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#1_5 アイドルと振付(コロナ禍で振りコピが楽曲派を駆逐するか)

#1系統では「アイドルとは何か」をもとに、アイドルの歴史や存在意義みたいなものを深掘りしつつ、その価値提供、顧客体験の本質を探索していきたい。前回の記事ではアイドルの体験価値を再分化した。

前回は「アイドルとレス」と称し、レスというアイドル独特の文化に注目することで、ブランドと消費者の双方向性という観点から論を展開した。

今回はTIFメインステージ争奪戦の出場者から食前舌語のおすすめアイドルを押さえていきつつ、前回のレスでも記載した「双方向性」に近い振りコピを考えていく。(今回最後のほうを除きほぼマーケティング関係ないし、論理もございません。)

まずそもそも振りコピとは?

振りコピ
「振り付けコピー」の略。オタクがアイドルの振りをマネすること。振りコピをするとアイドルとの一体感が生まれ楽しい。
出典:https://www.galpo.info/feature/list/2072

アイドルの歌って踊るを同時に行うため、振付の多くはそこまで難しくないものが多い。そのため、オタクの中には客席でアイドルの振付をして踊る人がいるのである。
なんとも奇妙な光景である…(などそういう食前舌語は通ってる現場の中でもかなりの振りコピ勢である、アイドルの皆さん申し訳ございません。)

また、アイドル側も振りコピをしやすい曲を作ることが多くなってきており、その代表格がFES☆TIVEの”OIDEMASE!!~極楽~”である。

ここまで全員が同じ振り付けをしていると、もはや壮観である。
(地下アイドルオタク一年生の必修として「OIDEMASE」「アキシブウェイ」の振りコピがあるので、ぜひ覚えてほしい。)

2021年の対バンで盛り上がりのすごい新興アイドル(偏見)

言っておきますが完全な偏見です。

ワールズエンド。

ワールズエンド。アー写4期のコピー

旧「マリオネッ」として2020年デビュー(改名)したアイドル。
ロック調の曲を中心として、「タリナイ!タリナイ!」など多数の振りコピ曲が存在する。
ミスID出場者も多く、ルックスだけでなく人生を戦おうとする努力の見える子が多いのも印象的。
先日の新木場COASTでの対バンに多数の動員を成功させるなど、今夏は「#
ボクの夏ワルエンに捧げます」を表題に精力的に活動を展開。

アンスリューム

図1

泣く子も黙るアンスリュームの快進撃に2021年の夏騒然としている、2019年結成のアイドル。
「興奮と高揚をアナタに。」をコンセプトに、「だだだ!」など個性的な歌詞とアップテンポなナンバーと振り付けで会場を沸かせるパフォーマンスが魅力的である。
コロナ禍において(安全に配慮して?)声出し可などの施策で注目を浴びていたが、何より衝撃的だったのが「@JAM IDOL OF THE YEAR Bブロック予選」にて、現地下アイドル業界で最強である26時のマスカレイドを(課金ゲーではあったものの)予想を裏切り撃破し、2021年夏の勢いを決定づけた。
TIFメインステージ争奪戦の決勝進出も決まっており、今後も目が離せない。

kolokol

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大阪を拠点として活動する4人組アイドル。
抒情的でしっとりしつつも、「Rascal」曲が変われば一気に激しく盛り上がる、いま最も緩急のうまいアイドルの1つといっても過言ではない。
食前舌語がとやかく言うよりも、メンバーさんがすっごいしっかりまとめてくれているので、こちらをご覧下さい。

STAiNY

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2021年デビューのFreeK発アイドル。
当初から元アキシブProjectの永瀬かのん所属など話題性の多いアイドルであったが、FreeK最高峰の顔面の高さに加え「ワンダフルライフ 」をはじめとする振りコピの楽しいアイドルとして定評がある。
Freekの記事はこちらから。

コロナで変わったアイドル路線

(ここまで読んでる人、かなりすごいです。完全に駄文に近づいてきましたが、ここからが少しまともです。多分。)

