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今夜、すべての自室で「時間を潰す技術 a.k.a.教養」を高めるには。

「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。(『今夜、すべてのバーで』)

…と言ったのは中島らもさんだ。

新型コロナウイルスのせいで監禁状態のようなハードな6ヶ月を過ごした今、ほんとうにこの言葉が身に染みる。気軽に「ごはん行かない?」と誘えない状況だし、人混みの多い街にぶらりと出かけるのは楽しみより不安が大きかった。なので、ひたすら向き合う相手は自分で、休日の時間を潰す相手も容赦なく自分、ということになった。

自粛しているうちに金継ぎができるように

私は一人暮らしでリモートワークをしているので、そもそも単身で過ごす時間が長いのだけど、それでもこんなに「自分度の高い」時間を過ごすのは久しぶりだ。
必然的に料理に凝りはじめ、鉢の植え替えなどをし、Netflixで映画を鑑賞し、本を読み漁るなどして「時間があればしようと思っていたリスト」を大量に消化した。割れた器は金継ぎで修復できたし、布マスクを縫っているうちにいつの間にか手芸技術も上達してしまった。なんだかんだと副産物、多いね。

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正直、コロナの影響で起こった「悲しいこと」はたくさんある。知り合いに亡くなった人もいて、私はきっとこの2020年という怒涛の一年を絶対に忘れないだろう。でもそんな中でもみんなが絶望してすべてを放り投げず、それぞれにベストを尽くしていたことは多少なりとも誇っていいと思う。

そして「一人でどう時間を潰すか」という命題も、これはこれですごく本質的なことなので、これからも考えていかなきゃと思う次第だ。これはきっと単身だろうが、誰かと暮らしていようが大事なこと。生活の濃度や楽しさは、そういうところにかかっているのだろう。

変わったホテルが春にオープンしたという噂

ART STORAGE HOTELS KAIKA TOKYOのことを知ったのは、ちょうど政府のGo Toトラベルキャンペーンとやらから東京が外されて「つくづく地味な夏になりそうだな…」と思っていた時だった。
この春、蔵前にできたばかりの新しいホテルで、アートストレージとホテルが融合したコンテンポラリーアートの拠点施設となるらしい。

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1階にはエキシビションスペースがあり、さらに地下にはNANZUKAやYoshimi Arts、Clear Gallery Tokyoなど複数ギャラリーの収蔵庫がある。この収蔵庫は宿泊者しかアクセスができないようになっているそうで「おもしろそうだな」と思った。

そして思ったのだ。東京在住の人間が、わざわざ都内のホテルに泊まるなんて、こんなときにしかできないんじゃないか?
さっそくサイトで調べてみたら、素泊まりだと3,000円台の日もある。ステイケーションだかワーケーションだか知らないが、名目は何だっていい。「遊びにいこうよ」と人を誘うのが憚れるなら、自分を誘って、行ったことないところへ出かけよう。

私が私にとってまず「オモロイ人生のパートナー」でありたい。

ノートPCと化粧ポーチ、マスクと簡単な着替えだけをバッグに詰めて、私は蔵前に向かった。

<続き>
「東京のブルックリン」で、ブルックリン風が何かを学ぶ。
扉が開くと、そこに剥き出しのウサギが待ち構えていた。(完)

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