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月経困難症と、PMDDと、ピル

数ヶ月前から、ピルを服用しています。
生理に振り回されて、社会生活が立ち行かなくなってしまったから。
婦人科に行く決断をするとき、ピルを飲むと決めるとき、あとからあとから不安があふれてきて、たくさんの情報を検索しました。
当時の私が欲しかった情報を、今の私にできる範囲で、ここに残しておきます。
女の子たちのせっかくの人生を、これ以上、生理で無駄にすることのないように。

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たとえこんなにつらくても、元気になれるよってところから。

中学生の頃から、激しい生理痛に悩まされてきました。
息ができなくなるほどのお腹の痛み、これ以上波が来たら気を失ってしまう、そんな焦りに毎回襲われます。
鎮痛剤なんてひとつも効きません。
やむなく学校を早退したこともありました。

高校生になってからは、PMDDが顕著になりました。
生理前になると、朝から意味もなく泣きながら駅までの道を歩き、授業中はイライラしすぎて校舎を爆破したいと思いつめるまでに。
とにかく鬱っぽく、ずっと死にたいと思っていました。
誰かにすがりついて泣きわめきたいくらいの精神状態ですが、生理前という以外、なにかつらいことがあったわけでもないので、そんなこともできません。

当時の私は、これから数十年にわたって毎月やってくるこの地獄に絶望していて、大袈裟ではなく本当に、人生に希望が持てませんでした。

自分が死ぬ時は、生理痛で気絶して死ぬか、PMDDで自ら命を絶ってしまう時だろうなと、本気でそう考えていました。

また、今でこそ公にこんなものを書いていますが、学生時代の私は生理のことを話題にするのがめちゃくちゃに恥ずかしくて、どんなにつらくても、友達にも家族にも「生理痛で」なんて絶対に言えませんでした。
真っ青な顔で倒れているところを、「どうしたの?」と聞かれても、ただお腹が痛いとしか言えず、「もしかして生理痛とか?」と聞かれて、やっと目をそらしながら頷くことができるほど。

そんな状態だったので、ましてやPMDDの精神状態についてなど一言も相談できず、ただひとり孤独に耐えしのぶしかありませんでした。

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それでもなんとか、毎回の生理を騙し騙し乗り切って、社会人になりました。
しかし、社会人2年目の夏、もう誤魔化しが利かなくなり、限界の限界を超えてしまいます。

生理の始まる15日も前から、重い重いPMSとPMDD。
貧血、全身のむくみ、吐き気、頭痛、腹痛。
そして情緒不安定。
半月もがっつり、PMSとPMDDをやっていて、おまけにその後1週間生理があると、もう、まったくもって仕事になりません。

歩くのも喋るのもつらい状態で、挨拶すら涙声になるほどの精神状態。
人から言われたほんの些細な一言が、ありえないほどぐっさり刺さる。

毎朝、こんな心身を引きずって今日も8時間労働しなければならないことに絶望して、家を出る直前になって、床に這いつくばって大泣きしたことも一度や二度じゃありません。

それでも、なんとか取り繕って、仕事はこなしているつもりでした。

ただある日、職場のマネージャーから「ちょっと最近しんどそうにしすぎじゃない?どうしたの?」と声をかけられ、たかがPMDDごときを(と思ってしまう)隠しきれていなかった自分が情けなくて恥ずかしくて、また情緒不安定もあいまってまさかの職場で大泣きし、すみません、こういう事情なのですが頑張って治療します、病院に行きます、とマネージャーには伝えました。

◎◎◎

病院を予約するのも、大変な勇気が必要でした。
ちなみに、私の母は束縛が激しく、娘が婦人科に行くことも良く思わないような人です。

こっそりと職場近くの病院を探して、震えながら予約しました。

そして、勇気を出して事後報告。
「○日に病院予約したから行ってくる」
それだけで嫌な顔をされましたが、私の身体は私以外誰も守れません。

診察日まで10日ほどあり、そのあいだずっと不安で不安で、下調べしまくっていたら、怖い情報がたくさん出てきて、余計に不安になってしまいました。

でも、実際行ってみると、全然怖いところではありません。

先生は当然慣れていらっしゃるし、
診察が怖い、痛いというと、手加減しながらもきちんと診てくださいました。
もちろん恥ずかしさはあるけれど、一刻も早く今までの苦しみから解放されたい一心でしたし、リラックスできるよう先生も尽くしてくださるため、恐れていたほどのものではありませんでした。すすんでしょっちゅうやりたいものでもないですが。

すんなりと、超低容量ピル(私の場合はジェミーナ21錠)をいただいて、検査結果も後日送っていただいて、ピルを服用する生活を始めることができました。

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飲み始めは、副作用との戦いです。
個人差が大きいそうですが、私の場合はPMSを上回るほどの強烈な眠気と、生理痛のような下腹部痛。あと全身のむくみ。

よくピルで太ると言われますが、実際は太るのではなく、むくみです。2、3ヶ月ほど我慢したら消えていきました。ただ、その間の見た目はあんまり気に入るものではありませんでした。

副作用も決して楽ではなくて、生理の辛さから逃れるための薬で苦しむなんて、とまた女であることを恨みそうになりましたが、副作用さえ乗り越えれば、あとはメリットがたくさんありました。

PMDDの期間が短くなり、多少は軽くなること。
生理痛も、少しはましに。
あとうれしかったのは、ピルによってホルモンバランスが整ったことによって、肌荒れすることがぐんと少なくなったこと。

ただ、私の場合は、休薬期間に起こるPMDDと生理痛が、まだ辛いので、次回からは、3ヶ月に1度しか休薬しなくていいタイプのピルに変えてもらおうと思っています。

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ピルはあくまでも薬なので、みんな是非飲んで!と勧められるものではありません。

稀ではあるけれど重い副作用もあるし、体質によっては禁忌の人もいます。

けれど、人生における大事な瞬間さえも、生理とホルモンバランスに振り回されて、生理さえなければ、と女であることを恨むくらいなら、こんな選択肢もあるよということを提示したいです。

学生時代、誰にも相談なんてできなくて、ずっとベッドの中で、ひとりiPhoneとにらめっこしていました。

寝る前には、生理が重い、生理痛、月経困難症、PMS、PMDDなんて言葉を繰り返し検索する日々。
暗闇の中で光るiPhoneの画面を見ていると、生理のせいで思うように生きられない自分が悔しくて悔しくて、何度でも涙が溢れてきました。

けれど何を調べても、結局最終的にたどり着く「婦人科に行きましょう」の壁を越えられませんでした。

大人になって親の干渉を受けなくなるまで苦しみ続けなきゃいけないんだ、その頃にはもう子どもが産めない身体になっているかもしれない、それどころか、その頃まで生き延びているだろうか、、、と思ってしまうほど、絶望していました。

勇気を出して病院に行ってみると、きっと日々日常が楽になる方法があります。もし、体質的にピルが飲めなくても、他の選択肢をお医者さんは教えてくださるはず。

また、仮に今すぐには行けない事情があったとしても、いつか、楽になれる方法がそこにはあります。

生理があること、女であることを理由に、人生に絶望してしまう女の子たちがいない世の中になりますように。

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