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「Floating Holidays」を劇場で

 若い感性が感じられるものの、熱狂といったものはなく、どこかしら冷めているが、さりげないユーモアがあり、COOLで不思議な感触を持った映画だ。 増田有美(ますだ・ゆみ)監督、ロック・フォトグラファーほりたよしか撮影による映画『Floating Holidays』である。
 この作品(104分:カラー)は前評判が高かったが、2024年2月16日(金)にキネカ大森で公開されることになった。
 東京の会社で働くみか(小澤真利奈)、調子がおかしいとして医者の診断を受けるよう促される。診断は適応障害。不眠や小さなミスの繰り返しがあったので、しばらく休養するように言い渡され、叔母のいる街に行く。
 この「休息」からタイトルの「Floating Holidays」が取られている。
 そして、何年も会っていなかった弟まーちゃん(武田航平)がみかのもとに突然担ぎ込まれてきて、不思議な姉弟の生活が始まる。ぎくしゃくしながらもさすがは血を分けているだけにどことなく通じている風。

 


 風景の描き方がうまく、時間によって変わる色合い、グラデーションの違いをうまく捉えている。それに、音楽を多用してはおらずに時々挟まる程度ではあるが、使い方がうまい。
 役者の演技にやや素人っぽさが残るが、それがかえって新鮮さを感じさせている。全体にCOOLな雰囲気が漂い、声高な主張や説教はない。
 この作品は世界中で39の賞を受賞している。
 セリフの間合いとかやや長い時間のショットとか、ハリウッド流とは違い、どちらかといえば小津安二郎が受け入れられているヨーロッパ・テイストではなかろうか。
 撮影のほりたよしかは「長編映画を撮ったのは初めてです。それまでは増田監督と一緒に、短編一つと中編一つを撮っただけでした。とてもじゃないけど映画で使うような大きい”キャメラ”は扱いきれないと考え、最初から自分の手になじんだ小さなミラーレスカメラだけで撮りました」という。
 「だからこそ、ホームビデオのような、つたなさとあたたかさを同時にもつ美しい映像が撮れたと思っています」。
 前売りチケットはムビチケで販売中。当日料金(一般2000円)よりお得な1500円で特別鑑賞券が購入できる。https://mvtk.jp/film/084750?qr=flyer  



 

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