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【読む】世界の紙を巡る旅

今日は最近読んだ本をご紹介しますー!

旅日記のようなzineを作ろうとしているので、そういう意味でも参考になりましたし、なにより想いが一冊に表現されているとても素敵な本です。

世界の紙を巡る旅 / 浪江由唯(烽火書房)

書店には表紙の色が何種類もある本書が並んでいて、さらによく見ると均一に印刷されたものではなくそれぞれが個性の違いがありました。

表紙はネパールの手漉き紙・ロクタペーパーに著者自らシルクスクリーンで一冊一冊印刷しているそうです。

指で触れるとサラサラしていてゴツゴツして、あたたかみもある。不思議な感覚。きっと「手仕事」だからなし得ることでしょう。本づくりはものづくり。

紙への愛を感じる一冊

この手の込んだ表紙こそ、本書のテーマを表現しているのです。

筆者の浪江さんは新卒で入社した会社を退職して「紙」をテーマに世界一周の旅に出ます。2016年に訪れたネパールで「世界には見たこともない紙があること」に衝撃を受け、いつか世界の紙を探し求める旅をしたいと思ったそう(ちなみに本書の表紙もネパールの紙ですね)。

旅は303日間に及びます。

タイ、カナダ、アメリカ、メキシコ、リトアニア、ラトビア、エストニア、ドイツ、デンマーク、イギリス、インド、ネパール、ベトナム、ラオス、韓国…

世界中の街を歩き、紙に出逢い、発見して集めていく旅。

旅日記のように当時の感情も含めて書かれているパートに加えて、工房や紙や街並みの写真もたっぷり掲載されていて旅行気分も味わえるのが嬉しい。さらにさらに、本文の紙も国ごとに手触りが違うので、きっと何種類もの紙を使っているようです(凄いこだわり…!)。

まさに「紙を巡る旅」を体現した一冊の本。

メキシコの繊維を叩いて作られる「アマテ」という紙。種が埋め込まれていて土に詰めると芽が出る活版印刷物。インドのサリーの装飾技法として使われる木のハンコを何度も重ねて捺す「木版印刷」。

ほんとうに世界にはいろんな紙があることを知りました。

植物から取り出した繊維を水中で絡ませて掬い取ることで紙は作られるので「繊維さえあれば、どんな植物でも紙にできます」とは本書の中の言葉。とすれば、多様な植物が覆うこの惑星に、多様な紙が生まれ、その街の人々の暮らしを彩っていたとしてもなんら不思議ではなかったようです。

そして旅日記としても「あぁいいなぁ」と思ったポイントが何度も。

私も学生時代に世界一周の旅をしているので、勝手に自分の旅とも重ねてしまった部分もあるかもしれないのですが。

例えば、人との出逢い、「こうありたい」という思い、気づきと発見、決意表明。

ここはスラスラ書けたんだろうなぁというところが何となくわかって、そういう部分は静かな熱を帯びていて特に素敵な文章でした。

旅日記として読んでも、いまのzineづくりにとって学びが多かったです。

気になる方はぜひ手にとってみてください。比喩的な意味ではなく本書に関してはほんとに「手にとる」ことをおすすめします!

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1冊ができるまで日記 : 21/04/04

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