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「岩崎家のお雛さま」

 3月3日は桃の節句。お雛さまを飾る女の子のお祭りだ。
 昔と比べると、特に都会では手狭な家が多く、お雛さまを揃えて飾ることが難しくなったといい、そのため簡易型の人形の用意もあるという。
 だが、お祝いはお祝いだ。スーパーなどでは数週間前から雛あられ、菱餅などが売り出され、食卓にはお寿司やハマグリの吸い物などが並ぶ。
 そんな中、由緒正しき家に伝わって来た由緒正しきお雛さまってどういうものかを見ることが出来る展覧会が開催中だ。
 「岩崎家のお雛さま」が静嘉堂@丸の内(東京都千代田区丸の内2-1-1明治生命館1階)で2024年3月31日(日)まで開かれており、旧三菱財閥の4代目・岩崎小弥太(1879-1945)が夫人のために特別に注文したひな人形など、45作品が展示されている。
 小弥太が京都の人形司・丸平大木人形店(丸平)であつらえた「岩崎家雛人形」の内裏雛は、白くつややかな丸い顔が愛らしい稚児雛だ。

 岩崎家雛人形のうち内裏雛
 岩崎家雛人形のうち五人囃子
岩崎家雛人形のうち仕丁

 その雛人形は小弥太の麻布鳥居坂の邸宅で大切に飾られたが、それらは戦後になって幾方面にか散逸してしまった。
 それを偶然目にした京都福知山の人形愛好家・桐村喜世美氏が、出会うたびに手をつくして雛段飾りの人形15体すべてと雛道具の多くを蒐集し、自宅で大切にしながら一般公開もしていた。
 2011年、岩崎家ゆかりの静嘉堂文庫美術館での展覧会のため、桐村氏によって貸与を受けた。それが縁となって、静嘉堂は岩崎小弥太夫妻の雛人形を、ほかの桐村家人形コレクションとともに、寄贈されたのだ。
 また、小弥太の還暦祝いに作られた木彫彩色御所人形58点が面白い。木彫りの体躯に胡粉塗りと彩色がなされた、七福神と童子たちの総勢58点の多くが、小弥太が卯年生まれであることから、兎の兜を被っている。

木彫彩色御所人形(総勢58点)のうち「鯛車曳」 
木彫彩色御所人形(総勢58点)のうち「宝船曳」 

 開館時間は午前10時から午後5時(毎週土曜日は午後6時まで、第4水曜日は午後8時まで)。入館は閉館の30分前まで。
 休館日は月曜日。ただし、3月4日(月)はトークフリーデーとして開館。入館料は一般1500円、大高生1000円、中学生以下無料。
 問い合わせは050-5541-8600(ハローダイヤル)まで。静嘉堂の公式ページは https://www.seikado.or.jp


 
 
 

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