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#3_15 【後編】アイドルの夏フェスを勝手に考察してみた(夏フェスはコロナ後に死んでいく)

幾度となくライブアイドルがこの言葉を口にした気がする。

「今年の夏が勝負」

ただ、夏フェスって要はいつもの対バンの延長線なのでは?と思うこともよくあるわけで。
改めてアイドルシーンの夏フェスをまとめる必要があると考え、今回記事を書いた次第である。

前半はオタク目線・アイドル目線で夏フェスを分類しつつ、夏フェスの価値を再定義していく。
後半ではイベンター目線に立ちつつ、今後の夏フェスの展望を分析していく。

前編はこちら。

イベンター目線① なぜ夏にフェスを開くのか

そもそも夏とフェスは相性がいい

そもそも論、バンド・ロックなどに関してもフェス=夏の傾向は大きい。
過去に秋へ時期をずらしたフェスも存在していたが、集客が芳しくないため夏に戻したというフェスもよく耳にする。

やはり夏に開催される大きな理由は下記にあると考える。
・夏の薄着な恰好が解放感あるフェスとの相性がいい(クロークの手間も少ない)
・夏は日が暮れる時間が遅いので、設営撤去の時間が大きくとれる+照明費などもかかりづらい
・長期休み/旅行を計画する人が多い
・飲料の売れ行きがいいため副次的な収益が確保できる

ボーナス月と優先エリアチケット

ここに地下アイドルにはもう一つ大きな理由があると考える。
それがボーナス月と優先エリアチケットの関係である。

優先エリアチケットは大型フェスになると1日でも数万円になることが当たり前である。
その中で一般的なボーナス月は6/12月であり、その関係性でのボーナスをもとにした優先エリアチケットの販売も見込まれていると考える。

イベンター目線② 実は夏フェスはすでに死んでいる?

2022年/2023年の違いとグループ主催の増加

実は22年と23年の夏で、地下アイドル業界は少し変化があった。
それはどこかのアイドルグループが主催となって(特に渋谷エリアのサーキット)フェスを開くアイドルフェスが増加したことである。

赤→5大フェス 青→特定グループ主催フェス(主要)
8/28訂正→関ヶ原3日間でした

上記に記載しているのは2022/23年の7-8月に開催された主な大型アイドルフェスである。
その中の青色が特定グループ主催のフェスであるが昨年と比較してもChuLaとDevil ANTHEM.2回と増加しており、他にもNEO JAPONISMやFES⭐︎TIVEなど大御所〜中堅どころの開催が目立つ。
※わかりづらいが、19年と比較すればその多さは顕著であろう

一方でイベンター主催の「アイドル博」「RAD JAM」は本年度の開催はなく、5大フェスの関ヶ原・@JAMについても開催日時が3日間から2日間に減少している。

コロナ禍と大きな補助金

コロナ禍におけるイベント事業で語るべきものが一つある。
それが国からの補助金である。

この補助は様々に渡るが、特にJLOD3であれば経費の5割を負担する、という非常に大きな補助などもあった。

もちろんアイドルフェスも例外ではなく、さまざまなアイドルフェス(もしかしたらワンマンも)で補助金が活用され赤字の補填/黒字化ができていたと考えられる。一方で、2023年はの補助の数も減ったようであるし、2024年についてはそもそも補助自体あるのか見通しが立っていない。

ここからも、大型フェスで規模の縮小や開催の断念が見られているのも因果がないとは言えないだろう。

これからの夏フェスの展望

夏フェスが生き残った、と考える人も多いだろうが、真の正念場はここからである。
特に文化人口が増加しているバンドやロックと比較し、そもそも文化人口が減少傾向にあるアイドルフェスでは、ありきたりな内容では黒字化が果たせない可能性が高い。

さらに出演者も近年似てきている中で、最も重要なことは「機能的価値ではなく体験価値/イメージの差別化」である。
例えばいま、関ヶ原と夏初は似てき始めている中で、わざわざ関ヶ原へ行く意味を失いかけていると言っても良い。
この正念場の中で、体験価値の再定義をしなければ、今後フェスの開催見送りもありえるだろう。

