君のお陰で君を超えれた。 (随筆)

桜散り、花びらの絨毯の上を歩いた。
新学期が始まる。
新学期初日、ドキドキしながら登校した。「一緒のクラスだ!!やったね!」「あー違うクラスになっちゃった…。でも、これからも仲良くしようね!!」玄関に貼られたクラス名簿の周りで皆が盛り上がっている。
人混みをかき分け、クラスを確認し、教室へ向かった。私はクラスがわかった瞬間より、教室へ入るときのほうが緊張する。
小さな声で「おはようございます。」といい、まっすぐ自分の席に座る。静かに教室を見渡した。

一人の男の子に、目が釘付になった。

皆がクラスに馴染んで来た頃、私は完全に恋をしてしまっていた。彼は学年でも頭の良い方で、スポーツ万能。皆に優しく、イケメン。彼の周りには男女問わずお友達がたくさんいた。
小学5年生、青くみずみずしかった私の心に色とりどりの花が咲いた。彼を見つけるだけで顔を赤らめ、話すと言葉が上手く出ず、家に帰っても彼のことばかりかんがえていた。

どうにかして、彼との距離を縮めたい。そう思った私は、男っぽいノリと口調をするようにして、まずはお友達として距離を縮める作戦を行った。彼はよく昼休みに友達とサッカーをしていたので、その男の子集団に入った。別にサッカーの経験も興味も無いし、得意でもなかったが、彼と一緒に遊べることが嬉しくて、必死にボールを追いかけた。
そうしているうちに彼と打ち解け、学校終わりも遊びに誘われるようになった。

それ以降もいろいろな方法でアタックした。お家に呼んで遊んだり、バレンタインを渡したり。わざとタイミングを合わせて手を洗いに行ったり。目を合わせたと思ったら反らしてみたり。思いつくことすべてをやっていた。
もちろん自分磨きもした。彼と釣り会えるようなかわいい女の子になれるように。

月日は流れ、六年生の修学旅行。班別行動は一緒になれなく、がっかりしていたが!その日の夜彼からブレスレットをもらった。緑色のゴム製のもので、皆に無料で配っていたものだった。私はそれと色違いのものを多分同じ店でもらっていたが、彼からのプレゼントということで、その場でジタバタしたくなるぐらい嬉しかった。私は、「ありがとう。大事にする。」と、言うと彼は、顔を赤らめながら「お休み」とだけ言って去っていった。

翌朝、先生に起こされ目を覚まし、半目のまま枕元に置いておいたブレスレットを見ながら昨日のことを思い出し幸せを感じていた。朝日に照らされたブレスレットが輝いている。ふと、ブレスレットに文字が書かれてあることに気がついた。

「I LOVE YOU」

と、書かれていた。目をかっぴらいた。声には出さなかったが、心のなかで、張り裂けるほど叫んでいた。そういうことなのだろうか。彼は私を彼女にしてくれると、そういう意味でいいのだろうか。

宿をでて、次の目的地についたとき、やっと彼を見つけた。彼を見つけるまで、私は何も考えられていなかったと思う。ただただ、体中に心音が響いていた。
彼と目が合う。整列をしなければいけなかったのだが、いち早く、どうしても、聞きたかった。
彼の前までいき、ブレスレットを見せながら私は
「これ、ありがとう…。これって、私と付き合うってことでいいんだよね?」
と、緊張と少しの不安をさとられないように、平常心を装って聞いた。
「うん…」
彼は恥ずかしそうに、したを向きながら小さくそう答えた。

周りの皆が拍手していた。私以外昨日の晩のうちに知っていたみたいだ。先生も状況にきづいて苦笑いをしていた。

私は幸せの絶頂にいた。初恋が、片思いが、叶ったのだ。

それから、静かに、いわゆるバカップルと言われないように、幸せに毎日を彼と過ごしていた。二人で図書館の端っこでくっつきながら本を読んだり。
授業のちょっとしたペアワークも、自由なら二人で組んでいた。彼はロマンチックだし、レディファストで、付き合ったあとも、彼への思いは増していった。

そんな毎日が続いていた数カ月後、彼は突然、
「俺中学受験する。」
といってきた。凄いじゃん。頑張ってね、応援してる。言おうとしたが、言葉に詰まった。もし彼が合格してしまったら、彼と会えなくなってしまう。あと数ヶ月でお別れは嫌だ。と、思ってしまった。




長めになりそうなので、ここらへんで一旦区切りたいと思います。まだまだ続きます〜

#忘れられない恋物語

この記事が参加している募集

忘れられない恋物語

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?