湊かなえ リバース ネタバレ有

最近、読書熱が再燃いたしました。特にミニマリストについての本と、湊かなえの小説を読んでいます。普段は読書感想文などはあまり書いたりはしないのですが、本を読んでいてこんなにも結末に驚かされたのは久しぶりだったので、書いていきたいと思います。何事もアウトプット大事。

めちゃくちゃ簡単にストーリーをまとめると、

大学生の時に運転事故で亡くなった広沢と同じゼミ仲間の元に「人殺しだ」という手紙が届いた。その内の一人である深瀬は、その犯人を突き止めるというのは表向きで、本当は自分の親友だと信じていた広沢について知りたいと彼の知人に話を聞いた。そうしていくうちに、深瀬と彼女だった奈穂子にたどり着いた。そして、彼女から「広沢は蕎麦アレルギーである」ことを知った。その後、コーヒーショップで懐かしい味のする蜂蜜を味わった。それが蕎麦の蜂蜜であると知った時、深瀬は思い出した。広沢を送り出す時、渡したコーヒーに「蕎麦の蜂蜜」を入れたことを。そして、深瀬は知ってしまった。自分が広沢を殺してしまったということを。

読み進めていくうちに、深瀬も奈穂子もすごく前向きな気持ちになっていたんですよね。それなのにお気に入りのコーヒーショップでたまたま味わった蜂蜜のせいでわかってしまったんですよね。自分が親友を殺した張本人だって。でも、これって本当に深瀬だけに責任があるようなことなのでしょうか。わざとではないですからね。アレルギーであることも知らなかったわけですし。そもそも、車で迎えに来いなんていうのを聞かなきゃよかったと思うんですよね。そうすればこんなにも不幸な事故は起こらなかったわけで。「優しさ」って確かにいいこと。人間にとってとても大事なことだと思います。でも、他人だけ幸せにするけど、自分を幸せにできない優しさって意味があるのでしょうか?でも、広沢が蕎麦アレルギーであることを打ち明けていれば、死ななかったのかと言われると正直わからないですよね。広沢のは「優しさ」というよりかは「自己犠牲」のような気がしました。深瀬も奈穂子も口を揃えて、「いい人だった」「優しかった」と言っていました。でも広沢自身は本当に幸せだったのでしょうか。この広沢を自分と重ねてしまいました。「外国に行きたい」という気持ちを両親や、彼女だった奈穂子に打ち明けても否定的なことを言われていました。それを「やっぱりそうだよね」って言った広沢は本当に幸せだったのでしょうか。

外国に行きたいのなら行けばよかったのに。私はそう思いました。どうしてたった一度きりの人生なのに。この小説は結末のどんでん返し以上に訴えるものがあるなと感じました。確かに感想文を書こうと思ったのはこの結末の衝撃がきっかけでしたが、書き進めていくうちに自分が違うことに着目していたことに気がつきました。

私は、死んだ後に、「あの人優しかったよね」って言われても何も嬉しくないと思いました。「本当に優しくて」「わがままも言わなくて」「誰かのためを思って」そんな人生は本当に自分が歩みたかった人生じゃないなと思います。というか自分で書いてて自意識過剰やんって思いましたけど!!!!

人生は自分のために生きないとダメだなと思いました。本気で。死ぬ時に絶対後悔するから。もし自分の中でやりたいことがあるならやったほうがいいって心の底から思いました。「自己犠牲」は文字通り本当に自分を犠牲にします。私はこれで心も体もボロボロになりました。逃げるように仕事を辞めました。私もやりたいことをやりたいって言える人間ではありませんでした。今も自己主張はあまりしない方です。でも、どんなに小さなことでも言ったほうがいいんです。確実に言わないよりいいんです。どうして私の人生なのに私はいつも周りを気にしているんだろう。私はそんなに恥ずかしいことをしているでしょうか。決してそんなことはない。誰かのために、誰かのことを考えて自分のこれからを決めるのはもう辞めよう。

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