虚子

きょうこ。

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きょうこ。

最近の記事

元ロリだった私の防犯ブザー・レクイエム

私が防犯ブザーを使ったことがあるのは過去一度だけだ。 赤い、スケルトンの防犯ブザーだった。 小学校低学年、学童に行っていない私の下校時刻は午後の浅い時間だった。 住宅街を歩いていると、ゆっくり自転車をこぐ男がいた。男は木の生い茂った公園の前に自転車を止め、公園の木に向かい股間を触っていた。 「うっわ〜こいつ、立ちションすんのかよ!」 そう思いその場を足早に過ぎ去った。 少し歩くと、重いランドセルを背負ったロリの足早なんかにすぐに追いついた先ほどの男が、股間を露出した。 「

    • フネという働き方

      久しぶりにサザエさんを見た。かつては、共感性羞恥を強く感じてしまうため、アニメサザエさんはあまり好きではなかった。それを克服してサザエさんを見ることができるようになったのは、つい最近の話だ。 磯野家のような拡大家族は今どき珍しい家族だと思う。昔の家庭にジェンダーやら女性の社会進出なんかを当てはめて考えることは不躾だ。 しかし、今はあえてフネという女性の働き方について考えてみたいと思う。 昨晩印象的だったのは、こんなエピソードだ。 波平がフネに渡すつもりで大きな花束を購

      • 海の鼠、豚の話

        暖簾をくぐって席に着くと、すぐにキリンラガーともつ煮を頼む。まだ空は明るいが、目まぐるしい現代において、たまにはこういう時間の贅沢をすることは大切だ。 途端に寒くなったが、瓶ビールのおいしさは健在していて、空っぽの肺を冷やしてくれる。はあああああ。うんまい。くぅ。 さて、こういう店では、恍惚の表情を他人に見られることに慣れなければならない。 「おいしそうに飲むね。ここ、よく来るの?」 こういう店でおっさんに話しかけられることはよくある。私が女だからだといわれるが、私は

        • 餃子を包む話

          冷凍餃子がおいしくて安いから、手作り餃子なんてしないって? そうか。でも俺は包むね。餃子を包む。 別に意味なんてないよ。こだわりの餃子というわけでもない。それでも餃子を包むのは、餃子を包んでいる時間が好きだからなんだろうな。 餃子を包むのはプレゼントを選ぶのに少し似ている。プレゼントを選ぶとき、喜んでくれるかとか、どんな顔するかとか、ありがとうなんて言われている自分まで想像しちゃうでしょ?それでワクワクするじゃない。餃子も同じ。 きれいに焼けるかとか、どんな匂いが溢れ

        元ロリだった私の防犯ブザー・レクイエム

          美容院のスパイの話

          娘がどうしても美容院に行きたがらない。どうして美容院に行きたくないのか理由を聞くと、娘は「美容院にはスパイがいる」と言うのだ。 美容院にスパイ?美容院にいるのは、スタイリスト 、トップスタイリスト 、ディレクター 、クリエイティブディレクター、それからアシスタントと相場は決まっている。スパイなんてランク表のどこにも書いてない。 娘が言うには、美容院にはスパイが潜んでいて、情報を聞き出すそうだ。 ――― ―――――― 「学生さんですか?」 見た目から想像する年齢、来

          美容院のスパイの話

          トマトの星の話

          おいしいトマトには星が現れる。白い星だ。 スターマークという。 一昨日スーパーでトマトを買った。小ぶりなトマトが5つ入って、確か250円だったと思う。 トマトの冷蔵保存のコツは、ヘタを下にすることだ。さらに、袋に入れて保存しておけば、トマトだけでなく他の野菜もおいしく保存することができる。夫はそんなことなど知らないだろう。何せ、ワイシャツの袖を捲ったまま洗濯機に入れるような男だ。生きることに無関心なのだ。 今日、星は突然現れた。トマトから星が出てきたのだ。 星は小さ

          トマトの星の話

          眠りそうで眠らない夜の話

          昨日の夜は、眠りそうで眠らなかった。 充電しているスマホの小さな光を頼りに、枕の右端をずっと見ていた。 この築35年のアパートは隙間だらけで、夜中にもどこからか話し声が聞こえる。顔も知らない男女の話し声は、眠りそうで眠らない夜にはぴったりの雑音だ。 内容は聞こえないが、夜中に男女がする話の内容なんて、どうせ星の話だ。アパートの前の道で、見知らぬ男女が星の話をしているのだ。 二人は向かい合って小さな声で笑いあう。あれがくじら座だよ。本当に?当たり前だよ、空にはくじらがい

          眠りそうで眠らない夜の話