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コロナ禍在宅看取り6(乳がん再発、胆管炎発症)

再発が確認されてからは、また標準治療を一から始めることになっていくのですが
一度使用して効かなくなった抗がん剤を、もう一度一から使ったところで
やはり気休めでしかなく、がん細胞を抑えておける時間も
最初に比べたらさらに短くなっていきます。

ここからは治癒に向けた治療ではなく【延命】治療と言うことになってきます。

主治医からはそのように伝えられていたと思いますが
母がまだ元気だったこともあって
本当に本当に私たちにとって「死」というものは遠いところにありました。

二度目の抗がん剤治療を始めて間もなく
治療クールを満了することなく腫瘍マーカーが上昇し
最後の砦でもあった飲む抗がん剤TS1へ移行しました。

副作用も少なく、初めからこれで治療したかったと言う母。
腫瘍マーカーもほどほど落ち着いていました。

そんな矢先今度は胆管炎を発症。
がんが見つかった検査で胆石も見つかっていましたが
命に関わる病気の治療が優先とうことで症状が出るまで要観察状態でした。

その日は丸山ワクチンの日で私の運転する車で
かかりつけの内科の先生のところに向かっている途中でした。
突然痛みを訴え出したかと思うと病院について間も無くなく
物凄い激痛に悶える母。
状況がわからないためこのまま死ぬんじゃなかと私も慌てました。
かかりつけの先生が救急車を呼んでくださり緊急搬送となりました。

やっと副作用も治療方針も固まって落ち着いていたばかりでの別の病気発症。

治療方針はやはりがんが優先のため症状が改善したら要観察でとの結果でした。
ただ母本人は、またこんな痛みがいつ来るのかわからない状況で生活したくない。
だから手術できないかと先生にお願いしていました。

気持ちはわかるが手術をしたら抗がん剤を中断しなければならず
その間に抑えられているがん細胞が爆発的に増えて
薬を再開してももう効かないかもしれないことなど説明を受けました。
それでも母の気持ちは変わらず、私たちも何度か話し合いをしましたが
本人が苦しいと言っているので強く止めることもできませんでした。

胆管炎の手術は無事に終わったのですが
やはりこの間に腫瘍マーカーは上がりTS1を再開することはできませんでした。

胆管炎の手術をせずTS1を飲み続けたらもう少し長生きすることができたのか
それは誰にもわからないし、母も後悔がなかったのかはわかりません。

でも一つ一つの選択が確実に人の人生をつくっているのだと
強く実感した出来事になりました。