見出し画像

今だからこそ考える【Vtuberがヒットした理由】

こんにちは、バーチャルアナウンサーの京野聖也です。
「最近noteを開くことすらしていなかったな」と思い、久々にnoteでいろいろな文章を読み、この2つのコラムが特に印象に残りました。

電脳少女シロさんのファンのことを「シロ組」といいまして、そのシロ組の方が現在のシロさんの活動状況や浮かび上がる数字を憂い、打開するためにはどのような策が有効かを語るという内容です。

私がVtuberを好きになったときは四天王(キズナアイさん、電脳少女シロさん、ミライアカリさん、輝夜月さん、のじゃおじさん)が栄華を誇っていた時期で、過去に豊洲PITにて行われたガリベンガ―のイベントにも参加するなどシロ組とは言えないまでも、とても好きなVtuberでした。

「でした。」という過去形なのは、現在シロさんの動画を全く観ていないからで、はっきり言って私はもうVtuberを全く追っていません。
甲賀流忍者ぽんぽこさん&オシャレになりたいピーナッツくんのお二方は現在進行形で好きなのですが(それでもリアルタイムの生放送は観ないことも多くなりました)、そのほかは競馬系Vtuberさんの配信にたまに遊びに行くぐらいで、一時は気が狂ったように動画を観ていたVtuberも、今では完全に熱が冷めてしまいました。

私がVtuberとしてデビューする準備が完了したときにはすでにVtuberへの熱が冷めていたということになります(競馬や野球など自分の好きなコンテンツで動画を作っているのでモチベーションそこそこ高く活動しています!)

四天王の現在はといえば、キズナアイさんは登録者269万人ながら最近の動画の再生回数は20万再生のときもあれば4万再生程度のときもあるという数字。2年前の動画では200万再生はザラだったことを考えるとすさまじい凋落ぶりです。ミライアカリさんシロさんも例外ではなく、現在も動画を投稿し続けていますが、全盛期の再生回数から0を一つとったぐらいでは済まないほどの落ち込みよう。輝夜月さんも同じような凋落ぶりで動画の元々高くなかった動画の投稿頻度はさらに減り、Twitterもほとんど動かしていないため、もはや消息不明。のじゃおじさんは実質引退されました。

四天王凋落の要因はこの方が考察されています。参考までに。

四天王に代わるように台頭してきたのがにじさんじやホロライブ、アイドル部などですが、文頭で紹介したコラム(前者)にあるようにどう見ても落ち目であるシロさんの登録者数を抜かすものが出てきていません。Vtuberは箱で売りブランド化するというのが今の売り方ですが、チャンネル登録者数という数字だけ見れば、そのブランドも過去の産物に並ぶことすらできていません。辛辣な言い方をあえてしますが、その程度のもので最初の勢いには遠く及ばないぐらいのコンテンツということです。

私は文頭で紹介したシロ組さんたちのように現在のVtuber業界を憂い、未来への希望を込めてこのようなコラムを書き、そのなかで『Vtuber業界はオワコンではなく閉じコン(閉じたコンテンツ)になってしまったと考えています。現状のままでも利益は生まれます、しかし今のままではいつか人が去ってしまう。』と述べました。

現在のVtuber業界は閉じコンであり、閉じコンであり続けることはオワコンへの道を進むことで、Vtuber業界は着々とオワコン化しています。

VtuberファンやVtuberで「Vtuber業界の今後は明るい」と答える人は一人もいないでしょう。いたとしたらそれはポジティブではなく現実が見えていないだけです。

今の日本のVtuber業界は間違いなく行き詰っています。
前置きがかなり長くなってしまい申し訳ありません、こういうときこそ皆で原点に戻りましょう。
「なぜVtuberはヒットしたのか」


参考文献

前者の『オタク経済圏創世記』という今回の参考文献はアニメ・漫画・ゲーム・プロレスのようなサブカルチャーが「どのような歴史で、どのようなマネタイズやマーケティングで売られ、どのように維持されているか」が記されているサブカルチャーのビジネス書です。

後者の『初音ミクはなぜ世界を変えたのか』は初音ミクヒットの要因を音楽業界やオタク文化の流れから読み解き、綿密な取材のもと初音ミクを音楽史のなかに位置づけるという本です。
双方とも名著なのでぜひ読んでみてください。

この著書のなかにはVtuberという項目はないため、これらのサブカルチャーのなかからVtuberのヒットに通ずるものを探し出していくというのが今回のコラムの構成になります。


①日本サブカルチャーの歴史

まずは日本においてサブカルチャーがどのように育ってきたのかという歴史的背景を、アニメ業界を中心にVtuber文化に繋がる箇所のみ簡単に見ていきます。

日本サブカルチャー業界の黎明は1963年にフジテレビにてアニメ化され虫プロが制作した鉄腕アトムにあるといっていいでしょう。
1950年代からは漫画もありましたし、鉄腕アトムより前にアニメ制作も始まっていましたが、私(京野)が考えるアニメ鉄腕アトムのもっとも偉大な功績は今のアニメにもつながる「売り方」を確立させたことです。

