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エンジョイする方がずっといばらの道だって

こんばんナマステ⚾Kyoskéこと暑寒煮切(あっさむにるぎり)だよっ⭐️

基本的に興味がなくても、決勝戦がどこ対どことで、いつやるのかくらい知ってしまうくらい報道され、話題になっている夏の甲子園。

ただ今年は非常に面白い存在が優勝してしまった。

神奈川県代表の塾高、正式には慶應義塾高等学校はもちろん慶應義塾大学の附属高校で、校舎は大学の日吉キャンパスに併設されている。

日吉キャンパスは文系の下級生が主に通い、理系の矢上キャンパスも日吉から行くので、内部進学者にしてみたら高校とか大学ではなく日吉という街にずーっと通い続けるという印象だろう。

そんな塾高の快進撃が殊更注目されているのは、エンジョイベースボールを掲げ、坊主頭はおらず長髪の部員もいること、練習時間は1日2時間で、かつ部員達はスポーツ強豪高にありがちのスポーツ学級のようなものではなく通常の学級に所属ししっかり勉強しているということ。また、彼らは中学野球のエリート達ではない。

そこに今まで根性論のイメージから高校野球について否定的に見ていた人達が飛びついているようで。

気持ちはわかるけど、根性論よりずーっと難しいということが理解されずユートピアのような目で見ている人達が少なからずいると思うけど、それは完全に違う。

現実はそんな単純じゃないけど、単純なモデルを提示してみる。

それは練習時間❌練習の質の積算が実力を決めるというもの。

では練習2時間のチームが8時間のチームにどーしたら勝てるか。

それは練習の質が4倍以上ならいいよね。

具体的にどんなものが必要か。

例えば素振り。

既存の強豪高が毎日千回素振りしてスイングを身体に叩き込ませるのに対して、250回未満で叩き込ませればいい。

そのためには速度、角度、筋肉量などを徹底的に計算したり、器具を使うなどで、より正しいスイングができるようにする、といった方策が必要になる。

言うのは容易だけど、そんな簡単なことじゃないのは誰にでもわかるよね。

ちなみに塾高は強豪高からすると「無駄な時間」も使っている。

Liga Agresivaという、勝利至上主義の逆をいく高校野球のリーグが神奈川県に上陸した時から賛同し、そこにはヘタクソな高校がたくさん参加する。

神奈川県の他の参加高は川和高校、市ヶ尾高校、海老名高校、川崎北高校、桜丘高校、横浜翠陵高校、西湘高校、大和高校、鶴嶺高校、厚木高校、横須賀高校、追浜高校となっており、あんまり強いところはない。

しかも木製バットか低反発金属バットを使い(甲子園も今後導入予定だけど)、アメリカばりの投球数の制限があり、ベンチ入りメンバーが全員プレイしなければいけない。

強豪高からしてみれば、他の強豪と練習試合をしたり、紅白戦などの自主練に充てた方がマシと映るだろーね。

もっともこの取り組みが最初に始まった地域のひとつである新潟では新潟明訓高校が参加していきなり箔がついたし、

塾高のほか、東京学館新潟高校、おかやま山陽高校、立命館宇治高校が今回の甲子園に出ているから、強豪高にとってもひとつの選択肢ではあるだろーけども。

でも、仙台育英も、大阪桐蔭も、横浜も、明徳義塾も、作新学院も、智弁和歌山も参加してないんだよ。

面白いのは、この取り組みは筒香嘉智や森友哉を育てた堺ビッグボーイズを運営するNPO法人BBフューチャーが始めており、実際大阪からリーグが始まった割にはお膝元の関西でそんなに広がってないということ。

