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【立憲民主党の派閥】サンクチュアリ(近藤昭一派)

⚠️諸注意⚠
 本ブログではnoteの機能の制約を受けること、定期的な記事の更新が必要となることから、記事の編集しやすさを優先して執筆したため、出典及び脚注の書き方が統一されていません。また、歴史に関する内容も現時点では書きかけとなっています。あくまでも派閥の概要と所属議員を根拠付きで確認できるのが、現時点での本記事の特長です。以上のことをご承知の上でお読みください。


(1)概要

〇分類…立憲民主党の派閥(党内最大派閥)
〇領袖…近藤昭一元環境副大臣
〇結成日
・勉強会として…1996年[1]
・派閥として…2012年10月11日[2]

〇名称の由来…1996年衆院選で落選した社民党出身者の「止まり木(バードサンクチュアリ)」として機能するよう名付けられた.

〇主たる事務所の所在地
・東京都新宿区四谷3-11山一ビル6F(2018年まで)[3]
・東京都調布市布田2-30-4(2019年以降)[4]

〇所属議員数…31名[5]
・現在判明している会員数:24名(2024年4月3日時点)
・毎日新聞調査…30名[6](2022年3月9日時点)
・朝日新聞調査…約30名[7](2022年7月29日時点)
・産経新聞調査…約30名[8](2023年11月2日時点)
・読売新聞調査…約30名[9](2023年11月3日時点)
・NNN調査…約30名[10](2024年4月2日時点)

(1)概要 脚注
[1]―安藤健二「サンクチュアリとは? 立憲民主党の最大グループの動きが代表選の焦点に」.ハフィントンポスト.2021年11月26日.
[2]―『朝日新聞』.2012年10月12日.
[3]―海江田万里の議員事務所が置かれている.
[4]―山花郁夫の議員事務所が置かれている.
[5]―総務省『令和四年分 政治資金収支報告書 新政治文化フォーラム』.
[6]―『毎日新聞』.2022年3月9日.
[7]―『朝日新聞』.2022年7月29日.
[8]―『産経新聞』.2023年11月2日.
[9]―『読売新聞』.2023年11月3日.
[10]―JNN『報道特集1930』.2023年4月2日放送.

(2)役職

〇会長
・初代 赤松広隆(1996~2012.10.11~2021.11.05)
・2代 近藤昭一(2021.11.05~)

〇顧問
・枝野幸男(2021.11.05~)

〇会長代行
・海江田万里(2012.10.11~)
・水岡俊一(?~2021.11.14~2023.11.02?)
・逢坂誠二(2023.11.02~)

〇事務局長
・江崎孝(2012.12~?)

〇幹事長
・山花郁夫(2012.10.11~?)

〇筆頭副会長
・小川淳也(2023.11.02~)

〇事務局次長
・江崎孝(2012.?~2012.12)

出典 (2)役職
『朝日新聞』.2012年10月12日.
『毎日新聞』.2021年11月6日.
『読売新聞』.2021年11月14日.
『産経新聞』.2023年11月2日.
江崎孝オフィシャルブログ「寛容の中道」

(3)所属議員一覧

*凡例
無印=確定
🈶=ほぼ確実
🉑=所属している可能性が高い
【〇〇派】=他に掛け持ちで所属している派閥

現職議員

・確定24名,可能性あり3名

◇衆院議員(確定13名,可能性高2名)
道下大樹(北海道1区) 日教組 🉑
荒井優(北海道3区比例)【泉派/菅派】
大築紅葉(北海道4区比例) 🉑
逢坂誠二(北海道8区) 自治労
神谷裕(北海道10区比例)【菅派】[1]
石川香織(北海道11区)【菅派】
岡本章子(宮城1区比例) 情報労連
枝野幸男(埼玉5区)【菅派】
海江田万里(東京1区比例)
大河原雅子(東京21区比例)【菅派】
阿部知子(神奈川12区)
近藤昭一(愛知3区)
柚木道義(岡山4区比例)
小川淳也(香川1区)
堤かなめ(福岡5区) 日教組【小沢派】

