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親ができる唯一のことは、広い世界を見せることくらいだ

15秒で分かる今日のポイント
●映画「Mother」で見た世界の狭さと選択肢の少なさの恐怖
●選択肢を与えられて、人は初めて自分の意思を持つ
●選択肢があること、世界の広さを見せることの方法は無限にあり、親として何ができるのかを考えることは楽しいコトでもある

先日、Netflixで「Mother」を見ました。

以前からちょっと気になっていたのがNetflixに出ていたので、「お!」と思って気軽に見てしまったのですが、

私にとってはホラーでした...


■「これしかない」環境の恐怖

あらすじは、以下です。

ゆきずりの男たちと関係を持つことで、その場しのぎの生活をおくる自堕落で奔放な女・秋子(長澤まさみ)。しかし、彼女の幼い息子・周平(奥平大兼)には、そんな母親しか頼るものはなかった。やがて寄る辺ない社会の底辺で生き抜く母と息子の間には、家族を超えた絆が生まれる。そして、成長した周平は“ある凄惨な事件(祖父母殺人事件)”を起こしてしまう。彼が罪を犯してまで守りたかったものとは……?

以下、ネタバレなのですが、周平は幼いころから「母親と自分」という狭い世界の中で生きてきました。

学校にも行かず、友達も作らず、母親と自分だけの世界の中で生きてきて、母親のような生き方(人にお金を無心したり、ギャンブルに明け暮れたり、人を脅してお金を取ったり、など)しか知らないのです。

途中、ソーシャルワーカーの方の助けにより、フリースクールに行くようになって、初めて勉強したり、人と触れ合ったり、本を読むことの面白さを知った周平に母親は

「あんたなんていじめられるだけ」
「あんたのこと臭いってみんな言ってるよ」

などと言い、彼が自分以外の人間と触れ合う機会を奪います。

でも彼にとっては母親がすべてで母親が唯一自分を守ってきてくれた人で、「母親が言うとおりにする」以外に選択肢はない(そもそも抵抗するという考えがない)ため、最後は母親が支持する通りに母親の両親(祖父母)を殺害します。

母親は最後まで「自分には関係ない。息子が勝手にしたこと」と言い通して罪を逃れ、

刑務所に入った周平は「お母さんが好きなんです。お母さんが好きじゃだめなんですかね」と言う言葉を残す最後です。

どんなダメな母親でも好きだという息子のコトバにインパクトがありました。


■選択肢があるから人には「意思」が生まれる

この映画を観ている間じゅうずっと息苦しさを感じていたのですが、それは何よりこの親子の生きている世界の狭さから来るものでした。

お金が無くなったら親戚や兄弟に無心するしか選択肢がなく、欲しいものがあれば万引きするしかなく、着る服もなく、食べるものもカップ麺くらいしかなく、ないない尽くしの生活を見ている間、息がつまりそうでした。


以前「貧困教育」のドキュメンタリーを見たのですが、貧困に生きてきた人は自分たちのいる状況が貧困であると気付いていない

そうです。


自分たちがいる状況が貧困であり、貧困から抜け出すことができた人もいること、貧困を抜け出すために頼れる様々な社会的仕組みがあることを「知識」として得ることで、初めて自分たちに「ここから抜け出したい!」という意思が生まれる。

今の生活を変えるための「選択肢がある」ことを知らない限りは、どれだけ生活保護の金額を上げようが、貧困からは抜け出せないという話がとても印象的でした。


■物事の幅を見せること、世界の広さを見せること

この映画を観て改めて思ったのは、物事の幅を見せること、選択肢の幅を見せること、そして世界の広さを見せること

それって親ができる唯一のコトなんじゃないかな

ということでした。

子供に、「親が言うことが全て」と思わせてはいけない。親も間違うし、先生も間違う。

親はこういう、先生はこう言う、友達はこう言う、色々あるね、あなたはどう思う?どうする?

だから親の意見を1意見として親は伝える必要があるし、子供の意見も聞く必要があるし、そして、他の人も色々であることを見せてあげるほうがいい。

だから一緒にたくさんの人に触れあって、たくさん旅をして、世界を見せて、色々な国の人、色々な仕事をしている人、色々な年代の人の考え方に触れさせてあげるような毎日を過ごさせてあげたいものです。

結局親は、子供の人生を左右するような決断、生き方、就きたい職業、結婚相手等々を決めることは当然できません。

ただ物事には幅があり、選択肢はたくさんあり、世界は広くてどこにでも行けることを色々な経験を通して伝え続けて、ただ子供が「自分にとってベストの選択」をしてくれることを願うのみ、なんですよね。

映画「Mother」の世界は極端ですが、世界の狭さや選択肢の少なさの恐怖を改めて感じ、

「さぁこれから子供の選択肢や世界を広げるために何をしよう!」と、そこに答えがない分色々と考えさせられ、また、ワクワクする気持ちにもなれたのでした。




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