【KY36】スタグフレーションと投資スタイル①
久々の更新です。
最近はスタグフレーションなのではと感じています。
このテーマで書いてみようかと思っていたのですが、難しすぎてなかなか筆が進みませんでした。
ところでスタグフレーションとは、景気が停滞しているにもかかわらず物価が持続的に上昇する状態をいいます。
メディアは中央銀行などの当局に逆らいたくないのか、スタグフレーションだとははっきり述べておらず、歯切れが悪いです。
スタグフレーションは金融政策の失敗ですからね。
私もスタグフレーションとは思わないのですが、入り口ではと薄々感じており、どういう風に投資しようか悩んでいます。
そこで今回はスタグフレーションをテーマに、これからの投資スタイルについて書いてみます。
長文になると思うので、数回に分けて書いてみようと思います。
昨年度の振り返り
四季報を読み終えました!
ちょっと話は逸れますが、ようやく最新版の四季報の精読が終わりました。
一度はやっておきたいなと思ったのですが、実際にやると苦行ですね。
ちなみに四季報の春号は3月発売なので、1年間の振り返りに適しています。
雑感ですが、半導体や自動車、海運などテーマ性が強いものが買われていたと思います。あと輸出企業が有利でした。
ただ印象的だったのが、先導株が集中的に買われていて、同業種の中でも勝ち組負け組の明暗が分かれていました。
日経平均は値嵩株の影響が大きいので、TOPIXのように時価総額の加重平均で見るならば、昨年度は株式市場は活況ではなかったと思います。
シャンパンタワーのような、上から下へと波及効果が薄かったからです。
最近の動向
3月〆の本決算が先週から今週に掛けて開示されましたが、昨年度の業績は総じて良かったようです。
ただ通期見通しが弱いです。まあ昨年度が良すぎた分、仕方がない気もします。
まだ全部を確認していませんが、ちょこちょこと見る限りでは、そのような印象です。
銘柄選定が大事
ここからは、景気動向に合わせた銘柄選定が重要だと思います。
なぜなら今はスタグフレーションの入り口でして、経済が不安定で、株式はインフレーションの視点からは優位性のあるアセットなのですが、不況の場合は企業の業績が悪くなるので、株式は債券やコモディティと比べて優位性が低いからです。
特に日本株は日本人が買っていないこともあって、弱いです。
日本株の伸び代はまだまだあると思うのですが、外人がよく買う日経平均構成銘柄を中心に上がっているだけで、力強さがないです。
日本人はオルカンとS&P500ですから、外人主導の相場だと世界経済(特に米国)の影響を大きく受けるのは、仕方がないですね
スタグフレーションと世界経済
米国の経済動向
世界的には米国を除くと、不況です。
まあ米国はバラマキとレバレッジ(負債)、移民(不法を含め)によって支えられているだけで、金融経済の好調さと裏腹に実体経済は良くないです。
いくつか記事をピックアップしておきます。
最近の米国の指標では、5月のCPIはインフレは徐々に収まっているものの、小売りは良くなかったです。
米国は個人消費に支えられた国ですから、インフレが依然として高く、この状況で経済が低迷するということは、あまり良くない傾向といえます。
分かりやすくいうと米国経済はドーピングしている状態で、さらにドーピングできるかは不明です。
世界の経済動向
それはさておき世界的な景気循環は、中国→欧州→日本→米国と繋がっていると言われています。
中国は言わずもがな、欧州は外需に依存しており中国の影響が強いので、景気は冷え込んでいます。
日本はというと、5月16日に内閣府から公表される2024年1~3月期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比▲0.5%(前期比年率換算▲2.0%)でした。
順当に行くと、次は米国です。
なお世界銀行によると、2024年の世界経済の見通しはここ5年でもっと悪くなると予想されています。
コロナのときは各国が財政出動していましたが、今はインフレで財政出動ができない分、仕方がないのですね。
そして中国と日本を除くと、各国は金融引き締めを行なっています。
米国経済は底堅い?
ここで理解しておかないといけない点は、金融経済(ストック)と実体経済(フロー)の違いです。
ほとんどのエコノミストが言う、「米国経済は底堅い」の意味は株式や不動産など金融経済を指すことが多いです。
実体経済は、リーマンショックを超えるクレジットローン残高と延滞率に、さらにレバレッジを掛けている状態です。
そして問題は米政府のバラマキがあっても、個人の負債が増えているということです。
バイデン政権はコロナ・パンデミックの財政出動(2兆ドル)だけでなく、学生ローンの免除(累計430万人に1,530億ドル)、度重なるウクライナ戦争の戦費調達で800億ドル以上(半分以上は国内の軍需産業に流れる)、半導体企業やEV支援など、バラマキまくっています。
そらいくらFRBが引き締めをしても、インフレは止まりませんよね。
実体経済はドーピングしまくりで、雇用も移民による低賃金の労働が支えているだけで、消費もサブプライム層(低所得者層)のクレジットローンによって支えられています。
そしてコロナ・パンデミックの過剰貯蓄が解消されました。
要するに実体経済は芳しくないのです。
このように見ると、日本や欧州、米国もスタグフレーションの入り口に差し掛かっているのは間違いないと思います。
これからの投資スタイル
長文になるので、理論的な説明は次回にするとして、結論だけ述べておこうと思います。
私自身は、今年の日本の株式市場は大きくは上がらず、ダラダラとレンジ相場を作りつつ下がっていくストーリーです。
そしてリスクオフの要素と、スタグフレーションを意識した投資スタイルが良いと考えています。
業界ごとの先導株を中心に2番手3番手、出遅れている大型の銘柄を狙う
景気循環(金融相場・業績相場・逆金融相場・逆業績相場)を意識する
トレンド・テーマ性を重視する
理想買いではなく現実買い
財務の安定性が悪いところは原則的にパス
イノベーションを起こす可能性の高い銘柄をフォローする
1については四季報を読む限り、今後もシャンパンタワーのように上から下へと波及効果は薄いと感じるからです。
特にグロース市場の中小型銘柄は、あまりお金が入ってくる雰囲気は感じられませんでした。
2と3については、スタグフレーションでは株式のアセットとしての価値が下がるので、銘柄選択が重要になるからです。
4、5、6については、スタグフレーションならではです。
不況だからシビアに考えるべきです。
特に6についてはインフレだから金利は高めになりますし、それに抗うだけの成長力のある企業に注目が集まるからです。
ところでスタグフレーションの解決方法は、金融政策でも財政政策でもなく、民間の成長力に掛かっています。
なぜなら金融緩和と財政拡大をするとインフレを助長するし、金融引き締めと緊縮財政をすると、景気を冷やすだけだからです。
スタグフレーションの問題点は、景気と物価抑制はトレードオフということです。
簡単にまとめてみました。
有力なエコノミストなどが、米国債や金など貴金属を推奨する理由も、スタグフレーションを意識しているからなのでしょう。
株式は今の局面では、買い推奨が難しいのではと思います。
以上、今回はここまで。
次回は、もっと掘り下げようと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
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