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なぜ阪急交通社はアレのアレに絡むのか

こんばんなまらステ🤎Kyoskéこと厚沢部煮切(あっさぶにるぎり)だべさっ✨

我々のなかで阪急さんといえば阪急電車や阪急百貨店ではなく阪急交通社だけど、

阪神タイガースの日本一でセールをやっているのはもちろん同じグループだから。

もちろんこれは村上ファンドが阪神電鉄を買おうとして、阪急電鉄がホワイトナイトに名乗りを上げて「永遠のライバル」だった阪急と阪神が2006年に経営統合した結果なんだけれども。

ところが阪急電車や阪急百貨店は阪神タイガースフィーヴァーに関わろうとしない。

じゃあ何で阪急交通社だけ虎党に絡むの❓

あの経営統合のとき、阪神沿線をマルーンの電車が走ることはないし、阪神タイガースを阪急タイガースにすることもない、梅田で阪急百貨店と阪神百貨店のコラボは考えているけれどブランドの統一はしない、という話があった。

経営統合の前からJRに対抗するために梅田ー三宮間で片方の定期券持ってる人がもう片方に乗ってもいい、みたいなことやってたし、阪急と阪神というより京阪・南海・近鉄と5社で組んで色ーんなことやってた。関東じゃ見られない光景。

おしゃれ、上品、セレブのイメージを持ち今はミソついちゃってるけど宝塚歌劇団を看板にする阪急と、

庶民的で阪神タイガースという熱狂コンテンツを持つ阪神、

それぞれのブランドの良さを合一する必要はないと考えたわけね。

近いところでいえば小学館と集英社の関係だろうか。

『サンデー』と『ジャンプ』、『ちゃお』と『りぼん』、『non-no』と『CanCam』は合併しないでしょ。

なんとなく『non-no』が阪神、『CanCam』が阪急のイメージあるけど、それはそれとして。

さて、大手私鉄はみんな系列の旅行会社を持っていて、阪急はもちろん阪急交通社、阪神には阪神航空という旅行会社があった。

過去形。

阪神航空は2009年、つまり経営統合の3年後に阪急交通社に統合されたんだよ。

厳密にいうと経営統合時に阪急交通社、阪神航空、物流部門の阪急エクスプレスと阪神エアカーゴを持つ株式会社阪急阪神交通社ホールディングスという阪急電鉄直下の中間持株会社が設立され、

2009年に旅行部門を阪急交通社、物流部門を阪急阪神エクスプレスに統合した。

なお、2013年に阪急阪神交通社ホールディングスは阪急阪神エクスプレスに吸収というかたちで消滅し、阪急交通社と阪急阪神エクスプレスは阪急電鉄の子会社になった。

2009年のときに業務渡航用の阪急阪神ビジネストラベルって旅行会社を別に立ち上げる再編もしたんだけど。

要するに阪急さんと阪神さんを一度くっつけたあとで、観光中心の阪急交通社とビジネス中心の阪急阪神ビジネストラベルに分けたのね。

ただ、阪神航空のブランド「フレンドツアー」には固定客もいたから、それだけは阪急交通社が引き継いでいる。というよりブランド名自体を「阪神航空フレンドツアー」としている。

だから経営統合時の理念に倣えば、「阪神航空フレンドツアー」だけがアレのアレに群がればいいんだけど、結局阪急さん自らがやってしまっている。おーん。

ではどーして阪神電車や阪神百貨店が生き残っているのに、阪神航空は会社としては生き残れなかったのか。

大手私鉄がやってる旅行会社を旅行業界では電鉄系というけど、今や死語に近い。

2010年代以降に旅行業界入った人はこの言葉知らないんじゃないのかとすら思う。

自分は毎日社長と顔を突き合わせるとても小さな旅行会社から旅行業界のキャリアをスタートさせているから、日本旅行出身の社長から古い旅行業界の話を色々聞けたことは財産だと思っている。

さて、大手私鉄というと今は東京メトロも入るけれど、伝統的には東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、相鉄、名鉄、近鉄、京阪、南海、阪急、阪神、西鉄の15社を指す。

これらの旅行会社というと東武トラベル、西武トラベル京成トラベル京王観光小田急トラベル、東急観光、京急観光、相鉄観光、名鉄観光近畿日本ツーリスト、京阪交通社、南海国際旅行、阪急交通社、阪神航空、西鉄旅行ということになるけど、

