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『クィア・アイ in Japan』 Netflix

この番組が変身後の姿を予告編で見せてしまうのは、それが一番の「肝」じゃないから。ターゲットたちがどのように自分を見つめ、受け入れ、変わっていくか、というプロセスが一番のドラマで、見所。それにターゲットになった人々はこれからまだまだ素敵に変わっていくだろうから、変身後の姿は通過点にすぎないし。全4話、各回しっかりと泣かされる。

Neflix限定であるこの番組をシンプルに説明するならば、「ゲイの5人組 Fab 5(ファブファイブ)が、イケてないターゲットを寄ってたかって素敵にする変身番組」である。元々はアメリカで撮影されていて、今回の舞台は日本。日本版のナビゲーターは水原希子ちゃん。Fab 5は、ファッション、ヘアメイク、インテリア、クッキング、カルチャーと各自プロフェッショナルな分野を持っていて、似合う服を選んだり、インテリアを改造したり、お料理を教えたりするんである。日本の番組にもあるじゃないですか、ダサい夫を変身!とか。あれも楽しいっすよ。でもねでもねでもね。別格なの。ターゲットが抱えてしまっている思い込みや自信のなさに、溢れんばかりの愛をぶち込み、寄り添い、丁寧に見つめ、支え、後押しする。表面だけをファッショナブルにするんじゃなくて、内側の気持ちや意識も変身させる。変身、というか本来あった状態に戻す。人の言葉や、社会で感じた違和感から傷ついてしまって、出せなくなったその人独自の感性や美しさを発見し、自覚させ、育む。ゲイや特殊な才能を持ったマイノリティとして傷つき、乗り越えてきたFab 5の眼差しは愛に満ちている。

5人のテンション高めの外国人オネエから「素敵!」「セクシー!」と愛の言葉のシャワーを受け、ハグをされまくり、自分の拙い言葉一つ一つに耳を傾け、暖かく肯定されていくうちに、日本のターゲットたちはちょっとずつ変わっていく。これまでひた隠しにしていた自分の気持ちに気づいて、それを言葉にしていく。傷ついたことのない人はいないと思うんだけれど、自分と同じような経験をしていたりする様子や、再生していくさまが胸に迫る。

ちょっとあまりに好きすぎるので1話ずつのサマリーと感想を書かせてくれ。それぞれみなさんチャーミングでした。

●第1話 自分主演ローマの休日
ターゲットは自宅をホスピスにした看護師の洋子さん。自分の寝室すら患者さんのスペースとして提供し、自らは床に寝袋で寝るほどの自己犠牲の精神を持った洋子さん。もちろん自分の身なりなんて後回し。一言で言えば野暮ったいおばちゃん。でも彼女は本当に人柄がチャーミング。いきなり現れた外国人のデカいオカマたちに萎縮したりせず、素直にユーモアとともに接していくんです。なんて大きな人なんだろう。その人柄にFab 5もメロメロに。

●第2話 クレイジー・イン・ラブ
ターゲットはゲイのカン君。オーストラリアやイギリスにいた時はゲイでもある自分を出せていたけれど、日本では自分を出しにくい。恋人はイギリスにいて、いつか自分も海外に出ようとしている。そのためか、家は簡素で、自分の居場所じゃないみたい…わかる!私もイギリス留学時に日本に帰るのが本当に嫌でメンタルと体を壊したくらいだ!!!いつかまたイギリスに戻ろうと、ちょっとでも海外に近い仕事に就こうと転職をしまくったし、日本が居場所じゃないと思っていた。私もカン君がもらったアドバイスを10年くらい前にもらいたかった!!!お幸せに。



●第3話 理想の女性
かつてイジメにあい、自信を無くしたイラストレーターの香衣ちゃん。日本人って自分の子供を褒めないんだけど(なんせ「愚息」って言葉があるくらいだ)、お母さんにダメ扱いされるのって辛いよなあ。そして自分がイジメにあったり、辛い時にそれを親に言うのってかなり難易度高いよなあ。いろんな絵を描いていけますように。若いうちに会えてよかったね!


●第4話 妻のためにもセクシーに
30代のラジオディレクターのマコト氏。本当は音楽を作ったり絵を描いたりするのが好きなのに、自己表現ができなくなってしまった人。奥さんとは会話もなく、セックスレスで、おうちも汚い…この人も本当はめっちゃ「カワイイ」人なんですよ。素直で、表現したい事がたくさんあって。奥さんとの関係や、コンプレックスを言うのって男の人は特に難しいかと思うんだけど、勇気を感じました。奥さんを幸せにする男の人ってめっちゃセクシーで魅力的。子沢山になってほしい。


『クィア・アイ』日本版、本当に素晴らしかった…Fab 5、日本に来てくれてありがとう。Netflix、『全裸監督』で無料体験をしてしまったので、加入したけれど、十分価値があった。ぜひ。

動画19 『クィア・アイ in Japan』 Netflix

〜関連情報〜
●ファッション担当の「タン」の本『僕は僕のままで』
ムスリムで、東南アジア出身で、移民で、有色人種の彼の自伝。第1章が無料公開。(私は買うからここでは読まない!)

●インタビュー
現場は涙とハグの嵐! ファブ5が日本にやってきた #クィアアイ
https://spur.hpplus.jp/culture/topics/201911/06/MRNDBSY/

リアリティ番組『クィア・アイ』がぶち破る壁──タン・フランスとの3時間
https://www.gqjapan.jp/culture/celebrity/20190415/3-hours-with-tan-france

#クィアアイ #QueerEyeJapan #Netflix



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