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石岡瑛子 I デザイン

 広告をはじめ、舞台美術、衣装デザインなど多岐にわたる分野で世界的に活躍したデザイナー・石岡瑛子(1938-2012)。没後10年を経て国内外から改めて石岡の仕事の数々に注目が集まっている。
 その石岡の、キャリア初期における資生堂やセンセーションを巻き起こしたPARCOの代表作をはじめ、東京を拠点にしていた1960-80年代の仕事を中心に、アートディレクターとして采配を振るったポスターやCM、グラフィックアートからスケッチまで、約500点が一挙公開される。
 展覧会「石岡瑛子 I デザイン」が2024年4月27日(土)より7月7日(日)まで茨城県近代美術館(茨城県水戸市千波町東久保666-1)で開催される。彼女が表現者として生涯にわたって磨き抜いた「I=私」、そして彼女の世界を浮き彫りにし、体感出来る機会だ。

石岡瑛子 ⓒKazumi Kurigami 1983 



 この展覧会は全5幕から成る。
〇1幕「知性と品性、感性を磨くー資生堂デビューと新しい女性像の創造ー」ー東京藝術大学を卒業した石岡瑛子は資生堂宣伝部に就職し、デザイナーとしてのキャリアをスタートする。男性の「愛玩物」としての女性像に疑問を抱いた瑛子は、サマーキャンペーンで、当時の広告で主流だった人形のような美人のイメージを覆す、健康的で意志的な女性像を打ち出すなど、新しい価値観を提示した。

「太陽に愛されよう 資生堂ビューティケイク」資生堂ポスター (1966)


〇2幕「あの頃、街は劇場だったー1970’s 渋谷とパルコ、広告の時代ー」ー1970年にフリーランスとなった瑛子は、1973年に渋谷パルコが開業するとメインのキャンペーンを総括し、「新しい時代」の象徴としてのパルコのブランドイメージを築く上で中心的な役割をになっていく。PARCOの一連のキャンペーンでは、性や国境、人種の枠組みを打破すべく、強烈なメッセージとともに型破りな表現を展開ーー「女たちよ、大志を抱け!」「鶯は誰にも媚びずホーホケキョ」「裸を見るな。裸になれ。」「諸君、女のためにもっと美しくなろう」。

「鶯は誰にも媚びずホーホケキョ」PARCOポスター(1976) 
「あゝ原点。」PARCOポスター(1977) 
「西洋は東洋を着こなせるか」PARCOポスター(1979)


〇3幕「着地は情熱的であらねばならないー裸のアートワークに映る私ー」ーここでは、学生時代に作った絵本や東京藝術大学時代の裸体デッサン、新人デザイナーの登竜門・日宣美の出品作やギャラリーの企画展作品など、広告以外の仕事を取り上げる。
〇4幕「本も雑誌もキャンバスであるー肉体としてのブックデザインー」ーフリーランスになって以降、瑛子が力を入れていた領域がブックデザイン。表紙やカバーといった「衣」だけではなく、紙質やサイズ、文字組みなどのボディ(本体)はもちろん、時に骨格たる企画、内容にまで関わった。まさに「肉体」としてのブックデザインだった。そして、瑛子にとっての究極のブックデザインは、自身の作品集『Eiko by Eiko』だった。同書は日米同時出版され、ジャズの帝王マイルス・デイヴィスやスティーヴ・ジョブズ(アップル創業者)など多くのアーティストや経営者のハートをとらえ、瑛子の米国デビューを強力に後押しした。
〇5章「地球のすべてが私のスタジオーIデザインは境界も時代も超えるー」ー1970年代以降のエンターテインメント分野におけるグラフィック・デザインの仕事を中心に紹介する。美術監督として関わった映画「MISHIMA」(1985)ではカンヌ国際映画祭芸術貢献賞、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』(1986)ではグラミー賞最優秀レコーディング・パッケージ賞、映画「ドラキュラ」(1992)では衣装デザインでアカデミー賞を受賞するなど、瑛子は様々な分野で最高の評価を得る。

マイルス・デイヴィス「TUTU」レコードジャケット(1986) 
「地獄の黙示録」映画ポスターポスター(1979) 
「ドラキュラ」映画ポスター(1992)

 休館日は月曜日、5月7日(火)。ただし、4月29日(月・祝)、5月6日(月・振替)は開館。GW中(4月29日「月・祝」~5月6日「月・振替」)は無休。
 入場料は一般1000円、満70歳以上500円、高大生730円、小中生370円。土曜日は高校生以下無料。4月27日(土)は満70歳以上の方は入場無料。
 問い合わせは:029-243-5111。茨城県近代美術館の公式サイトは: https://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/

「石岡瑛子 I デザイン」チラシ(裏)





 

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