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君から返ってくるまで #5


 ーーさくらの母とお別れをしてから約二週間。過労とストレスによる心臓性突然死だったらしい。

 母親を亡くしたショックから、さくらは言葉を発さなくなった。そのためさくらは、高校もアルバイトも辞め、施設に住むことになった。

 あれだけお世話になったのだから、うちに住んでほしかった。僕の両親もそれを望んでいたし、何よりその方がさくらを守れる。言葉を発さなくなったさくらに、何度も何度も説得した。

『さくら、うちに住もう?』

 しかし、頑なに首を横に振るだけだった。理由を聞いても黙り込んでしまう。何とかしてさくらを助けたい、守りたい一心だった僕と両親が悩んでいると、さくらから一通のメールが届いた。

「明日から施設に入ることになりました。たくさん悩んでくれたのにごめんなさい。でもね、もう私は、誰も居なくなってほしくないの。もう大切な人に負担をかけたくないの。今までありがとう。」

 それがさくらから届いた最後のメールであり、最後の言葉だ。



 女手一つで育てていたさくらの母。さくらは自分が負担をかけていたんだと、自分を責めていたのだろう。

 何が兄のようにだ。何が父のようにだ。何もしてあげられないじゃないか。どうして助けを求めてくれないんだ。どうして泣きついてくれないんだ。どうして、お前まで居なくなってしまうんだ・・・!!

 僕の中を様々な感情が駆け巡る。



 施設の名前も、場所も、何も教えてくれないまま、さくらは、居なくなってしまった。

 十年後に、とあの時した約束が果たされるかもわからないまま、さくらは一人、虚無の世界へと行ってしまったーー



次章 〜運命の再会〜


✄--------キリトリ--------✄


冬休み特別企画5日目です❄️
今回も今回とて悲しい・・・次章のタイトルに少し希望の光が・・・?

明日もお楽しみに。

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