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世界の農業5 (コーヒー豆・カカオ豆)

コーヒー豆とカカオ豆は何だが不思議な交錯を感じます。
コーヒー豆の原産地はアフリカのエチオピアですが、現在生産が多いのはブラジルやコロンビアなどの中米です。
逆にカカオ豆の原産地は、アマゾン流域などの中米ですが、生産量が多いのはコートジボワール、ガーナなどのアフリカです。
原産地と生産地が入れ替わっている興味深い例です。

コーヒー豆

私はコーヒーと言って真っ先に思い浮かべるのがコロンビアです。コロンビア人の知り合いがいるのですが、
「コロンビアにはうまいコーヒーがない。」
と言っていました。
「どうして?」
と聞くと、
「うまいコーヒーは、全部輸出されるからだ。」
と言っていました。なるほど・・・。

赤道を中心に北緯・南緯25度のコーヒーの産地をコーヒーベルトと呼びます。

ベトナムが2位なんですね。でもなんで知られていないのでしょう。それは、ベトナムで作られるコーヒー豆のほとんどが、缶コーヒーやインスタントコーヒーの原料となるロブスタ豆だからです。そのため大量に安く仕入れられ、栽培農家の収入も低いというのが現状です。

カカオ豆

カカオは別名ココアと言います。これはどうやらヨーロッパに持ち込まれたときに間違えて伝わったようです。総務省のデータでもココア豆となっていました。

2019

コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアといったアフリカ勢で大半を占めています。

コートジボワールでは国民の3分の1がカカオ豆もしくはコーヒ豆の栽培に関わっていると言われています。
これはかつてアフリカの国々がヨーロッパの植民地であったことと関係があります。
植民地時代にヨーロッパ向けにカカオ豆を栽培するプランテーションがあちこちに作られました。これによってこれらの国は、限られた作物だけを輸出するために栽培するいわゆるモノカルチャー経済になりました。
アフリカは元々食糧自給ができている国が多かったのですが、これによって食糧自給率が下がり、飢餓の問題が発生しています。
また、カカオ豆の栽培には児童労働の問題もあります。これは単に農園経営者の子どもが働かされているというようなことではなく、人身売買によって集められた子どもたちが大量に働かされているという深刻な問題です。

まとめ

コーヒー豆、カカオ豆ともに発展途上国からの搾取の場となっているという課題があります。フェアトレードを進めていきましょう。

原産地と生産地の違いと言えば、天然ゴムとサトウキビもそうです。
天然ゴムの原産地もアマゾン川流域ですが、現在の主な生産国は東南アジア
です。
サトウキビの原産地はニューギニア諸島(一説にはインド)ですが、主な生産地はブラジルです。かつては砂糖生産の目的でしたが、今はバイオエタノールのための栽培がメインになっています。

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