太字で挙げたところ以外は現存していない。

電鉄系のビジネスモデルってエキナカにカウンター置くのと沿線の団体旅行が主。沿線の観光資源を活かした着地型旅行はやってるとことやってないとこがある。

このなかで電鉄系に留まらない規模に成長した筆頭は近ツリさんだよね。京都や奈良、伊勢志摩といった沿線の観光資源を駆使して、修学旅行(旅行業界では教育旅行というけれど)という文化をでっち上げてしまったことに象徴されるように、昔はヴェンチャー精神イケイケでJTBのライバルになった。今はどうなのかという話はさておき😓

阪急さんは新聞にガバガバ広告出すビジネスモデルで電鉄系に留まらない全国区に躍り出た。

名鉄さんとか西鉄さんは東海、九州ではJTB並みに強いんだよね。

AKB48本体は今や乃木坂46の足元にも及ばないけど、東海や九州に行くとSKE48やHKT48の人気ってそんなに衰えてないのと似たようなものかもしれない。

宮城交通が名鉄系ということもあってか仙台でも名鉄さん結構強いし(仙台資本の旅行会社にいた時に初めてわかった)、名鉄と関係の深いANAの手配も強いかな。

西鉄さんはスポーツ手配に早くから目をつけて、このジャンルだけは全国区の強さを誇る。

かつてここに挙げた4社と同じく電鉄系の殻を破っていたのは東急さんで、上場もしたし、昔はJTB、近ツリ、日本旅行に次ぐ4番手だった。

この4社は国鉄の駅業務を受託していて、国鉄民営化でこれらはすべてJRが直でやることになり、大きな損害を負った。東急さんはこれでやられた感がある。

ここから911などの打撃もあり転落の一途を辿り、2004年にファンドへ株式を売却、2006年にトップツアーに改称した。電鉄系最初の離脱やね。

東急って本業の電車をはじめとても経営のしっかりした会社に見えて、プロ野球とか高速バスとかかなり早い段階でずっこけてる。

損切りが上手い会社とも言えるのかもしれないけど、旧JASみたいにグズグズ続けてたものもあるしなぁ。

そのトップツアーは2013年に東武が買い、2015年に東武トラベルを吸収するかたちで東武トップツアーズになり、最近は新たな大手旅行会社みたいな顔をしている。

東武トラベルなんて東武沿線以外で何にも強い会社じゃなかったけれど、スカイツリーや日光など自社沿線の観光資源(スカイツリーは直営)を積極的に売る方向に舵を切っていて、新しい電鉄系のモデルを創ろうとしている。

電鉄系、最早旧電鉄系と呼んだ方がいいなかで、それなりの勢いがあるのは近ツリさん、阪急さん、名鉄さん、西鉄さん、東武トップさんだけだろう。

あとは大手の傘下に入ったり、提携したりしてなんとか生き延びている。京成さんは最早成田の両替所が本業じゃないのかな。

早くに消えた東急さんと阪神さんを除けば、2010年代から淘汰が始まっている。

というか阪神さんの2009年が淘汰の皮切りと言っていいだろうと思う。

電鉄系が生き残れなくなった理由は、代理販売がメインだから。

エキナカのカウンターに置いてあったパンフの大半はJTBをはじめとした他社商品。

昔はどっか旅行行きたいと思ったらエキナカで申し込むのが手っ取り早かったけれど、もう2000年代の後半にはインターネットの方が主流になりつつあった。

これは地域差もあってそれこそ仙台は2010年代の間はカウンター申し込みがまだまだ強かった。結構なカルチャーショックだったな。

自社で旅行商品つくってたら、販売のチャネルを店舗カウンターからインターネットに切り替えればいいだけなんだけども、

販売チャネル自体がビジネスモデルなら、それがコケればもう終わり。

阪急さんから阪神さんを見て「フレンドツアー」とビジネス顧客には魅力を感じたけど、それ以外に魅力がなかったから会社自体を残さなかったということになる。

でも阪神タイガースのブランドには屈しちゃったのね。おーん。

阪急さんは伝統的に宝塚歌劇団のトップ女優を広告塔に使うけど、そっちが今あかんので虎に縋ってると見ることもできるけれど、宝塚の報道出る前から虎の背中には乗る気でいたはずだからなぁ。

阪急阪神経営統合の理念だったり、オリックスバファローズが元々阪急ブレーブスだったことを思えば阪急交通社の阪神タイガース便乗は違和感あるけどね。

それは旅行業界の脆弱さが生み出した独自行動だということをご理解いただければ。

電鉄系のみならずカウンター営業自体が本当にオワコンなのかということについてはまた別の機会に書くことにするけど、

ひとまず電鉄系は突き抜けている4社プラス新興勢力❓の東武トップさん以外は正直厳しいということは覚えておいていただければ。

それじゃあバイバイなまらステ🤎厚沢部煮切でしたっ✨


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