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続・銭湯に魅せられて、銭湯に転職した看護師の話

こんばんは、かわむらです。
書きたいなと思いながら、じっくり腰を据えてPCに向かえる時間がない最近でした。仕事と育児で1日がいっぱいで、子を育ている・育ててきた全国の親御さんたちには畏敬の念しかありません。すごい。
前ほど丁寧に推敲して書くことはできないけれど、書きたいなと思ったときが書きどき、アウトプットどきなんだろうということで、とても久しぶりに書いています。

今年の1月より、株式会社小杉湯にジョインしました。
実は1年前の大学院卒業のタイミングで小杉湯とケアの文脈を深めていきたいとオファーを頂いていたのですが、当時はすでに他の就職が決まっていました。
しかし、高円寺の小杉湯にあるあたたかいまちの銭湯を文化として守りながら、新たに原宿にも銭湯のある風景をこの令和の時代に作ろうとしているチャレンジに心打たれ、大好きな湯を沸かしながら銭湯でのケアを仕事として考えていけたらこれ以上幸せなことはないなと思い、新年のタイミングからありがたいことに運営に参画させてもらうことになりました。

私の仕事は大きく2つあって、
①日中の小杉湯を護ること
②小杉湯とケアの文脈を深めること
です。

①日中の小杉湯を護ること
「営業時間前の銭湯なんてやることないんじゃない?」と思われがちですが、朝7時から11時までがっつり朝清掃、昼ごろから湯沸かし作業などお風呂の準備が始まります。昔ながらの設備なのでお湯をきれいに保つためのタンク操作や湯量・湯温を調整する機械操作、替わり湯の日は入浴剤やPOP(貼り紙)の準備もあります。15時には番台のアルバイトさんがくるので一緒に開店準備をして、15時半にオープンです。お客さんをお迎えするための準備を、実は朝からやっているんです。オープン後は番台のサポートやトラブル対応などをしていると、あっという間に1日が終わります。

清掃〜湯沸かし〜番台など日々のお風呂の準備などは主にアルバイトの皆さんでやってもらえるような体制になっているのですが、運営スタッフとしてまずどうやって風呂が沸くのかの仕組みを知ること、アルバイトさんが働きやすい環境を整えるためにアルバイトさんの動き方を知ること、一緒に作業する中でコミュニケーションをとって現場の声を聞くこと…などを目的に、現場に入りながら修行を重ねているところです。

きれいに掃除して、気持ちのいい湯が沸いて、お客さんが「こんばんは」とやってきて、「おやすみなさい」ホカホカで帰っていく。そんな当たり前の毎日を続けていくのが、銭湯が斜陽産業になっている今の社会では難しいものになっています。この暮らしの風景が少しでも長く続くよう、小杉湯の日常を護ることが小杉湯とケアを考えるうえでの前提になっていると思います。

②小杉湯とケアの文脈を深めること
温冷交互浴で体がゆるまる、ミルク風呂で気持ちがホッとする、いつもの顔馴染みに会って安心する、など小杉湯に来ること自体がケアになっているな、と思う瞬間がお客として入っていると度々あります。

看護の面からケアを考えた時に、ナイチンゲールの「看護覚え書」に次の一節があります。

「看護(nursing)とは、新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさなどを適切に整え、これらを活かして用いること、また食事内容を適切に選択し適切に与えること、こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること」

小杉湯って、この前半の「新鮮な空気」「陽光(特に朝湯)」「清潔さ」「(ほどよい)静かさ」を日々整えるために、掃除やメンテナンス、POPでの環境づくりを行なっているので、これって環境面からアプローチしてる看護では…?と拡大解釈して日々の掃除をしたりしてます。

若い方から高齢の方、元気な方から病気をお持ちの方まで、たくさんの人に利用いただいている場所なので、医療や介護への意識に関係なく、情報発信のハブにもなる可能性を秘めていると思います。偶然来た人が「そういえば誰々さんがこんなこと言ってたな」とつながっていくこともあるし、銭湯だと会議室やイベントスペースよりも日常の場として話しやすい環境だったりします。実際に他の銭湯ではがんサロンが開かれているなど、ぬくもりのある場所として活用されている例もあります。
昨年から介護にまつわるメンバーと「銭湯息つぎプロジェクト」として介護のおしゃべり会を小杉湯となりで開催したりしており、銭湯のようにホッとできる場として無理ないペースで続けていけたらと思っています。

また、お客さんの中で病気や加齢で銭湯に来にくくなる人などもいます。また、のぼせなどで倒れたりして応急対応が必要になる場合もあったりします。
そういう時に、銭湯としてどういうアプローチができるのか、対応にあたるスタッフの悩みを掬い上げて対応を考えたり地域包括支援センターや専門家などと連携をしていくところは、自分自身の強みを活かせるところだと思っています。
ここは医療介護に関する部分のがっつりケアのお話しでした。

出産育児を経験して、親子へのケアの場としての銭湯の可能性も感じています。
1歳の娘と入りに行くと、娘を洗っている間に顔芸で興味をひいてくれたり、「お母さんの背中が寒そうね」と背中を流してくれたり、湯に浸かると「気持ちいいね」とニコニコ声をかけてくれたりなど、お客さんが子どもにとにかく優しくて、母の私自身も救われたりしています。
このへんは抽象度が高いのですが、人との関係性の中で「ケア」だなあ、と思うところです。

ウェルカムな雰囲気もとてもありがたいですが、赤ちゃん育児勢としては、ベビーバスチェアがある、キッズシャンプーがある、水飲み場に足台がある、子ども向けジュースが置いてある…など赤ちゃん・子ども向けのグッズが置いてあることに「子どもを連れてきていい環境なんだ」と安心できます。
小杉湯では「パパママ銭湯」という親子銭湯企画もあり、それも銭湯デビューのきっかけになったり、子連れで来ても意外と大丈夫!というメッセージ発信になっていると感じます(娘も生後4ヶ月でパパママ銭湯で銭湯デビューしました)。
地域の中で多世代の人と交流しながら育ってほしい、子育てをしたい、という自分の思いもあり、それが実現できるのはいろんな人が入りに来る銭湯、特に小杉湯の強みだと思います。
ママ・パパ・こどものケアとしてできることもやっていきたいな〜と思っています。

ケア関連について充実させたいことはぽんぽん思い浮かぶのですが、まず小杉湯に日々湯が沸いて高円寺の公衆衛生を守っている!という基盤があってこそなので、ベースのお風呂業務を大事に、育児の両立も大事にしながら、ゆっくり小杉湯のケアについても実践していきたい所存です。
どうぞ応援よろしくお願いいたします♨️


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