◇参院議員(確定11名、可能性高1名)
勝部賢志(北海道奇数) 日教組
斎藤嘉隆(愛知偶数) 日教組[2]
田島麻衣子(愛知奇数)
石橋通宏(比例偶数) 情報労連【菅派】
鬼木誠(比例偶数) 自治労
古賀千景(比例偶数) 日教組
柴愼一(比例偶数) JP労組 🉑
水岡俊一(比例奇数) 日教組
吉川沙織(比例奇数) 情報労連
岸真紀子(比例奇数) 自治労
小沢雅仁(比例奇数) JP労組
森屋隆(比例奇数) 私鉄総連[3]

出典 現職議員
・近藤昭一,吉川沙織,鬼木誠,古賀千景,水岡俊一は2022年度分政治資金収支報告書による.
・大河原雅子は2016年度分政治資金収支報告書による.
・田島麻衣子は2020年度分政治資金収支報告書による.
[1]―『毎日新聞』,2021年11月20日.
[2]―『朝日新聞』,2016年9月15日.
[3]─政策グループの勉強会に参加したとする森屋のFacebookの投稿と、2022年度分政治資金収支報告書の会議飲食代記載の日時(2022年10月20日)が一致したため。

元職議員

◇衆院
池田真紀(北海道5区総支部長)
山花郁夫(東京22区総支部長) JP労組
宮川伸(千葉13区総支部長)【菅派】
松田功(愛知16区総支部長)
武内則男(高知1区総支部長) 自治労

◇参院
宮沢由佳(山梨偶数) 日教組
白眞勲(比例偶数) 民団/立正佼成会

出典 非現職議員
・池田真紀,山花郁夫,武内則男は2022年度分政治資金収支報告書による.
・宮川伸,松田功は2021年度分政治資金収支報告書による.

引退議員

◇衆院
佐々木隆博(北海道6区) 北海道農民連
赤松広隆(愛知5区) 運輸労連
山内康一(福岡3区)【菅派】
松平浩一(長崎2区)

◇参院
輿石東(山梨偶数) 日教組
那谷屋正義(比例偶数) 日教組
江崎孝(比例偶数) 自治労
難波奨二(比例偶数) JP労組【菅派】
相原久美子(比例奇数) 自治労
神本恵美子(比例奇数) 日教組
轟木利治(比例奇数) 基幹労連

出典 引退議員
・山内康一,那谷屋正義,江崎孝は2022年度分政治資金収支報告書による.
・佐々木隆博,赤松広隆,松平浩一は2021年度分政治資金収支報告書による.
・神本美恵子は2018年度分政治資金収支報告書による.
・難波奨二は2016年度分政治資金収支報告書による.
・轟木利治は2012年度分政治資金収支報告書による.

過去の在籍者

*2012年12月の民主党代表選後、サンクチュアリが派閥化した後に在籍していたことが確実で、その後退会したと推測される議員は太字で示した。

〇現職
◇衆院議員
田嶋要(千葉1区)【菅派】
奥野総一郎(千葉9区)【野田派】
西村智奈美(新潟1区)【菅派】

◇参院議員
徳永エリ(北海道偶数)【泉派】

〇元職
◇衆院議員
今野東(宮城2区) 2013年死去
細川律夫(埼玉3区) 2014年引退
田並胤明(埼玉12区) 2003年引退
小沢鋭仁(東京25区)【希望の党】2017年引退
生方幸夫(千葉6区)【無所属】
大出彰(神奈川2区) 2009年引退
筒井信隆(新潟6区) 2013年引退
桑原豊(石川3区) 2010年引退?
牧野聖修(静岡1区) 2015年引退
岡本充功(愛知9区総支部長)
佐藤観樹(愛知10区) 2004年失脚
中根康浩(愛知12区)【細野派】
園田康博(岐阜3区) 2015年引退
伊藤忠治(三重4区) 2005年引退,2013年死去
山元勉(比例近畿) 2003年引退,2010年死去
肥田美代子(大阪10区) 2005年引退
横光克彦(大分3区)【菅派】

