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G7広島サミットの感想と戦略的意義についての考察

2023年5月19日から21日まで、広島でG7サミットが開かれた。本日は、この感想とともに、戦略的意義を考えてみたい。

G7広島サミットの感想

総論としては、なんというか・・・私を含む日本国民は、岸田氏を過小評価し過ぎていたのかも知れない。

ともかく、G7広島サミットは、あとから振り返って歴史の転換点になるかも知れないと思えるほどのものだったと評価しておきたい。少なくとも、以下の2点はなかなかハードルが高かった項目である。

①アメリカを含むG7首脳を原爆資料館へ連れて行き、慰霊碑に献花させること。
②ゼレンスキー大統領を訪日させること。

細かい点ではいろいろと不満もあるだろうけれど、ともかくこれらを成し遂げさせたことについて、岸田氏及び関係各位の力量は決してあなどれないと思う(簡単なことでは決してない)。

それぞれの戦略的意義について、考察していく。

G7広島サミットの戦略的意義

①アメリカを含むG7首脳を原爆資料館へ連れて行き、慰霊碑に献花させること

まず①について。被爆国であり敗戦国であった日本の被爆地に、G7首脳が参集し、原爆慰霊碑に献花することに、どういう意味があるだろうか?

世界唯一の被爆国にして、第二次大戦の敗戦国であり続けた日本が、戦勝国を含むG7や、新興国のインド、インドネシア、ブラジル等の首脳とともに原爆慰霊碑に献花させたということは、日本の「敗戦国としての立場」を脱する象徴的な一歩となり得ると思う。まさに、安部氏が望んだ「戦後レジームからの脱却」の大きな一歩だ。

もちろん、”アメリカの謝罪がない”とか、”核廃絶への直接的な言及がない”とか、高い理想を言えばきりがないけど、弱い立場の日本が主導してできる精いっぱいのことだったのではなかろうか。一歩一歩、進めていくしかないし、日本が敗戦国としての立場を脱して、今回の一歩は、次の時代の戦勝国に入るための象徴的な一歩になったと、私は思う。

②ゼレンスキー大統領を訪日させること

これはまさに、G7最大のサプライズだった。平和ボケ日本に戦時下にある大統領がやってくるというのは、日本が太平の夢から目覚める大きな一歩となったかもしれない。

そして、広島の地でインドのモディ首相とゼレンスキー大統領が会談している図など、絵力が強すぎるし・・・「広島」「モディ」「ゼレンスキー」とか、G7が始まるまではAIも困惑しそうなワードの組み合わせであるw

ひとむかし前までは、「日本は八方美人で何を考えているか分からない」と言われたり、サミットに参加しても写真の隅っこの方に存在感なくひっそり総理が写っている、というのが当たり前だったが、本当に時代は変わった。

「日本を世界の中心に」と言っていた安部氏の路線を、岸田氏は見事に継承していると思う。なんで安部氏は岸田氏を後継指名していたのかさっぱり理解できなかったが、ここ半年ほどでなんとなく分かってきたような・・・気がする。

もう少し巨視的に考察してみると・・・

G7は時代遅れと言われた時代があった。G7は先進国の単なる社交クラブであり、これからは経済発展著しい国々を有するG20の時代であると・・・

けれども時代はめぐり、再びG7が重要な役割を持つときを迎えている

現在世界では自由民主主義諸国権威独裁主義諸国のせめぎあいが起こっており、インドを始めとした第三勢力・グローバル・サウスの陣取り合戦が行われている現状である。G20は経済発展の中心ではあるだろうけど、権威独裁主義諸国をいくつか含んでおり、機能不全だ。一方のG7は自由民主主義諸国のみで構成されていて、機能不全はない。アジアで唯一G7に参加している日本の役割は、果てしなく大きい。

この流れのなかで、日本は敗戦国としての歩みを終わらせ、次の時代の戦勝国(≒ルールメーカー)に入って欲しいと願いながら、素人ながらに政治・経済ニュースを分析している。

今回のG7は、自由民主主義諸国の代表が広島に集い、第三勢力のいくつかの主要国の首脳も集まったうえで、戦時のウクライナの大統領もやってきたという構図である。

ここから先は完全に妄想になるが、あとから振り返って第二次世界大戦におけるヤルタ会談のようにならないかとちょっと思っている。

日本人って、国民性もあるのか、世界において”ルールを作る側(=勝ち組)”になかなかなれずにきたが、たぶん岸田氏はそこを狙って動いている・・・と願いたい。

クアッドの会合もできたし、もう岸田さんはホクホクではないか。。

細かいが気になる点は・・・

マクロな視点ではなく、細かいがもしかしたら重要な転換点かも知れないと思ったことが二つあった。

中国とのデカップリングではなく、デリスク(リスク回避)を目指す、と、今までとちょっとニュアンスの異なる表現があった点がひとつ。

広島アコードなる日英の”強化された戦略的パートナーシップ”が発出されたことがもうひとつ。

デリスク」と「広島アコード」。やや細かいが、あとから振り返って重要なワードなるかも知れないので、ここにピン止めしておく。

最後に、別に自民支持者でも岸田支持者でも、安倍ファンでもありません、念のため(笑)

(画像は写真ACから引用しています)

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