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加藤登紀子の詩集

 歌手・加藤登紀子さんの詩集「美しき20歳」が発売中だ。デビューしてから今日までの登紀子さんの心の道程が順を追って辿れる。
 成人した時、登紀子さんは家族に向かって宣言した。夜12時前には帰らない etc. 登紀子さんに言わせるとそれはそれで大変だったとか。
 何にも支配されずに生きていくために、歌手の道を選んだという。
 その原点が今でも生きていることが、この詩集の今日編ともいえる10章「はてなき大地の上に」の作品からよく分かる。
 一貫した志がこの詩集の60年を文字通り貫き、鋼のようにたくましく、でも自由な風のように柔軟で優しく。
 登紀子さんの詩は「ノンフィクション」だといわれたそうだ。
 自分の身に起きたこと、思ったこと、感じたことしか書けない。
 ファンタジーの世界に遊べば遊べるのだろう。しかし、そうしない。
 若い時の恋愛を綴った作品にはどきっとさせられるかもしれない。


 今、世界の平穏を願う気持ちには魂を震えさせられる。
 素晴らしい詩集だ。
 春陽堂書店から。税抜き2200円。

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