◇参院議員
千葉景子(神奈川偶数) 2010年引退?
谷林正昭(富山偶数) 運輸労連 2019年死去
佐藤泰介(愛知偶数) 日教組 2009年引退
谷岡郁子(愛知奇数) 【みどりの風】2013年引退
山下八洲夫(岐阜偶数)【無所属】2010年引退?
松野信夫(熊本奇数) 2013年引退?
松岡徹(比例偶数) 部落解放同盟 2010年引退?
川橋幸子(比例偶数) 2004年引退
高嶋良充(比例偶数) 自治労 2010年引退
藤末健三(比例偶数) 立正佼成会【自民党麻生派】
内藤正光(比例奇数) 情報労連 2010年引退
富岡由紀夫(比例奇数)【みんなの党】
伊藤基隆(比例奇数) JP労組 2007年引退,2017年死去

出典 過去の在籍者
・中根康浩は2015年度分政治資金収支報告書による.
・松野信夫,横光克彦,西村智奈美,奥野総一郎,今野東は2011年度分政治資金収支報告書による.
・田嶋要は2010年度分政治資金収支報告書による.
・小沢鋭仁,山下八洲夫,千葉景子,松岡徹は2009年度分政治資金報告書による.
・岡本充功,園田康博,筒井信隆,細川律夫,谷岡郁子,佐藤泰介,内藤正光,富岡由紀夫は2008年度分政治資金収支報告書による.
・伊藤基隆は2007年度分政治資金収支報告書による.
・伊藤忠治,牧野聖修,生方幸夫,大出彰は2005年度分官報による.
・桑原豊,佐藤観樹,肥田美代子,山元勉,田並胤明,谷林正昭,川橋幸子は2002年度分官報による.
・高嶋良充は2000年度分官報による.

余談―Wikipediaとの比較

 Wikipediaでは本記事に掲載した所属議員の他に、かつての在籍者として郡和子、山内崇、田城郁、山尾志桜里、横路孝弘、鉢呂吉雄、岡崎トミ子、谷博之、斎藤勁、尾辻かな子、松本龍、津田弥太郎、郡司彰の13名が挙げられているが、いずれも根拠が明確でない。

 特に郡司彰は「私自身はどこ のグループにも属さずに15年間議員をやってきた」[1]と発言するなど、無派閥であったことが明白であり、サンクチュアリの所属議員として掲載するのは誤りである(本記事も更新以前は郡司を所属可能性がある議員に含めていたことを深くお詫びしたい)。実際に、2020年の合流新党代表選で泉健太の推薦人になるといった、サンクチュアリと異なる動きが多数見られる[2]。

 また、毎日新聞が2017年民進党代表選をめぐって次のような報道をしていたことから、横路はサンクチュアリには所属していなかったと思われる。「赤松グループは週明けに会合を開き、対応を協議する。赤松氏は28日に旧社会党系の横路孝弘元衆院議長らとも会談しており、枝野氏の出馬表明を待って支持拡大を目指す意向とみられる」[3]。

 鉢呂吉雄についても、過去に複数回民主党代表選で赤松と意見が割れており[4]、特に小沢に近い赤松と、小沢に距離を置く鉢呂の間には距離感があった。サンクチュアリに参加していたかは相当程度疑問である。

