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思考する脳髄

頭の中で思い描く景色は
もしかしたら誰かの見た昨日の街並み
果てしない物語を垣間見ながら
また夜が明ける

頑なだった思考は解けていく
それはなだらかな丘の上
建てられたひとつの墓標

夢の中での出来事を全て覚えていないように
私達はこの世界を生きている

百年経ったら忘れるでしょう
大樹はそう言って
その葉を揺らしている

頑丈に造られたビルディングの寿命もいつか来るから
何もかもが徒労に終わる気がして
人々さえも色褪せて見える

そんな時
想像する

バサリと黒いカラスが生ゴミを漁る
肉の破片や野菜の屑が街に散乱する
食べなければ生きていけない
その切実さを

私達は…

息をする
歩く
椅子に座る
お茶を飲む
寛ぐ
眠る

当たり前のことを出来てしまう不自由さ

危ういアイデンティティ
模倣され尽くされた情報
過度に監視された環境
行き場のない気力の停滞

あどけない幼な子のように
眠ってしまいたい
そう思うけれど
此処とは違う場所では生きてはいけない
そんな気がして

頭を抱える晴天の午後
ふと、自らを省みる

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