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『失踪日記2 アル中病棟』 吾妻ひでお

JUNE 5, 2018 Instagram掲載

「酒なしでこの辛い現実に、どうやって耐えていくんだ?」 先日読んだ失踪日記の続き。自殺未遂したり失踪したりしてるうちに一日中酒を飲むようになり、アル中に。親父狩りにあったりして、遂に家族にアル中病棟にぶち込まれる。

買い物の仕方や、退院までのステップといった詳細が描いてあって、「なんとなく怖い、廃人がたくさんいるんじゃ…」というイメージだったアル中病棟が少しずつ具体的になる。

入院している人たちは本当に個性豊か。怖そうだけど優しい人も、毎晩病室で立ちションする人も、えばっている人も、付き合っている人たちもいる。潜入しているシスターもいる。

入院して外出許可が出ると各地の断酒会やAA(アルコール依存者の自助会)に出席する。これがお酒のある街に出ても、飲まないようにする訓練になっていたりする。
「奈良漬がきゅうりに戻らない」ようにアル中は治らない。一生付き合っていくものなのだ。 「暗い」と担当者に言われて躁状態で描き直したという本作。実際はかなりきっついと思う。(吐くけど酒しか飲んでないから戻すのも酒でそれをまた飲むとか、新人を騙してお金を着服する人がいるとか。お金が欲しくてまんだらけに自分の絵を売りに行くのもシュール)ここまでポップに、読みやすくなってるのはすごい。完成までに8年かかったという大作。

表紙に登場人物が散らばっていて楽しい。広げてみたら裏も凝ってた。吾妻さんの手書き自己評価表、過去と現在。

漫画101. 失踪日記2 アル中病棟

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