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日米首脳会談及び岸田首相の米国議会演説【岸田氏は日本をどこへ導くのか?】

国内ではいいところのない岸田首相・・・たった4万円の定額減税と引き換えに、「異次元の少子化対策」という名のサラリーマン家庭への負担増など、腹が立つことがたくさんあるものの、評価すべきは評価するというスタンスでなければなかなか世界情勢が見通せないというのがつらいところ・・・

そういう観点から、2024年の岸田首相の日米首脳会談と米国議会演説を分析してみたい。

史上二人目の日本の首相による米国議会演説

岸田首相はこのたび、アメリカ議会で演説を行ったが、これは日本史上二人目の快挙である。

ひとりめは・・・故・安倍首相。

良くも悪くもかなり安倍首相を意識していると思われる岸田さん、フィリピンでの議会演説に続き、アメリカでも議会演説をしたとなると、ある意味では安倍さんを越えてしまったのかも知れない。。

そういえば、世界の100人に選ばれてみたり、TIME紙の表紙を飾ったのも、安倍さん以来であった。

ということで、非常~に地味ながら、外交においては、ある意味では安倍氏をうわまる成果を上げてきている・・・

とはいえ、これらは全て安倍さんが敷いた路線の延長にある。安倍政権下で外務大臣を長く続けた岸田氏に、期待する点があるとすれば、まさに「安倍外交の継承者である」というその一点である。

なお、「は?安倍外交??ナニソレ?」という方は、下記に簡単にまとめている。


米国議会演説要旨

首相官邸HPから、重要部分を抜粋してみる。

米国は、経済力、外交力、軍事力、技術力を通じて、戦後の国際秩序を形づくりました。自由と民主主義を擁護し、日本を含む各国の安定と繁栄を促しました。そして必要なときには、より良い世界へのコミットメントを果たすために、尊い犠牲も払ってきました。

 およそ人類は、権威主義的な国家に抑圧されるような、つまり、追跡され、監視され、自己の内心の表現を否定されるような生き方はしたくない。米国の政策はそのような前提に基づいていました。

 米国は、自由こそが人類にとっての酸素のようなものだと信じていました。

 この世界は、米国が引き続き、国際問題においてそのような中心的な役割を果たし続けることを必要としています。

 しかし、私は今日、一部の米国国民の心の内で、世界における自国のあるべき役割について、自己疑念を持たれていることを感じています。

 この自己疑念は、世界が歴史の転換点を迎えるのと時を同じくして生じているようです。ポスト冷戦期は既に過ぎ去り、私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます

 米国が何世代にもわたり築いてきた国際秩序は今、新たな挑戦に直面しています。そしてそれは、私たちとは全く異なる価値観や原則を持つ主体からの挑戦です。

首相官邸HPより抜粋

私が、少なくとも外交において岸田氏を評価する理由を一つだけ述べるとすれば、まぎれもなくこの一点である。

「私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます」

これは、岸田氏の過去の発言の中にも何度も登場した言葉である。大事なことなので、もう一度いいます(笑)

「私たちは今、人類史の次の時代を決定づける分かれ目にいます」

ほんと、コレ。我々一般人が、日常生活のなかで、「あ~今は、時代の分かれ目なんだな~」と感じることはないだろうと思うけど、世界のニュースを収集し、世界情勢を分析するにあたり、つくづく感じる・・・今、我々はまさに世界は今後の未来の分岐点にいる!!

このことを、日本の総理大臣が認識しているということは、極めて重要である。いかに内政がポンコツであろうと、評価しなければならないと、ここに書きとどめておく。(別に岸田ファンでも自民党支持者でもありません、念のため。岸田さんをはるかに凌駕する、優秀な若手政治家の出現を、願ってやみません)

あとは、いくらかのアメリカへのリップサービスを含めつつも、AI、量子、半導体、クリーン・エネルギー、そして宇宙産業に関する協力関係の布石を打つ内容となっている。

そして、個人的に評価したい最後の点がここである。

このような様々な取組から、多層的な地域枠組みが生まれ、日米同盟はその力を増強させる役割を果たしています。そして、同志国と共に、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を目指しています。

首相官邸HPより

自由で開かれたインド太平洋」戦略こそ、安倍外交の精髄であり、日本の未来がかかった世界戦略である。このワードが演説に盛り込まれるかどうか懸念していたが、ちゃんと入っていたので本当に良かったと思う。

ということで、安倍氏の「希望の同盟演説」に匹敵するような、なかなかの良い内容だったのではないだろうか、と評価している。

バイデン政権全フリではない?

岸田ーバイデンの蜜月関係が深まるほどに懸念されるのが、トランプさんが返り咲いたときの「はしご外し」である。

個人的には、そこをかなり心配していたのだが、トランプ再登板への布石も打っているという報道もあったので、ここに記載しておく。

 だからといって、日本がバイデン氏にだけオールインしているわけではない。岸田氏は12日、米ノースカロライナ州にあるトヨタ自動車の車載用電池工場やホンダの米子会社「ホンダエアクラフトカンパニー」など日本企業の工場を訪れた。日本の外交関係者の間では「岸田氏が『もしトラ』に備え、日本企業が果たす役割を説明しようとしたのではないか」という見方が出ている。日本企業が米国で雇用創出に寄与していることをアピールする狙いがあったということだ。

 岸田氏は昨年10月、山田重夫氏を駐米大使に任命するなど、いち早く「もしトラ」に備えたラインを構築した。駐米大使は外務事務次官を経て任命されるケースが多いが、当時外務審議官だった山田氏を抜擢した。
 
 トランプ政権時代、国家安全保障局審議官だった山田氏は、カウンターパートのポッティンジャー国家安全保障会議アジア上級部長(当時)と毎日のように電話しあう仲だった。2018年、文在寅大統領(当時)が提案していた米朝首脳会談の板門店開催や終戦宣言にトランプ氏が関心を示すと、日本はトランプ氏を説得してシンガポールに開催地が変更され、終戦宣言構想は雲散霧消した。これを主導したのが山田・ポッティンジャーラインだった。

上記記事より引用

トランプ大統領再選に備えをしているのが本当であるならば、岸田政権も案外あなどれないのかも知れない。

さらに凄い「日米比首脳会談」

さらに凄いのは、今回、フィリピンも交えた首脳会談を実施したことである。

安倍外交の成果として、日米豪印(QUAD)首脳会談は定期的に開催されるようになり、日英、日豪の準同盟化も進みつつあるなか、ASEANの中心にあるフィリピンをぐっと引き寄せる枠組みを作ったことは、素晴らしいことである。

これも、岸田さん発案というわけではなく、安倍外交の継承ということであろうが、岸田さんは変に独自色を出そうとせず、この路線をまい進してくれれば、少なくとも外交的には大きな問題はない。

ただ・・・繰り返しになるが、岸田氏の「次」がなかなかいないのが、日本国民にとって大きな不幸であることには違いない。。。

(画像は写真ACから引用しています)

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