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一時帰国で思った日本のアレコレ

アメリカから日本へ一時帰国してました、約一ヶ月間。東京周辺に一週間、大阪周辺に一週間、広島に二週間てな具合で。

約一年前にも帰国してるし、日本に対して改めて思うこともないだろうなーと思っていたけれど、意外とあったので書き記しておきます。


至る所にある「禁止」マーク

ホテルのトイレで、蓋の内側に書いてある禁止マークを見た娘が「これなに?」と聞いてきたのが全ての始まり。赤い丸に斜線のこれです。

私には見慣れた「禁止」マーク。でも娘にはとても珍しかったようで、これ以来「禁止」マークを目にするたびに「なにしちゃいけないってかいてる?」と聞いてくるように。

トイレの蓋の内側には、上に乗ってはいけない。水をかけてはいけない。的なことが書かれていて。
公共交通機関に乗れば、ドアに手を置かない、駆け込み乗車をしない。ホテルの朝食会場には、携帯で電話をしない。ショッピングセンターではペットは不可、などなど。

日本ってこんなに「禁止」が明示されてるんだ、と初めて気がついた。今まで意識してなかったから、アメリカでもちゃんと見ればあるのかもしれないけど、それでも日本ほどではないと思う。

一見すると、アメリカのように多様な人が集まっている国の方が、禁止事項を明示した方が良いような気がする。そこの共通認識がないから。

だけど実際は逆ということは、アメリカの方が他人への許容度が高いのかも?安全性に関わるものは別として、みんなが同じルールに則って生きているという前提がないからこそ、ルールからの逸脱に寛容だったり、ルール自体を設定しないのかもしれない。それ以前に他人の行動に興味がないとも言える。

日本では、その場所に応じた「正しい振る舞い」が、ある程度人々の共通認識にある。だからこそ、そこから逸脱する行動への許容度が低く、何が許されないかを明示しなければいけないのかもしれない。知らんけど。

トイレのマークも日本発祥だって聞くし、日本は記号化するのが得意なのかな。知らんけど。

まあこんなあまりに雑な分析は置いておいて。こちらはどこへ行っても娘に「なにしちゃいけないってかいてある?!」と聞かれてうんざりしたのである。別にハッピーな話題でもないし。


歩道リテラシーの低い娘

日本へ帰り、娘へ注意する頻度が格段に増えた。特に歩道を歩くとき。
アメリカだと歩道を歩くことがほぼない。家から出たらすぐ車に乗り、目的地まで車で行くから。だから娘の歩道リテラシーは凄まじく低い。

走り回らないで!突然止まらないで!道路の外に出てはダメ!道が途切れるところでは左右を見て!歩く場所を変える時は後ろから誰か来てないか見て!

アメリカで歩くと言ったらショッピングモールや公園くらいしか機会がない娘は、一挙手一投足にやいやい言われて大変不服そうだった。こっちも口うるさく言いたくはないのだが、仕方がない。娘とは対照的に、すれ違う子どもたちの歩道リテラシーの高さったら。

代わりに娘が会得したリテラシーはなんだろう。駐車場リテラシーかな。都会の子は馬鹿でかい駐車場に馴染みがないだろうから。

と言っても、駐車場リテラシーなんて「勝手に走り出さない」だけなんですけど。


ゴミ箱はどこへ消えた?

日本はゴミ箱がない、というのは今更言うほどのことでもないと思うのだけれど、今回の一時帰国では「ほんっとうに、どこにもないな???」と何度も愕然とした。

この数年で日本のゴミ箱撤去が加速したのか、私がアメリカに慣れて日本の公共ゴミ箱事情を忘れ去っただけなのか。

日本はいつでもどこでも美味しい飲み物を手に入れられる。至る所に自動販売機かコンビニがあるから。だけど飲み終わった後のゴミを捨てるところがどこにもない。

アメリカにも自動販売機やコンビニはあるけど日本と比べると数は少ないし、選択肢が炭酸飲料か甘い飲み物か水しかない。私は炭酸も甘い物も飲めない。毎回水を買うのも馬鹿馬鹿しいので、外出時は水筒を持ち歩くようになった。そもそも基本車で移動するので、飲み物のためだけに車を停めるのも面倒。ドライブスルーするほどでもないしなあ。と言うことでめっきり外で飲み物を買わなくなった。

日本のコンビニ最高!自販機最高!と思って喉が乾けば躊躇なく飲み物を買っていたけれど、その後からのペットボトルや紙パックを所在なく握りしめる羽目になった。鞄にも入らない。こんなことなら水筒を持って大きな鞄でくればよかった。みんなどうしてるんだろう。


便利すぎて不便を愛したくなる

友達とランチした後、そのまま夜は別の飲み会へ行く日。ランチの時点で充電が少なくなってピンチだった。モバイルバッテリーも持ってない。すると友達がChargeSPOTなるものを教えてくれた。モバイルバッテリーを好きな場所で借りて返せるアプリ。乗り捨てできるレンタサイクルみたい。

