焙煎珈琲店という居場所 2話

小さい頃から家族全員珈琲が好きで、両親がよく連れて行ってくれていた喫茶店の重厚感のある暗めの店内の様子、サイフォン器具や琥珀色のザラメ糖やビロードのソファの感触などは今でも覚えている。
珈琲の香りは幼い時から心をホッと癒してくれるものだった。
実家ではずっと焙煎士の方から珈琲豆を購入していたし、朝食や休日のおやつの時間には豆を挽いて淹れるのが習慣で、自分が珈琲の道を選ぶ下地は少しずつできていたのだと思う。
社会人になってからは、珈琲が美味しくて雰囲気が好みに合う喫茶店を探して、お気に入りの店をいくつか見つけて通い続けてきた。
その内の一軒は残念ながら閉店されてしまい、個人店が長く続けて行くには様々な条件が上手く揃わないと難しいのだろうなと朧げに理解した。

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