CS賭けた大一番 託されたNo.14

雨により延期した運命の最終戦は10月10日に仙台で行われた。
勝てば2位、負ければ4位の大一番、先発を任されたのは、小島投手。

今年のレギュラーシーズンは小島で始まり、小島で終わる。
監督、コーチからの信頼と、ファンからの期待を背負った背番号14は初回、四球などをはさみ満塁のピンチを迎える。

思えば、小島は自らの四球でピンチを招くことが多いように感じられる。
しかし、決して制球に難があるわけではないだろう。
打たれたくないという気持ち、抑えなくてはいけないという気持ち、この二つの狭間で葛藤する左腕が放つ球は、わずかにボールと宣告される。
小島は相手の打者と勝負しているようで、自分自身の心と勝負しているようだった。
強気に攻めろ、こんな言葉が小島の帽子の裏に書かれているらしい。

初回の満塁のピンチ、岡島選手を併殺に打ち取り、切り抜ける。
このピンチを凌いだ小島は先制点を貰い、強気の投球で凡打の山を築いた。

気がつけば、この日、小島は7回を無失点でまとめ上げ、マウンドを降りた。
降板する小島にファンからの大きな拍手が向けられる。
絶対に負けられないこの大一番で、今シーズンベストと言っても過言ではないピッチング。大舞台での強さ。

打線も小島のピッチングに応えるように5得点。
千葉ロッテマリーンズは運命の一戦をものにした。

試合終了後、千葉ロッテマリーンズの選手たちが外野スタンドに挨拶をする。
その中に小島の姿もあった。
吉井監督になにやら声をかけられ笑顔だった。

一通り、挨拶を終えてベンチに戻っていく小島の後ろ姿、背番号14を見て思った。

小島は、”左の”エースではない、マリーンズの真のエースなんだと。

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