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エプロンとカンガルー(あきし)

小学生の頃、近所の河原を散歩していました。
地元熊本ですからね、田舎なんですよ

基本的に人なんて歩いていない
でも、その日河川敷をあるいていると犬の散歩しているみたいな人がいたんです。

「あーめずらしいなー」と思いながらも、
じっと見ているのも気まずいので目をそらしました。

それで、ちょうどすれ違う時に、
もう一回散歩しているおじさんの方を見たんです。

ぎょっとしました。
犬の散歩だと思ったそれは、犬ではなく、カンガルーだったんです。

え、嘘だろ
そう思って二度見しました。

やっぱりカンガルーです。

黒っぽい体でぴょんぴょん跳ねながら二足歩行をするそれは、
遠目に見てもやっぱりカンガルーで、
あ、そうそう、これ川の対岸の話です。

川が真ん中に流れていて、カンガルーが向こう岸、
僕がこっち側の堤防を歩いているっていう状況です。

僕は急いで家に帰って、
「お母さん!!河原にカンガルーがいるよ!!今すぐ見に行こう」
と言いました。
だけど、半信半疑なのか、地元の人と関わるのが嫌なのか

母の腰は重く、結局一緒に河原に行くまでに大分時間がかかってしまいました。
母の手を引いて急いで河原についた時には、もう、そこにカンガルーはいませんでした。

この時、母がエプロンをつけたままついてきてくれた事を今でもよく覚えています。
今考えれば、カンガルーよりも、
エプロンのまま家を飛び出してくれた母の方がレアだったかな

って思います。

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