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歌詞を考える CHAGE and ASKA 「You are free」

こんばんは、ジニーです。

久しぶりの歌詞考察。

考察とは言っておりますが、その実ただの個人的な感想の場です。
感銘を受けた歌詞を、どこがどのように好きなのかをただ書き連ねるだけの場です。

本日のテーマはCHAGE and ASKA「You are free」。
<歌詞はこちら>
この曲の歌詞は本当に素晴らしくて、個人的にもとても好きな歌詞です。
そして、僕自身がASKAの歌詞を、一つの読み物としていろいろと背景を探ろうとしたきっかけの曲でもあります。

■今日の背景

この曲は、CHAGE and ASKAのブーム真っただ中だった1993年にリリースされた曲です。
当初はアルバム「RED HILL」の中に収録された居kの一つでしたが、その後シングルカットされてリリースされています。
当時あった缶コーヒー「J.O.」のCM曲としてもテレビなどでよく目にした記憶があります。
余談ですが、この「RED HILL」の収録曲は本当にタイアップが多くて、多くの曲がドラマやCMなどに使われていた気がします。
それでは歌詞を見ていきましょう。

■グッと物語に引き込ませる出だしの1行

タイトルから気づくかもしれませんが、この曲は別れの曲です。
曲は別れを告げたその直後から始まります。

振り返らない人を見てる 僕にできることはもうない

「振り返らない人」とは先ほどまで彼女であった「恋人」のことでしょう。
別れを決めた瞬間に、「恋人」からただの「人」となっています。
振り向くことはないその背中を見送る「僕」は「君」を幸せにできなかった
罪悪感や情けなさ、切なさを胸に宿しながら見ているのでしょうか。
そんな想いが、続く歌詞

百年かけてみても消せない 償いきれない傷を与えたようで

とつながっているように感じます。

おそらくこの別れには「僕」の至らなさがきっかけとなっている気がします。
理由は様々です。それをここに語られることはありません。
行間でそのあたりを聴き手のイメージに委ねてきます。

■別れたさとも相手を気遣える「君」

続く歌詞は「僕」の心配事に移ります。

君や僕の仲間たちには 訳は聞かないでと願うよ
きっと君は僕の事
せいいっぱい せいいっぱい かばってしまうから

「君」は別れの理由を自分の至らなさだと思っているのかもしれません。いっそ別れを切り出した自分を責めてくれれば楽なのでしょうが、彼は悪くないと言い、かばってしまいます。
最後まで互いが互いに気をつかいながらの恋愛だったのかもしれません。そういった関係が、いつしか言いたいことを飲み込んでしまう窮屈さにつながっていったのかもしれません。

そんな「君」の負担をどこかで感じている「僕」。
言葉の片隅、ふとした態度、一瞬の空気。
たぶんそういったところから何か感じ取ったのでしょう。
どこかで区切りをつけなくてはいけない。
それがこの瞬間だったのかもしれません。

■「それじゃね」に響くそっけなさと、装う強がり

サビでは別れの場面を描いています。

「それじゃね」と僕から切り出す
「それじゃね」とつぶやく
君は間違えずに歩いた
僕から離れた

「それじゃね」
その言葉をきっかけに「君」は「恋人」という鎖から解かれ自由になりました。しかし「恋人」ではなくなるという約束を交わした二人は、もちろんそれまでの友達という関係にすんなりと戻れるはずもありません。
その想いが2番の歌詞に続いていきます。

君はやっと自由になった 君はもう悲しむこともない
けれど辿り着いた約束は 振り出しより悪い場所だったね

「振り出しよりも悪い場所」、友達という関係よりももっと遠い場所になってしまった二人。そこからの歩き始めとなりました。
ただ、それもわかっていての二人の判断だったのでしょう。

だから振り返らないのです。
振り返って戻ってしまえば、きっと楽なんです。
でもそんな簡単な覚悟ではない。
だから振り向かない。
そんな二人の覚悟が心に染みてくるようにも感じます。

ひとつめの夜を越えれたら
ふたつめの夜を越えてみよう
寂しさの微熱が続いても
想わずに 想わずに また繰り返すから

ああ、この歌詞好きだぁ。
二人でなくなることは、ひとりでいることの寂しさを強烈に感じてしまいます。そのため、ひとりで超えなければいけない夜が続きます。
そんな隙間に襲ってくる寂しさを「微熱」と例えるこのセンス。
耐えられないわけじゃないけれど、いつもの自分じゃない感じ。
これ以上の言葉では代用できない表現ですよね。

そんなときでも。想ってはいけない、繰り返してはいけない。
覚悟して決めた別れだから。

■年を重ねて歌詞の意味を理解した。その時の感動

僕が最初にこの歌を聴いたのは中学生の時です。
その時この「想わずに 想わずに」という部分を「思いもせずに」という意味だと思っていました。
あとになって歌詞をちゃんと見たときに、「思わずに」ではなく「想わずに」であることに気づいたのです。
そう、恋人を求めたがる寂しがり屋の自分自身に言い聞かせるリフレインなんです。
少なからず恋愛経験を重ねた自分に意味がちゃんと入ってきた瞬間でした。
この瞬間の激しい衝撃と、感動の波が押し寄せました。
まさに好き好きタイマー発動の瞬間です!!

そして「また繰り返すから」。
この一言にこの二人のこれまでの関係性が凝縮されているような気がします。
僕は、この二人がきっと以前一度別れたのではないかと感じています。
でもその時は寂しさの微熱に勝てず戻ってしまった。
結果、お互いをまた苦しめてしまった・・・。
もう繰り返してはいけないのです、お互いのためにも。

この部分、歌詞ではたった3行です。
3行を紐解くと、この歌詞の背景としての二人の物語が一気に色づき、曲自体の深さも一気に増していきます。
所詮、ただの僕の想像でしかないかもしれませんが、そんな物語を浮かべさせる3行。素晴らしい。

結果二人は「それじゃね」の言葉で恋人から他人になります。
それ以上の言葉はいらなかったのだと思います。
互いに解り合っているからこそ、どんな想いでこの別れを決めたのか知っているからこそ、これ以上の言葉は必要なかったのでしょう。

「君は間違えずに歩いた 僕から離れた」
「僕」では導くことのできなかった「君」の幸せを思いながら、「君」の決めた未来を、せめて後押しする僕の視線が「君」の背中に向けられます。

ひとつの曲ににここまでの物語が生きていることにいつも溜息が出ます。
ちょうどショートムービーを見終えたようなそんな余韻を、曲を聴き終わったときに感じることができます。
(同じような余韻を「two of us」にも感じます)

だからチャゲアスはやめられないんだよ!!
もう、いい曲だなちくしょう!

こんなふうにチャゲアスの歌は考察をはじめるとキリがありません。
もちろんチャゲアス以外にも感銘を受けた歌詞は沢山あります。また機会を見つけて僕の勝手な考察を書き連ねていきたいと思います。

長いことお付き合い頂きありがとうございました。

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