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基幹システムのアジャイル開発番外編。~ビジョンとスモールサクセスでユーザーとシステム双方の成長サイクルを実現~

私の担当する事業計画分野において、基幹システムを刷新するということで何度か記事にさせていただいています。

前回記事です。

だいぶ間が空いてしまいましたが、毎週の開発会議は続いています。
すべて開発サイドで用意してしまうウォーターフォールではなく、ユーザーの声を聴きながら修正を繰り返していくアジャイル開発ということで、その意見交換会のようなものが続いています。

ただし、あくまで意見交換会なんです。
交換というのもちょっと違うかもしれません。ユーザー確認会、という感じでしょうか。

要は、開発が用意した画面をユーザーが確認する、というものです。

この頻度が高いことをもってしてアジャイル開発と言われていますが、ちょっと考えてみると、ユーザーとの対話の機会が多いのはアジャイル開発の一つの要素かもしれませんが、それ自体がアジャイル開発を定義するものではないのではないか?と思います。

そもそも、ユーザーが”使ってみる”というところが肝要なのではないかと思います。

現時点は、ユーザー(本プロジェクトにおいては事業部の実務者)は完全に「待ち」です。確かに開発途中にコメントすることはできますが、使っているわけではないので、「見てるだけ」です。

これではユーザーは何も体験することができません。想像するだけです。

確かに、今回刷新しようとしているシステムはかなり壮大です。海外も繋ぎますし、現在4か月かけて行っている計画立案業務をすべて一つの新しいシステムに流し込もうとしているのですから、「今の作業」をそのまま移植するだけでもかなりなボリュームになります。

それもあって、実際のローンチは2年後に予定されています。もちろんその2年間の計画はありますし、それを見るとやることが多いということもわかります。

でも2年後です。

なかなか気持ちが盛り上がりません。いま、すぐ解決したい課題がいっぱいあるのに、其れが解決できる(かもしれない)のは2年後。

非常にモヤモヤした気持ちになります。

そこで、今回採用した基幹システムの開発会社の担当者に連絡を取ってみることにしました。

今回採用したシステムは世界的にも採用例の多いもので、導入した会社は名だたるグローバル企業ばかりです。
果たしてこれらの企業がすべて2年もかけてシステム構築しているのか?
そんなはずはないのではないか、と思い、開発会社にアプローチしてみました。

聞いたのは、「他社はどれだけの期間をかけて導入しているのか?」ということです。

そこで教えてもらえたのは、「必ずしも一度に導入しているわけではない」ということです。
そうはいっても、世の中には、かなりな広範囲の業務をカバーするシステムを一気に導入した例もあるかもしれません。
しかし、私が聞いたのは、「まずは全体像を描いて、実際はその一部の業務から導入している例が多いです」ということでした。

まずは「どうありたいか」というビジョンの全体像を示すことで、システムによってどのように業務が変わるか、を定義する。

業務の範囲は広いですし、意思決定にはかなり多くの部署の情報が必要ですから、本来であればかなり大きなものになります。

しかし、そこを詳細精緻に設定することに時間はかけず、「ありたい姿」を定義して、構想をイメージさせたうえで、実際はその一部だけシステム化する。そして使ってもらう。

開発会社の担当と話している中で言われたのは、「やはりユーザーに使ってみてもらって、”業務が変わったな”と思ってもらわないと開発が続かないんですよね」ということでした。

なるほど、です。

システムを新しくすることで業務が変わるかもしれない。変えなきゃいけない。私もそう思って開発に参加しますが、2年後と言われるとさすがに萎えます。

しかし、少しずつシステムを使い、業務が改善されれば、会社にとっても有益ですし、もちろんユーザー自身にも有益です。有益な例が増えれば、会社内でシステムのプレゼンスが上がります。

そしてユーザーはその経験を活かしてよりいいフィードバックができるようになります。

開発していく中で、ソフトやシステムだけが進化していくことはないと思います。ユーザーが進化しないとシステムの進化も見込めない、アジャイル開発とはユーザーとシステム双方が進化するサイクルのことを言うのではないかと思うようになりました。

ユーザー自身を成長させることがアジャイル開発成功のカギ、ではないかと思います。そのために、ユーザーにビジョンを伝え、使ってもらい、スモールサクセスを積み上げていくサイクルに持ち込んでいきたいと思います。

開発チームと議論する機会も増えてきたので、あの手この手でアプローチしていきたいと思っています。

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