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わたしの看取りプロジェクト27

やっぱり訪問看護はすごかった 父の死後、しばらくしてから気付いたことがあります。 父が亡くなる数日前に訪問看護師さんがしてくれたことの意味。 口腔ケアなどの処置をしながら、看護師さんは母とわたしに父の昔のことをあれこれ尋ねてくれました。 そのときわたしは、父はしゃべることができないから、家族から患者の人となりを知ろうとしているのかなと思っていました。 でもそれだけじゃない、もっと大きな意味があったのです。 亡くなる12年前に認知症と診断された父は、病状が進行するにつれ

    • わたしの看取りプロジェクト26

      死後の手続きめんどくさいランキング 父の死後、半年が経ちました。 世帯主の死亡に伴う手続きや相続関係のあれこれを済ませ、ホッとしています。 不動産の名義変更や相続税関連の手続きはめんどくさいだろうなと思っていましたが、たいした財産のないわが家は意外と簡単にやっつけることができました。 わたしが感じた「死後の手続きめんどくさいランキング」は次のとおりです。 1、「不動産の相続に伴う登記申請」 これは期限がないのであわててする必要はありません。 必要書類は 1、死んだ人の

      • わたしの看取りプロジェクト25

        わたしが自宅看取りを決意したわけ わたしが父を自宅で看取ろうと思った背景には、次の二つのことがあります。 ひとつは今年の春、親しい友人のお母さん(85歳)が訪問看護などのサービスを受けつつ自宅で亡くなったのを見ていたこと。 そのお母さんはガンの末期で、認知症ではなかったため最後まで会話ができました。亡くなる1週間ほど前に食べることも飲むこともやめ、枯れるようにその生涯を閉じました。 娘にありがとうと言って旅立つさまは、お見事!というよりほかありませんでした。 わたしはそこ

        • わたしの看取りプロジェクト24

          自宅看取りはいいもんだ 父があの世へ旅立ってから昨日でちょうど1カ月。命日は御嶽山の噴火と同じ日だから、今後あのニュースにふれるたびに父を思い出すことでしょう。 今回、父の介護と自宅での看取りを経験して、みなさんに知ってもらいたいことがわたしの中でだんだん凝縮されてきました。 それは、自宅で家族を看取るってなかなかいいもんだ、ということです。 もちろん、病状や本人を取り巻く環境は千差万別ですから、すべての人がそれをできるわけではありません。 ですが、父のように認知症の

        わたしの看取りプロジェクト27

          わたしの看取りプロジェクト23

          「好き」と「ありがとう」はいますぐ伝えてね 父が認知症と診断されてすぐ、わたしは父にお礼を言うことにしました。 いまから12年前です。 ふつう、娘は結婚式の当日にあれをやりますよね。 「お父さん、お母さん、いままでお世話になりました」ってやつ。 でもわたしの場合、結婚を待っていたら父の認知症が進んでわけがわからなくなっちゃう、という危機感がありました。 ある日の食卓。わたしは父に言いました。 「お父さん、いままでありがとうね。教育を受けさせてくれたし、満足に食べさ

          わたしの看取りプロジェクト23

          わたしの看取りプロジェクト22

          「おれ、戒名いらないから」 今回の父の葬儀では、ちょっとだけ気がかりなことがありました。 父が元気なころ「戒名はいらない」と言っていたことです。 わたし自身も戒名はいらないので、父の希望はかなえてあげたいと思いました。 葬祭ディレクターのAさんにこの話をすると、彼は少し混乱したように見えました。 通夜と告別式は父の実家と同じ宗派の僧侶をAさんに紹介してもらったのですが、普通ならその僧侶が父の戒名を決め、おそらく49日の法要も同じ人にお願いすることになります。 戒名を授

          わたしの看取りプロジェクト22

          わたしの看取りプロジェクト21

          ご住職とコントを演じてしまった 通夜の儀式が始まる前、葬祭ディレクターのAさんが控室にいたわたしたちに「ご住職がみえましたのでごあいさつをお願いします」と言いにきました。 廊下でAさんが小声で「お布施はご用意されていますか」と聞くので、「ええ、母が持っています」と答えました。 S寺のご住職が「このたびはご愁傷様です」と言った後、わたしたちはとりとめのない会話を交わしました。 ひとつの話題が終わると、少し沈黙の時間が流れ、わたしが別の話題を切り出す、という繰り返し。 し

          わたしの看取りプロジェクト21

          わたしの看取りプロジェクト20

          葬儀の内容を詰める 父が息を引き取った翌日の午前中、再び葬祭ディレクターのAさんが訪ねて来ました。 そこで、葬祭のオプションをどうするか、相談しながら詰めていきました。 一応、コースごとに標準の品は決まっていますが、うちでは次のものを変更しました。 ・骨壷(白から模様のあるものへ) ・花(10万円分グレードアップ、さみしいのはいやだから明るい雰囲気の色で) ・花(親戚などから贈られるタイプの花を2つ、名前はなしで) ・通夜と火葬中に行う精進落としの料理 ・返礼品(地元の