東京で使ったのだけれど、もう本当にそこらじゅうで借りて返せる。ものの数十分で充電も満タンになった。東京砂漠をスマホなしでは絶対に生き延びれなかったのでまさに地獄に仏!という気持ちだったけれど、ちょっと便利すぎて引いた。誰かの不便がビジネスチャンスと言うけれど、ビジネスチャンスを拾いすぎじゃない?お世話になっておいてこんなこと言ってすみません。

電車は数分おきに来る、レストランやコンビニがそこらじゅうにある、スマホで何でも支払える、充電もどこでもできる…
便利すぎて、便利の基準が高すぎて、少しでも不便なことや想定通りにいかないことがあるとネガティブな気持ちになってしまいそうになる。電車を一本乗り過ごしたってご機嫌でいたいのに。

不便な、ままならない日常を愛したい。便利に不慣れな自分でいたい、と思ってしまった。無性に。


それでもコンビニは神

そんなこと言ってるけど、それでもコンビニは神だった。

渡米前の私は、コンビニとの関係が希薄だったように思う。行くとしても会社のお昼休みくらい。新作のコンビニスイーツをチェックしたこともない。なので渡米後初めての一時帰国だった前回も、コンビニへはほぼ行かなかった。せっかく日本に帰ったのにコンビニ?みたいな気持ちがあったと思う。

ところが今回の一時帰国では、やたらとコンビニにお世話になった。いろんな偶然が重なったのもあるし、みんながやたらと日本のコンビニを褒めちぎるので、私の中でコンビニの地位が潜在的に上がっていたのかもしれない。

久しぶりのコンビニは、何もかもが輝いて見えた。種類豊富なおにぎり。レジ横の肉まん、つくね棒。美味しそうな菓子パンたち。ずっと見ていられた。スイーツコーナーなんて、端から端まで買いたかった。

私にとってのコンビニは「必要なものを買う場所」で、必要最低限の時間しか滞在したことがなかったのに、今やコンビニはテーマパークだった。もう隅から隅まで見て回った。見落としがないように同じ場所を何度も見た。え、焼き菓子の種類こんなにあるんだあ。干し芋売ってるじゃん!!てな具合に。


みんな疲れてた

これは私よりも夫が先に言い出して、言われてみると気になるようになった。接客する人が、みんな疲れてる。ホテル、レストラン、ドラッグストア、コンビニ。

私は学生時代から、電車に乗っている疲れたサラリーマンを揶揄する言葉が嫌いだった。あんな風になりたくない、みたいな。一人で電車に乗ってるときにハッピー100%!みたいな人間いないだろ、と思ってた。でも今回すごく思ってしまった。電車に乗る人たちも、疲れてる。

きっと電車を降りて、人に会ったり、家に帰ったりしたら、その人のハッピーな顔が見られるんだと思う。わざわざ電車で出さないだけで。でもなんかみんな疲れてない…?夫が言ったように、接客する人たちもすごく疲れてた。丁寧なんだけど疲れてる。アメリカはすごい雑なんだけど、疲れてるって印象を持つことはそんなにないんだよなあ。

みんな本当に丁寧でしっかり接客してくれて、それでいてすごく疲れてるから、もっと適当でいいんじゃない社会?と言う気分になった。鼻歌を口ずさみながらレジ打ったっていいよ。みんな元気でいてほしい。


日本のいいところは変わらない

日本に感じた違和感を書き連ねると、出羽守と言われてしまうかもしれないが、日本のいいところは渡米前の私の認識と変わってないので改めて書くこともないのである。

ご飯が美味しくて、自然が豊かで、街はどこも綺麗で、人々の物腰は柔らかくて親切。そして何よりも治安が良い。いろんなことを書いたけど、不快な思いは何もしなかった。それは私が日本人だから、と言うのが大きいとは思うけど。

飲み会からの帰り道。22時頃にホテルまでの道を一人で歩きながら、こんな時間に一人で外を歩くなんてアメリカでは考えられないな、と思った。
周りを見ると同じように一人で歩く女性は他にもいて。
もしアメリカで同じことをするならば、私の心臓はバクバク言っていると思う。スマホはいつでも誰かに電話できる状態にしておいて、周囲をキョロキョロ見渡しながらすごい早足で歩くと思う。安全は何にも変え難い。

食事の重要性も改めて感じた。日本で食べたご飯はどれもこれも美味しくて馴染みがあって、最高だった。アメリカではほぼ自炊していて、食べたいものを作って食べているつもりだけれど、日本の食材だって割と手に入る環境だけど、やっぱり違うんだな、と思った。毎日三食、自覚もしていない小さなストレスが塵のように積もっていたみたい。

アメリカ暮らしも好きだし、肌に合ってると思ってるし、まだまだいたいと思ったりもしてたけど、一気に日本に帰りたくなった、そんな今回の一時帰国でした。

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