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変革のためには、「変えること」より「変えないこと」が大事。

2020年にWindows7のサポートが終了しましたが、私の会社では長らくWindows7を使っていたため、OSの入れ替えが必要になりました。2018年のことです。

当時はデスクトップPCでしたが、そのままではスペック的にWindows10が動かないとのことで、PCごと更新することになりました。

選択肢としては、
・デスクトップ更新(モニター等は流用で本体のみ)
・ノートPC(14インチ、3kg程度のもの)
・モバイルPC(12インチ、1kg程度のもの)

となっており、価格的にはデスクトップ<ノート<モバイルという感じです。

2018年当時、私の会社ではテレワークは一部の子育て中の女性が何らかの事情でやむを得ないときに取得するもの、という考え方で、毎月2日程度しか取得できないような状況でしたので、テレワークを前提とする発想は上層部には全くありませんでした

私は(こういったガジェット系が好きだという理由で)PC更新事務局に指名されていましたので、働き方改革という目線も入れて、「会社が働き方を指定するのではなく、多様な働き方を許容して個々人の出力を最大に引き出すインフラを整えるべき」と唱えて働く場所を規定しないモバイルPC導入を主張しましたが、まあ苦労しました。変化を嫌う大企業病がさく裂です。

この時の詳細はシリーズ物で記事にできるレベルなのでまた別にしたいと思いますが、この時に感じたことは、「改革をするときには、”変えることを決める”のではなく、”変えないことを決める”のが重要」ということです。

この時は、PC更新をきっかけに「働き方を変える」話をしているのに、いつの間にか「変えるべきかどうか」の議論に変わっていたのです。

軸足を「変える」に置くか、「変えない」に置くか。

私の事例では、上層部は「変えない」に軸足を置いていました。そうするとどうなるか。

「変えない」ことを前提にする人にしてみると、「変えること」は自分の意思決定を伴います。そうすると、「変えることの意味」に対して証明責任・説明責任が生じます。しかも、それを提案してきたほうに求めます。私は、常に「なんでPCを変えるべきなのか、それは本当に意味があるのか、効果をコミットできるのか」と言ってボコボコにされ続けました。
(ちなみにここでいう「効果をコミット」というのは、「会社が働き方改革にお金を使ってくれたら(モバイルPCを買ってくれたら)現場はこれだけ利益を増やします」と我々現場にコミットせよ、と言っているということです)

でも、本当はこの時は「PCを使ってどうやって働き方を変えるか」を議論しているのですから、前提は「変えること」です。

でも、なかなかそういかず、誰かに正解と言ってもらわないと安心できない、過去の成功体験を繰り返してきた人たちなので、なかなか相容れないのですが、会社という組織である以上、意思決定をする人は決まっているので、なんとしてでもイエスと言ってもらわねばいけないのが辛いところ。
この話においては、結果的には役員が「世間がモバイルPCなんだからモバイルに決まってるだろう」と発言したことで決着しました…結局判断基準はそこなのね…

話を戻すと、改革をするということは、「変える」ことは前提であり、「変えるための手段を議論」する必要があります。
しかし、すべてを変えることに抵抗がある人はいますし、実際、すべてを変える必要もありません

だから、まずは「変えないこと」を決めてしまうことが大事。

「変えないこと」はある意味で自分たちのコアである部分であり、まずそこを意思統一してしまうことが必要です。

そこさえ守ってしまえば、あとは変える前提でその方法論の優先順位を議論すればいいわけです。

これは私が2年間かけてPC選定を上申してはボコボコにされているうちに気づいた事で、今思えば初動を誤ったなと思います。

初めの段階で、「変えないこと」に対して意思統一しておけば、抵抗感を少しでも減らせたでしょうし、議論の方向を見失うこともなかったと思います。ここは学びですね…


なお、この文章を読んでいただいた方でもしかしたら違和感を感じる方がいらっしゃるかもしれません。

「変革と言っても、変えることそのものが目的ではないのでは?」

全くその通りです。
実際、若手ではいま私たちがどのように働いていくべきかを議論しました。その結果として、「働き方の正解を決めつけずに働いていくことで全員が出力を出し切る」というのが一つの切り口として出てきたのですが、そもそも「正解」を求める上層部には全く理解されなかったという大ジレンマがありました。

過去の会社での事例を見ても、実際方策がとられるまでは「それが正解かわからない」といって距離を置き、いざ上手くいくと「やっぱり正解だった」と言って我がことのように胸を張る、というような「大企業あるある」が頻発していますので、今回もとにかくやるしかない、押し切るしかないというのが実態だったのです。
上層部に我々の想いの本質を理解してもらうのは骨が折れますし、実際のところそれによって得られるものは少ないので、それよりも、なんとかして短期的に上層部がイエスと言いやすい環境を作っていく。そのために上層部のミッション(と本人達が思い込んでいる内容)を理解して動かないといけない。

今回の一番の学びはそこでしたね。「変革はやったもん勝ち。」どうやってそこまでこぎつけるか。今後少しずつシェアしていきます。

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