          わたしの看取りプロジェクト20

          わたしの看取りプロジェクト19

          あっという間に葬儀の打ち合わせ 夜9時ごろうちに来た葬祭ディレクターは、1年半ほど前、市内に新しくできた家族葬ホールの人です。昨年11月、郵便受けにホール見学会のチラシが入っていたので、見に行っていろいろ話を聞き、会員になっておきました。 その会社は地元のお花やさんが経営しているから、祭壇がきれいでしょうし、会員になると割引などの特典がありました。 父をうちでみていたとき、家族で葬式の話をしておきました。 場所はすでに決めてあるけど、規模はどうしようか。 父は20年前

          わたしの看取りプロジェクト19

          わたしの看取りプロジェクト18

          その日はすごくバタバタするんだなあ 父が息を引き取ったあと、すぐに訪問診療所に電話しました。 家で看取るとき、ここであわてて救急車を呼んではいけません。 病院へ行って死亡が確認されると、そのまま警察へ運ばれて検死を受けることになっちゃうの。これは決まりなんだって。 ドクター(ヨン様似)を待つ間、天才バカボンのTシャツを着ていたわたしは、無地の服に着替えました。 ヨン様は30分ほどで到着しました。 わたしがザ・プラターズの音楽を止めようとすると、ヨン様は「そのままでい

          わたしの看取りプロジェクト18

          わたしの看取りプロジェクト17

          訪問入浴は日本独自のサービスらしい 父は週2回、木曜の9時と日曜の17時に訪問入浴のサービスを受けていました。 退院が決まったとき、わたしは介護ベッドを玄関に近い父の書斎(5畳くらいの洋間)に置こうと思いました。 オムツ交換のときのニオイが気になったから、台所から離れた部屋がいいと思ったのです。 でも父の留守中に書斎に入れたベッドの分解ができなかったので、介護ベッドは台所に続く居間(8畳)に置くことになりました。 結果として、これがいちばんよかった。 食べないから排

          わたしの看取りプロジェクト17

          わたしの看取りプロジェクト16

          医療者は家族の気持ちも診るのだなあ 9月22日に「たまたまカメラを持っているから」と言ってわが家の集合写真を撮ってくれた看護師さんが、その4日後(死の前日)、写真を額に入れて持ってきてくれました。 父の肩には、黄色い小鳥のシールが貼ってありました(ピーちゃんだ!)。 あとからわかったのですが、小鳥や花のシールで飾られた写真は、訪問看護ステーションの看護師さんたちがみんなで作ってくれたようです。 この日、母が気弱になっていることに気付いた看護師さんは、父の昔のことをあれこ

          わたしの看取りプロジェクト16

          わたしの看取りプロジェクト15

          ありがとう 9月27日午後5時55分、父は81歳の生涯を終えました。 最後の皮下点滴から8日目。よくがんばったと思います。 うちで過ごした19日間は看取り前提だったから、医療についてどう考えたらいいか少し混乱しました。 床に伏した人間に対しては治療するのが普通ですが、父の場合は治すわけではないので、ただひたすら痛い思いをしないよう気を使うわけです。 体温や血圧を測ることも意味がないのでしませんでした。 ただ、酸素の数値だけはちょくちょく見てしまいました。 パルスオキ

          わたしの看取りプロジェクト15

          わたしの看取りプロジェクト14

          すごい! 端座位 父が最初に入院した病院はいわゆる老人病院で、リハビリは行っていませんでした。 2週間点滴が続いてほぼ寝たきりになっていましたが、普通食に戻ってからは理学療法士の妹が医師の許可を取り、身体の曲げ伸ばしなどのリハビリをやってくれました。 「端座位(たんざい)をしてみよう」 なんすか、それ? 端座位とは介護用語で、患者がベッドに座り、足を降ろした状態のことを言います。 わたしたちは家から踏み台を持ち込んでベッドの横に置き、父が座ったときに足の裏が踏み台

          わたしの看取りプロジェクト14

          わたしの看取りプロジェクト13

          点滴やめました 9月9日の退院以来、父は一日おきに皮下点滴をしていましたが、19日を最後にそれもやめました。 点滴で身体によけいな水分を入れると、痰やむくみの原因になり、本人にとって負担となるそうです。 20日、痰が絡んで苦しそうだったので訪問看護師さんを呼び、痰の吸引をしてもらいました。 父には点滴によるマイナスの影響はあまり出ていませんでしたが、母が「もうやめようか」と言い、わたしも同意しました。 退院後初めての訪問診療の際、医師から点滴をするかどうか聞かれ、一日お

          わたしの看取りプロジェクト13

          わたしの看取りプロジェクト12

          「うるさい!」 今朝は小鳥のさえずりで目が覚めました。 祝日のきのうは妹夫婦が仕事だったので、子どもと犬をうちで預かりました。 犬は生後10カ月のポメラニアンです。 これが社会化できておらず、お客さんが来るとすごく吠えます。 昨日はケアマネさんや父の見舞客が来るたび吠え狂い、「うるさい!」と何度もしかられました。 あんまり吠えるとうちのピーちゃんも吠えるようになってしまうのではないかと心配でした。 そして翌朝。 鳥かごがさわがしいのでかぶせておいた風呂敷をはがすと、ピ

          わたしの看取りプロジェクト12