各論:5代夏フェスを食前舌語が毒舌評価

テーマは「差別化」である。
※ここからは個人の主張であるのでご容赦いただきたい。

超NATSUZOME2023→S-

個人的には一番安定感があるフェスであるといえる。
特に「1番最初の夏フェス」「関ヶ原との類似による顧客の奪取」「安かろう悪かろうの中でまだマトモ」と、通常のイベントと一線があるわけではないだけに、期待値通りの体験価値を毎年提供してもらっている印象。

ただやはり改めて特別感がないだけに、メインステージ争奪などに価値が見出せないところ、またあの海浜エリアで避暑エリアが少ないところが少しマイナス点。

SPARK 2023 in YAMANAKAKO→A

出演者の豪華さはTIFに負けず劣らずの中で、2年目の開催が終了した。
やはり避暑地という立地の良さは他にはない圧倒的価値であるとともに、かなりオタク目線で回りやすい設計になっている。

一方でTIFほど企画が多くなく改めて祭典というよりかはまだまだ音楽フェスであるところ、また特に23年は行き帰りの交通渋滞が顕著だった(オフィシャルバスなども遅延があった)
特にベビレの解散などがとうの昔になってしまった中で、山中湖という立地だけで勝負せず、改めて他のアイドルフェストと体験価値の差別化をし「今年の参戦夏フェスは〇〇とSPARK」という意識を作っていく必要がある。

SEKIGAHARA IDOL WARS 2023→B-

夏初と逆に、かなり立ち位置としては厳しい状況である。
正直、わざわざ関ヶ原に行く理由がないだけでなく、その代替案が提示されてしまったために、ここから伝統以外に頼るものがなくなってしまった気がする。
その上での下記である。

こちらは今まで黙認だったために、対処としては全く問題ない。
ただ、関ヶ原ブランドが差別化ではなく、むしろ他へと近づいてしまった。

TOKYO IDOL FESTIVAL 2023→A+

23年もさすがはTIFという豪華さを誇った。
素晴らしい企画、素晴らしい箱、まさに祭典。

で、なんでA+?と思う方もいると思うが、主に3点かなり大きなマイナス点がある。

①全くファン思いではない設計
なんで??ってくらい、ファン思い出ない設計が多数ある。
え、今どき特典会会場で荷物検査する?(そのせいで炎天下の待機列)、あまりに会場広すぎる、、、等々、もちろんジャン禁なども含めて、地上アイドルとライブアイドルの両立は全く叶ってないし、もう少し観客想いの設計ができてもいいのでは?と考えている。(正直私はこれが一番の理由でTIFは特別な事情がない限り参戦を見送っている)

②結局誰でも出れるフェスへ

昔は本当に特別なフェスであり、ある程度の実力と集客が見込めるアイドルでないと出演は難しかった。
一方で今のTIF出演は、地底アイドルでなければ出場はできるし、ある程度のアイドルであればメインすら立てる状況である。
この点で、アイドル側やイベント側の熱と、観客側の少し冷めた熱の間に差ができ始めている。

③規模の縮小は必至

ご存知の通り、TIFはフジテレビが主導している大型フェスである。
その屋台骨のフジテレビ自体が今大きな危機に陥っている。
TIFと同時並行で行われ、今年のHOTステージでも活用されたステージは元々は冒険王のために設置されたステージが活用されている。
今年度はTIF事情ではなく屋台骨事情でメインステージが豪華となったが、来年はZEPPになるだろうと考えられるし、それ以上に予算の減少も考えられる。

@JAM EXPO 2023→B

これが@JAMのクオリティ。
それ込みでチケ買ったんやろ…?

まとめ

搾取されてるって思ったら、それはそのフェスのやめ時だよ。

閑話休題

ばちゅんさんメインステージ優勝おめでとうございます。
圧倒的な予選、これぞライブアイドルというフロア全体を巻き込んだ決勝、本当に素晴らしかったです!!

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