井戸の茶碗
3日 芝浜
4日 笠碁
5日 文七元結
6日 景清
7日 定休日
8日 お見立て
9日 らくだ
10日 柳田格之進
今回の演目と共通のものも多い。将来の十八番となる新たな演目への挑戦を今後の馬治師匠に期待しつつ、これからも応援していきたい。


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