おぜう

塾の教室長だったり家庭教師だったりラジオパーソナリティだったり役者だったりする人です。…

おぜう

塾の教室長だったり家庭教師だったりラジオパーソナリティだったり役者だったりする人です。日々思ったことを書いてます。

最近の記事

「可愛い」市場(至上)主義

 突然ですが、皆さん自分のこと「可愛い」「格好良い」と思いますか?  いきなり何訊いてんだって話なんですけど、正直ある程度は自分のこと可愛い、格好良いって思ってる人いるんじゃないでしょうか。全然悪いことじゃないと思います。むしろ良いことだと思います。勿論、「あまりモテなかったし自信ないな」って人も多いんじゃないでしょうか。多分、自分の見た目にある程度自信があっても、「芸能人とかアイドルほどじゃないしなあ」って同時に思うことあるんじゃないですかね。私もそうです。まあそこそこ好

    • ルーキー

       以前、音響スタッフとして入った現場。  役者の集まりが悪かったのか、何故なのかはわからないが、通しを一度も見せてもらえない(というかやっていない)まま小屋入り期間を迎えた。  主宰兼演出兼主役の方には、「音響さんにお任せします」と言われたので、事前に音の候補も出していたのだが「劇場のスピーカーでないとわからない」と言われ小屋入り前に確認すらしてもらえなかった。 結果、提出した楽曲は場当たり時に「これは違う」とことごとくボツになり、結局その場で選んだ楽曲を初見の演技に合わせる

      • 復讐のお作法

        最高の復讐はあなた自身が幸せになることです。 よく「嫌な上司 仕返し」とか「知人 復讐」みたいな言葉で調べると出てくるサイトにこんな文言が書いてある。仕返ししても気持ちは晴れない、いつまでもそんな人間に固執しても運気が下がる……エトセトラエトセトラ。 私が少しでも素直で可愛げのある人間だったら「あっ、そうなんだ〜やっぱり仕返しなんてやめて気分転換にパンケーキでも食べいこ♡」みたいなことになるんだろうけど、悲しいかな自分には素直さや可愛さのかけらもないのでそのままブラウザバ

        • 変わりゆくもの、成れの果て

          「人間だし、考えが変わるのは仕方ないと思う」  大学時代からの友人が、ふと会話の中で放った言葉。当時の私はその言葉を頭では理解していても、心の底から共感することはなかった。「そうかもしれないけど、少なくとも自分は違う」と思っていた。恥ずかしい話だが、当時の私は今よりもかなり尖っていて、「一貫性のないことは悪」くらいのスタンスでいた。だからその時点では友人には賛同できなかったのだが、あれから二、三年、様々なことを経験して、ようやくその言葉を実感として受け入れることができる。私

        「可愛い」市場(至上)主義

          恥を忍んで

          長くなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。 いきなりだが、祖母の話をしてみたいと思う。父方の祖母の話である。 祖母とは実は血が繋がっていない。実の祖母は、父が五歳の時に石炭ストーブの事故で亡くなってしまった。だから私は実の祖母にはあったことがなく、私にとって祖母は後妻である方の女性だ。 祖母は北海道の海側の出身らしい。そちらで一度結婚し、息子を産んだそうだが、当時の旦那からの度重なる暴力に耐えきれず、息子を置いて逃げてきたらしい。その後妻を亡くした祖父と出

          恥を忍んで

          ドリンク代込、3500円の人生

          ラジオや舞台の裏方をやって数年、アイドルさんやタレントさんからこういった相談を繰り返し受けることがある。 「ファンの方から『リプ返してくれないならファンやめる』『配信でコメント拾ってくれなかったからもうライブ行かない』って言われたんですよ」 この手の話、実は結構よく聞くのである。ファンに限らず、「クライアントに容姿いじりをされて嫌だったけど、仕事を貰ってる身だから何も言えなかった」とか、「ライブの主催者に嫌なことを言われたけど、次回のライブに出してもらえないのが怖くて言い

          ドリンク代込、3500円の人生

          お父さんのはなし

          先日、参加したRadio Star Auditionが終了した。私は予選、セミファイナル共に得票数では1位になれず勝ち抜けできなかったものの、なんと「審査員賞」なるもので幸運にも決勝戦まで駒を進めることができた。ファイナルでは残念ながら落選してしまったけれど、誰がなっても良いくらいみんな素敵な方で、私なんてのは元々2回も1位で勝ち進んだわけでもないのだからまあこんなものかと納得した結果となった。 オーディションはそもそも投票型だったこともあり、ファンやフォロワーが圧倒的に少

          お父さんのはなし

          毒の致死量

          いま、ラジオパーソナリティワークショップで、某AM局のアナウンサーの方から色々教えていただいている。元々ラジオをやってはいたものの、きちんとしたレッスンを受けてはいなかったので私がやっていた番組は完全に我流だった。その中で身につけて正解だったものもあれば、そうでなかったものもある。 たくさん教えていただいた中で印象に残っているのが「毒を少しだけ混ぜる」ということ。綺麗すぎるコメントは面白みに欠けるのだと。なるほどな、と感心したのだが、ふと、以前似たような言葉を耳にしたことが

