ライバルという貴重な存在

戦略的中学受験のすすめ④

「中学受験をするから塾に行く!」と言っても、おそらく小学4年生当時の息子にとっては習い事が一つ増えた、くらいの感覚だったと思います。

私が住んでいる地域は全体的にのんびりしており、放課後にはいくつもある公園のどこかしらにいけば友達が遊んでる、というひと昔前の風景も見られる地域です。中学受験をする家庭は決して多くなく、クラスで1~2割いるかな?という感じでした。

地域によっては、クラスの8~9割が中学受験を目指し3年生の終わりから塾に行くのが当たり前、6年生の1月から2月は入試のために教室がガラガラになるという所もありますが、こちらは全く逆なので受験が身近ではなく、子供たちの話題にも上がりません。

息子が勝手にライバル視していた○○君は、むしろ息子が塾仲間になったことを喜んでくれて、2人で仲良くバスで通うようになりました。

息子「○○とさ、約束したことがあるんだよ」
私「なになに?」

息子「大学生になったら赤門で会おうぜぃ!!って」(ピース♪)

私「?!?!?!ちょっとあーた、赤門って何か知ってるの?!」
息子「知ってるよ。東大のことでしょ。東大って日本で一番頭がいい大学でしょ」
私「・・・そう。それで2人で東大目指すの?」
息子「そうそう!!」(満面の笑み)
私「あ、そう・・・が、がんばろうね~」

この会話を○○君のお母さんにも話したら、初耳だったらしく、「もうやだぁ~そんなこと言ってるの?!恥ずかしい~・・・何にもわかってないと思うわ、あの子」「ね~子供って面白いよね~でも言うのは自由だし、目標は高くいっとこ~」なんて笑い飛ばしました。

我が家にとっては、○○君がいたから塾に入りたいというきっかけができ、バスで一緒に通うようになり、夜遅くても2人一緒なら、と親も安心感がありました。

ライバルだったはずの友達が塾仲間になり、そしていつしか数少ない中学受験組男子として、苦難に立ち向かう同志になる・・・
6年生の授業参観で
「たのしみは じゅくの帰りの バスの中 友といっしょに もりあがるとき」
とバスの絵とともに書かれた俳句が廊下に貼られているのを見たときに、心から○○君に感謝したものです。

それに、もしかしたら男子あるあるかもしれませんが、塾のクラスが上がろうが下がろうが、テストの点数が良かろうが悪かろうが、それで友達の関係にヒビが入るということがないのです。
お互いに点数を言いあってワハハ笑っています。
実に羨ましい。
あっけらかん。

6年生にもなると、学校では行事が目白押しで、6年生はただでさえやることが盛り沢山です。その上家に帰ればすぐに塾へ行き、夜まで勉強、土日も塾やテストがあって・・・本当に息が詰まりそうな毎日です。

そんな中、ギャハハハ!!と笑い合える仲間がいることは、大人が思っている以上に重要なのかな、と受験が終わった今も感じます。

だから
バスの中でMr.ビーンのマネをして吹き出しても
大声で下ネタ系の替え歌を歌いだしても
バスを降りてから夜の公園で鬼ごっこを始めても
学校の先生の家を突き止めるんだ!と突然、町探検を始めても
ギャー!ドドドドッ!ブシュー!ダーン!ウゲェ!と擬音ばかりで、全く知性のカケラもない会話をしていても
少々のトホホなことは目をつむります。

小学生男子たちを温かく見守ることが、受験生を死んだ魚の目になることから防ぎ、長期戦を乗り越える糧につながるのだと思います。

○○君、ありがとう!!!

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