「花屋日記」28. なにもない日なんて、ない。
午後、カウンターに作りかけのアレンジメントを置いたまま、他のお客様の対応をしていた。すると一人の老紳士が現れて、その場でじっと待っておられた。
「お待たせしてすみません、お伺いいたしましょうか?」
と、接客を終えてすぐにお声がけすると
「結婚記念日なんだけどね、今日。花を買って帰ろうと思ったら、それがとても素敵だったから…」
と言ってそのアレンジメントを指差された。
「こちらですか。ありがとうございます。『ドラマティックレイン』というバラを使ったものです。すぐに仕上げますか