          毒の致死量

          泥をくらわば笑顔で

          舞台公演がまた再開されつつある中で、告知のツイートがタイムラインを埋めるようになってきた。それぞれ作品に込めた想いや、楽しげな稽古写真などを呟いており、なかなか興味を惹く作品も多い。 そんな中、ふと目にした宣伝ツイートが心にひっかかった。詳述は避けるが、要は「某お金配りの方々からお金が降ってきそうもないので、皆さん代わりにチケット買って応援してね」みたいなものだった。 たしかに今この状況でお客さんを集めるのは難しい。そもそも小演劇自体があまり儲からないと言われているので、

          泥をくらわば笑顔で

          裏側の話

          ずっと前からこの話題は小劇場界隈の役者さん、フリー声優さんにお伝えしたかったものなんだけども、長くなってしまうのと、どう表現したらいいかが難しくなかなか手が動きませんでした。ただ、先日私がお世話になっているところで同じような話が出たので、いっちょ書いてみるかと筆を取りました。 私は関東の某コミュニティラジオ局に勤めていました。社員は私と社長、時折顔を出す専務さんの3人。私はラジオ番組収録、取材、編集、放送管理、HP制作やパンフ作り、営業まで全ての業務を担っていました。小さい

          裏側の話

          キライになれない

          最近、よく考えていることがある。 「自分の商品価値って何だ?」ということだ。 例えばアイドルなら可愛いとか歌が上手いとかダンスが上手いとか、営業マンなら笑顔が爽やかだとか説得力があるとか。そんなとこだろうか。芸能人だけじゃなくサラリーマンだって自営業だって何だって、どんな仕事にも付いて回る課題だと思っている。自分の商品価値とは。 私の強みは何だろう。考えてみると、浮かばない。何を考えても「いや、もっとできる人いるよな?」という言葉ばかりが頭を巡る。でもそんなこといったら

          キライになれない

          油断即死

          「油断すると死ぬぞ」 とある舞台の顔合わせの際、主宰(兼演出)の方が言った言葉だ。舞台には危険がつきものだ。大道具が倒れてくるかもしれない。殺陣の最中に相手を怪我させてしまうかもしれない。舞台から落ちてしまうかもしれない……等々。そういうリスクは常について回る、だから気を抜いてはいけないと。そういう意味だった。 連日のニュースで誰もが知っているが、現在はそこに更に別のリスクが加わっている。体調不良者が一人でも出ればその舞台が中止になってしまうというリスク。これは正直座組全

          油断即死

          怒るのは自由、悲しみは無料(ただ)

          私は横田家の長女として生まれた。第一子、女性。それが私だ。四つ下に弟がいる。 よく長子が「お兄ちゃん/お姉ちゃんなんだから、と言われて辛かった」という話を聞く。私も言われたことがないわけじゃないが、弟とは性別が違ったりある程度歳が離れているからか、おもちゃの取り合いなどはしたことがなく、そんなに強く記憶には残っていない。だから友達が親にそう言われた、と話していたときは「大変だなあ」と心配しつつも、どこか他人事のようにも感じていた。 ただ、その代わりにずっと言われ続けてきた

          怒るのは自由、悲しみは無料(ただ)

          挫折にすらならない

          先日、質問箱で「挫折したことはありますか?」と聞かれた。私は「死ぬほどある」と答えたのだけれど、実は正しくない答えだった。ここにお詫びして訂正いたします。 そもそも挫折って何だろう。意味を調べると「目的を持って続けてきたことが途中でダメになること。あるいは、それによって挫けて気力をなくすこと」らしい。そこではたと気付く。 私、挫折してないかもしれない。 正直この言葉を調べるまで、私の人生は挫折にまみれたものだと思っていた。絵を習いたかったけどお金が無くて習えなかったこと

          挫折にすらならない

          無知の知

          私は大学の頃、バンドサークルに入っていた。固定バンド制ではなく毎回のライブに向けてやりたい人とやりたい曲をやるというスタイル。楽器も持たなかった私はボーカルをやっていたのだが、お世辞にも歌は上手くはなく、自信を失くし毎回人手不足気味だったギターとキーボードを始めた。確か、2年の春だった。 こんなことを言ってしまうとミュージシャンの方々からは顰蹙を買うかもしれないけれど、ボーカルはいわばバンドの顔、そして楽器隊は裏方に近い(と私は思っている)。その裏にいると、意外と簡単だと思

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          妾の一生

          最近、朝のニュースのアイドルオーディション番組のコーナーにハマっている。 彼女たちは15〜19歳。まだまだ若く将来なりたいもの、なれる可能性が無限に広がるゴールデンエイジ。残念ながら脱落してしまった子、そもそも最終審査に残れなかった子もたくさんいるだろう。というか、そういう子の方が圧倒的マジョリティだ。 ふと、自分が彼女たちの年齢だった頃を思い出す。 私は勉強に対して厳しい父のもとで育った。部活は週2日まで、土日に家族の用事以外で出掛けるなんてもってのほか、父から与えら

          妾の一生