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ロックヒストリー  曲紹介編 50年代②

ロックヒストリー  曲紹介編①から続き

続いてジェリーリールイス。初期エルヴィスやカールパーキンスと同じサン所属のロッカー。ピアノがメイン楽器で黒人リズム&ブルースのブギーピアノのスタイルを基盤としつつピアノに登ったり足で弾いたり火をつけたり・・・とワイルドなステージパフォーマンスを地で行くように私生活でも前妻との離婚が成立していない状態で14歳の従弟と結婚する等やりたい放題。未成年近親重婚・・・と良識派にとって憤死レベルの所業でネットがない60年前でも大炎上し人気が持続しなかった。2022年没・・とロックンロール第一世代としては最も長生きで結局人間やりたいようにやったヤツが勝ちだな、と思わせる。全米2位の大ヒットを記録した彼の代表作Great balls of fireは少し配置をいじった気の利いたブルース進行の佳曲だ。

ところでジェリーリールイス・・・といえばピアノの人なわけだが、ギターも注目に値する曲がある。58年のHigh school confidential のギターフレーズに俗にいう「ジミヘンコード」が既に使用されている。イントロブレイク後のピアノの合間に切れ込む金属的なギターの響きがそれだ。ジミヘンが世に出る8年前、ロック/ポピュラーのヒットとしては最初のジミヘンコード使用のような気がする。ギターを弾いているのはジェリーリーの多くの曲でギターを弾いているローランドジェーンズというサンレーベルのハウスギタリスト。ジミヘンはギターに着火するパフォーマンス等ジェリーリールイスと共通点が多い。ジミヘンがこの曲をヒントにしているかは知らないが世代的には間違いなく影響は受けているはず・・・ではある。


続いてバディホリー。個人的にこの辺の音楽を聴き始めた80年代後半から90年代前半にかけて妙に再評価が高くフィフティーズ好きのみならず少し気の利いたロック好きの若者の支持が高く「バディホリー聞くのはカッコいい」みたいな流れがあったように思う。齢12~3歳の時分で既に「流行りものには懐疑的になる」天邪鬼プログラムが脳に組み込まれていた自分はそういう意味で少し構えて聞いた記憶がある。結論から言えばもっとトンがったものを期待していて意外とオーソドックスかつソフトで肩透かしではあったものの評価されるだけのクオリティではあるな、というのが初の感想だった。彼といえば・・・なペギースーは個人的には悪くはないがまあそれなりかな・・・という感じだったりする・・ので最初にベスト盤を聞いた際に個人的に最も好きだった曲を紹介。

そしてエディコクラン。これもバディホリーと同じ感じで自分が聞き始めの頃、80年代終わりぐらいに「聞いてるとクール」・・・みたいな感じがあった気がするアーティスト。彼も全体的になんか思ってたよりソフトだな‥‥というのが第一印象だったが聞くうちにどんどんハマった。サマータイムブルースやカモンエブリバディ・・・といった代表曲も結構好きではあるがよりかっこいいこちらを紹介。畳みかけるような曲調とキャッチーなリフが要の曲。このリフの音階でブルーノート7thを使っている部分を1音上げてオクターブ上のルート音に変えているカバーバージョンをよく見かけるが、ブルーノート7thはロックにとってものすごく重要な音で、どのくらい重要かというと「ロックか非ロックか」を隔てる3個の要素のうちの一つ…には間違いなく入るぐらい・・・なのでそう言ったアレンジをしていない原曲で堪能するのが一番。

ところで自分が「人生で最初に認識したブルースぽい曲」はエディコクランバージョンのミルクカウブルースだった・・・本当は「ブルース初体験はブラインドウィリーマクテルやココモアーノルドやスキップジェイムス・・・」とかクールにキメたいものだが、情報量も限られていた時代の地方都市の子供が触れることのできた現在進行形でない音楽・・・はたかが知れており、町のCD屋で唯一入手できる、現行の通りいっぺんの国内盤コンピの片隅に曲数稼ぎのように入っていたカバーバージョン・・てのがリアルで生々しい。まあ今となっては町のCD屋というものが存在し、通りいっぺんでも一応ロックの歴史を辿る事ができる在庫を抱える余地が残されており、自分のような情報弱者の子供でもそれにアクセスできる環境が残されていただけマシ・・・と言わざるを得ない現状が悲しい。

それはさておき、このバージョンの音楽史的な重要度や位置づけ・・を抜きにして考えればカッコいい演奏だし、さらに踏み込んで言えば1960年に早逝した彼が生前、即ち50年代の時点で60年代中期以降に盛んになるガレージ的要素が強いバンドサウンドをやっていた先進性は注目に値する。

・・・今回は白人系が中心になったので次回はブラックロッカー要素強めで行く予定。

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