リナリア

数ヶ月前に書いたやつです。willとかと同じ時期くらい。
よろしくお願いします。



思い出はあまりにも美化されて
理不尽に熱を持ち凍るから

僕は未だ
愛している

佇む花瓶のその透明が
爛れた日常を映していた

過ぎてくだけの
日々を 彷徨った

互いの普遍を擦り合わせた
その結末が歪んだ色でも
僕は僕として
あなたのために
僕を捨てよう

リナリア その手で触れておくれ
リナリア その目で見つめておくれ
あなたの思う僕になるから

リナリア その手で触れておくれ
リナリア その目で見つめておくれ
淡く冷めたその裏側が
まだ 赤なら

全てを守りたいと誓うには
全てがあまりに近過ぎていた

虚像に縋る
幼いまま

窓辺に揺蕩う黄色い花が
空になった日々を慰めていた

守るべきなのは
きっと 僕だった

あなたと出会った ただそれだけの
その僥倖に僕は気づけずに
土足のままで 知りもしない心の深く
踏みしめていた

あなたがどれだけ端無なくても
全ては 僕だけの所為でいいよ
時効を迎えた 瞳は凍った
ただ そのまま

窶した頬を
僕は手でなぞって
あなたは 可憐な
日々を纏って

白昼夢に溺れ 戻れない僕の
隣には いつもあなたがいたから

リナリア

リナリア その手で触れておくれ
リナリア その目で見つめておくれ
あなたの思う僕になるから

リナリア その手で触れておくれ
リナリア その目で見つめておくれ
淡く冷めたその裏側が
まだ 赤なら



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