さて、直近のアイドル業界で一番の課題としてはやはり「コロナでの様々な制限」である。
その一番大きなものとしてはMIXの禁止である。
2018-19年はMIX全盛期といっても過言ではなく、「パンMIX」「ワールドカオス」など、今までなかった/有名でなかった様々なMIXが人気を博しており、当時人気だったアイドルも「いかにMIXが打てるか」を重要視する面があったといえる。

一方、コロナ禍の2020-2021年においては大きく2つに細分化された。
まず一つは「楽曲派への深化」である。
これは主にすでに人気の高かったアイドルである26時のマスカレイド、まねきケチャ、真っ白なキャンバスなどが当てはまる。
ここにも様々なことが考察できるが、一言でいうと「ファンは楽しい、しかし対バンでたまたま被ったオタクからしてみればただ聞いているだけ」という状況が生まれてしまい、現在の対バンでは有名曲を求めるオタクと、最新の聞かせる曲をセトリに組み込む運営との間のずれを感じさせる。

そしてもう一つが「ライブのクラブ化」である。
コロナ禍で騒げなくなってしまったオタクのはけ口として、特に新興形のアイドルが振りコピがしやすい楽曲を中心に展開した。
確かに過去からの経験則として、人気が出てきたアイドルというのは得てして「楽しめるか(=騒げるか)どうか」であり、楽曲派にやさしくなかったわけであるが、今も同様に騒げる、コロナ化で許されるぎりぎりのアイドル運営が求められる結果となった。

もちろん「食前舌語が気づいた2021年新興が目立ってたからで、知らないだけで人気が出てきているアイドルもたくさんいる」というご指摘はごもっともであるが、裏を返せば「2021年の新興アイドルは振りコピが楽しいアイドルであり、また対バンで多数のオタクを巻き込んで楽しめるアイドル」といえるのである。

対バンで盛り上がるということ

振りコピが多いアイドルは特にコロナ禍の対バンにおいて盛り上がりがすごい、ことまではご理解いただけると思うが、ではなぜ盛り上げたほうがいいのかを最後にもう少し深掘りたい。

①単純に勢いがあるというイメージ醸成
#3_1でのUSPでも書いているが 、地下アイドルほど他と差別化がしにくい業態も珍しい。
その中で重要になってくるのは消費者の体験価値という非言語的な情報であり、その一つに「ブランドイメージ」がある。
勢いがあるというのは、「今注目の」と置き換えられ、これは有効な売り文句の1つとしてマーケティング業界では有名なワードである。

②ワンマンライブへの誘導
今後詳細をさらに記載していくが、地下アイドル業界では
対バンで認知度を上げ、関心を持たせる⇒ワンマンへ誘導
という流れが一般的である。
要は「(地下アイドルの導入はおいておいて)対バンでワンマンの客を捕まえる」ということである。
やはり盛り上がるアイドルには関心が高くなるし、楽しかったという思い出はワンマンライブへ誘導が促進されるといえる。

まとめ

対バンで盛り上げることは、グループのイメージ向上とワンマンライブの集客という面から重要であることは変わらない。
しかし、MIXができなくなったコロナ禍において、対バンの盛り上げに「振りコピ」ができることが非常に強力な武器になった。

閑話休題

@JAMのIDOL OF THE YEAR、ただの課金ゲーといったが、やはりそれだけ課金させるだけのオタクのモチベーションを醸成できたかという点では非常に面白い視座が見れるわけであり、前評判上々だったまねきケチャ・26時のマスカレイドが相次いで敗北したことは、世代交代やパフォーマンスが市場の需要とマッチしていないことを痛感する結果となった。
Appare、アンスリューム、真っ白なキャンバス、#ババババンビ、王道のアイドルより新旧の盛り上げ上手なグループが残った今、やはりコロナ禍にマッチした新興グループのほうが一歩上手か?

続編はこちら

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