 反対にWikipediaに記載されていない在籍議員について見ていこう。まず、Wikipediaで過去の在籍者とされている大河原雅子だが、サンクチュアリが派閥化されて以降の2016年にはサンクチュアリ所属となっているため、現在も所属している議員として扱った。荒井優、岡本章子に関してはWikipediaに名前がないが、荒井は自身のFacebookで新政権研究会や国のかたち研究会と並んで所属していることを明らかにしている。岡本については2018年に徳永エリのFacebookで会合に参加している様子が確認できる。

 なお余談だが、現在自民党に所属する藤末健三は勉強会時代だけでなく、派閥化後もサンクチュアリに所属していたようである。リンクを載せている通り、藤末は2015年にも赤松の永年在職議員表彰を祝うサンクチュアリ議員たちの集まりに出向いていた。

余談―Wikipediaとの比較 脚注
[1]―『朝日新聞』.2013年8月7日.
[2]―『毎日新聞』.2020年9月8日.
[3]―『毎日新聞』.2017年7月29日.
[4]―『朝日新聞』.2010年9月1日.

(4)政治資金収支報告書

*本記事で参照した政治資金収支報告書を全て掲載する予定でしたが、noteの使用上、1日にアップロードできるファイルは10個であり、一部の収支報告書は掲載できておりません。日を追うごとに順次追加してまいります。


(5)歴史

1.前史⑴ 政局懇談会

 1996年9月、新党さきがけに所属していた鳩山由紀夫や菅直人は、社民党と新党さきがけの多数の議員と共に57名(衆院52名、参院5名)で旧民主党を結成した。その結成の経緯から旧民主党は一定程度リベラル色の強い政党であり、57名のうち社民党出身者は35名、さきがけが15名、市民リーグが5名、新進党が1名(由紀夫の弟である鳩山邦夫)、無所属が1名(さきがけ系)であり、社民党出身者が過半数を占めていた[1]。しかし、1998年4月には民主党が新進党解党後の民政党、新党友愛、民主改革連合と合併し、新民主党が結成される。民主党に「合流」した民政党は、羽田孜元首相の系列議員や細川護熙元首相、岡田克也、奥田敬和等、自民色・保守色の強い面々で、新党友愛はかつて社会党と袂を分かった民社党の系譜であった。結果的に社会党系は党内での相対的地位を低下させ、1999年初頭には民主党に所属する国会議員145名のうち、社会党系議員は53名と全体の1/3にまで落ち込んでいた[2]。

 勢力を増す保守系への警戒を強める旧社会党の議員らは、社会党のプリンスと呼ばれた横路孝弘を中心に「政局懇談会」と称して会合を開いており[3](この会合がいつ頃から行われるようになったかは、明らかでない)、党内での影響力を拡大を図って1999年1月には政策集団「民主中道政策研究会」の設立を画策するようになった。なお、この動きの背景には党内で社会党系の発言力を高めようとする鉢呂吉雄や石橋大吉の後押しがあったとされる[4]。しかし、これらの動きに対し、鳩山由紀夫が「きな臭いものはおやめになった方がいい」と発言するなど、党内の保守系議員や民社系議員の反発と警戒を招いた[5]。最終的には党内からの反対論や支持労組から自重を求められたこともあって「民主中道政策研究会」構想は取り下げとなり、「民主プラス21」と名を変えた勉強会を発足させた[6]。社会党系議員らの狙った派閥化が保守系の反対で失敗に終わったことで、以降、横路を領袖とする社会党系勢力と鳩山由紀夫や熊谷弘ら保守系勢力は党内で対立していくことになる。

前史⑴ 脚注
[1]―9月23日に民主党設立委員会に参加した50名、同28日までに参加した7名について朝日新聞,読売新聞,毎日新聞の記事を元に著者が計算した.
[2]—『読売新聞』,1999年1月30日.
[3]—『読売新聞』,1999年1月26日.
[4]—『読売新聞』,1999年3月22日.
[5]—『朝日新聞』,1999年4月8日.
[6]—『毎日新聞』,1999年5月15日.

2.前史⑵ 新政局懇談会

>coming soon…



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