当然ながら甲子園のある関西では、まだまだそれ以外の頂が見えてないということかな。

インドの内側で権威を持つヒンドゥー教と外に出ていくしかなかった仏教みたいな関係❓

兎に角神奈川県でいえば、横浜、東海大相模、桐蔭学園などなどが互いに勝利を目指して鎬を削っているときに、塾高はヘタクソな高校と「遊んでる」わけ。

そんな高校が何で勝てるのか。

それは先述したように量より質だからだけど、そんなんだったらどこだって質を求めたい。

というか質に量を掛け合わせれば、質しかないとこに負けるはずはない。

この質を生み出すのは何か。

それはインフラと「考える」ということだろう。

塾高がその点で有利なのは大学のインフラをある程度使える。

実際甲子園に出てくる高校は大学の附属が多いじゃん。

ちなみに慶應はお金持ちの子だから云々、はあんまり関係ないと思う。

幼稚舎(慶應の小学校)上がりはそりゃそーゆー子達だし、中高から入るにしたって貧しかったら無理。

でも甲子園常連高の家庭は大概金持ちなんだよ。

イマドキ左門豊作みたいな奴いないから。

この面で塾高と他にあんまり差はないかな。

でも、それだけじゃないんだな。

今はYouTubeでNPBやMLBの一流選手のプレイをすぐに視ることができる。

昔のように監督のいうことが絶対じゃなくなってきているけど、そういうものを活用できる環境にあるかどうかの差も大きい。

寮に入ったらスマホを取り上げ、インターネットに一切繋がせないような世界もまだまだあるでしょ。ただ、塾高野球部もSNSは禁止なので完全に対極ではないのだけど。

そして「考える」こと。

千回の素振りを200回で済むようにするには、インフラもあるけど結局それしかないんだよ。

かつて桑田真澄という大人に言われなくたって徹底的に「考える」ことができる投手がいた。

彼は天才であって、一般的な少年達はまともな大人に導かれながら少しずつ自主的に「考える」力を身につけていく他はない。塾高に入れるような子は地頭がいいのはわかるけど、それでもそれだけじゃない。

これはもちろん森林監督の名将ぶりに他ならないんだけど、受験や就職を考えずに済む環境も大きいかなと。

塾高から慶大への内部進学率は99.0%なのだという。

これはこれで多様性無さすぎると思うけど、ひとまずこのような環境であれば、高校から入っても7年間かけて高度な教養を育んでいくプログラムを施すことができる。

他の高校生がせっせと年号を覚えているとき、塾高生はその出来事の意味を学ぶ。あるいは議論をする。

年号を覚えてもそれが野球には直結しないけど、歴史の流れを学ぶことは野球に直結するんだよ。

練習は2時間しかしなくても、野球に必要な力を涵養する時間はとても長いし深い。

なお、今年に関してはコロナ禍を味方につけたと思う。

今の3年生は「集まれない」時期をそれなりに経験している。

学校に行かないなかで今何をすべきなのか、ということを彼らは主体的に考え、この期間でライバル達に大きく差をつけた、あるいは中学野球のエリート達に追いついたんじゃないかな。

強いチームは自分達のやり方に固執せず、学ぶべき対象があれば謙虚に学ぶし、環境の変化に強い。

実際、球数制限を導入した結果、強豪高はみんなしっかりとした投手を複数枚用意するようになり、戦術は一気に多様化した。

坊主頭に代表される封建的なやり方はなかなか消えないだろうけど、「考える」野球はすぐに敷衍すると思う。

受験や就職の心配しなくていい大学附属は「考える」習慣を身につける環境としては有利かもしれないけど、

高校野球と違ってとっくに「考える」フェーズに入っているアメフトやラグビーの強い高校は必ずしも大学系じゃないでしょ。

だから、どんな高校だって絶対「考える」野球はできる。

ただ「考える」ように指導できる大人がいるかどうかは別問題。

2030年代の甲子園(批判を受けて京セラドームになってる❓)の8強ともなれば、チェスのような頭脳戦ばかりになるのだろう。

さすが朝日新聞社主催のハイソサエティな大会だね、って言われるんだろうな。

考えなくて済む根性論の方がずーっと楽だけど、もうそれが通用しない時代が来てしまった。

パンドラの箱がとうとう開いてしまったんだと思う。

そして高校野球の日本社会に与える異様なインパクトを考えると、日本社会自体がぐらつくだろうね。

根性論、勝利至上主義、体育会系といった存在が嫌いな人達はひとまず塾高優勝を喜んでいるだろうけど、

それは塾高の勝利を喜ぶのではなく、嫌いなものの敗北を嘲笑う者にしかすぎない。

この先に待っているのは欧米のように「考える」人がエンジョイでき、そーじゃない人が泣く社会だろう。

その未来へ行く覚悟はできてる❓

とりあえずそのことを「考える」❓

とりあえず塾高野球部員の行きつけだったっぽい新中野武蔵家日吉店はこれから混むだろうなぁ。

野球部員には、らすた派はいないのかよ‼️

うん、長髪はいてもドレッドはいないもんね。

それはラスタファ😅

それじゃあバイバイナマステ⚾️暑寒煮切でしたっ✨







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