鉄腕アトムの放映権料は1話当たり55万円と設定されていましたが、1話のアニメを制作するためにかかるコストは250万円で大赤字でした。

その設定金額からリミテッドアニメーションで作画枚数を極限まで減らしたり、この価格設定が現在のアニメーターの待遇の悪さにもつながっているというのは有名な話ですが、結果論としては鉄腕アトムは他のマネタイズにより十分な黒字を確保することができています。

そのマネタイズとは「マーチャンダイジング(商品化)」です。
鉄腕アトムの場合はそれがマーブルチョコレートでした。

キャラメル全盛期の時代でチョコレートがまだ一般的ではなかった時代にチョコとアトムというキャラクターを掛け合わせたことにより、当初3億円の売り上げが2年後には58億円と爆発的に成長しています。

これが先駆けとなって「テレビアニメという投資で人気になったキャラクターを使い、商品化により投資を回収する」というビジネスモデルが出来上がります。つまるところ『IPビジネス』の誕生です。

アニメというのはディズニーに見られるようにそもそも子供用の娯楽です。米国において1950年代には漫画の表現をめぐって上院議会でコミックの残酷描写に関する論争があり、米国における漫画&アニメは「子供の教育モノ」であり、「スパイダーマン」のようなヒーローものが量産されていくこととなります。

それに対して日本のアニメは1970年代の「宇宙戦艦ヤマト」を皮切りに「機動戦士ガンダム」など、大人も消費するコンテンツへと独自の文化で進化していきました。
米国の影響を受けず進化していった日本のアニメはついに「大人向けアニメ」という大きな発明をするわけです。

その後1980年にはホームビデオが普及し、1987年に販売された「うる星やつら」のプレミアムレーザーディスクは50枚1セットで33万円という価格ながら6000セット売り切れというとんでもない数字を叩き出します。
この出来事はアニメはテレビで流さなくても十分商売になるとしてOVA(テレビ放送枠のないビデオ化だけでマネタイズするアニメ)が量産される契機となりました。

テレビ東京が深夜にアニメ枠を作るという革新的な行いで、前述の大人がプレミアム価格でもビデオを購入する実例も出始めたことにより、「そもそも子供を完全にターゲットから外したアニメビジネス」が成立しはじめました。

そして1995年を境に日本のコンテンツ事業はCDが売れなくなった音楽業界を皮切りに失墜していきます。
様々な要因は考えられますが、特に槍玉に挙げられたのはコンピューターとインターネットの普及です。
CDに収録された音楽などのコンテンツは誰もが劣化なく簡単にデジタルコピーできるようになり、インターネット上でそのデータを容易に共有できるようになりました。
PCで人々がアクセスしたのはこのような音楽や、大量にアップロードされた無料漫画や無料アニメでした。
技術革新が「無料でアクセスする手段」を与えたことがコンテンツビジネス市場に大きなダメージを与えます。
しかしそのようなあいだにも、コミックマーケット参加者数推移などの数字を見ればわかる通り、漫画やアニメファンの人数は増え続けていました。
「市場減退」と「人気減退」はイコールではないのです。
アニメや音楽・漫画のようなエンターテインメントコンテンツを楽しむ場所はテレビやCD・DVDからインターネットへと移りました。
その後、その需要を「有料配信」というマネタイズでインフラ整備し、市場化するネットフリックスのようなインターネット大手企業が現れます。
サブスクリプションモデル、通称サブスクが世界中に普及され今に至るのです。

もう一つサブカルチャーを語るうえで特筆すべき出来事があります。
株式会社ニワンゴにより、2007年1月にニコニコ動画がサービスを開始しました。
同年5月には登録者数が100万人を突破し、ニコニコ動画はあっというまに日本のネットユーザーに浸透していきます。

「弾幕」と呼ばれるコメントを一斉に打つ遊びにより、かっこいい曲やJpopの人気曲よりも「レッツゴー!陰陽師」や「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」など、突拍子もない展開やコミカルな曲調を持つ動画、つまり「遊べる動画」が人気を博していきます。

そこから既存の音源や映像を組み合わる「MAD動画」がニコニコ動画上で流行していきました。
様々なMAD動画のなかでも最も人気を集めたのがアイドル育成趣味レーションゲーム『THE IDOLM@STER』関連の動画です。
ゲーム内では用意された衣装に固定の振り付けで踊る演出が見られるだけでしたが、MADの手法を用いてそれを改変するユーザーが現れます。
「アイマスMAD」と呼ばれたこの手の動画では、映像クリエイターの手によってゲーム内のキャラクターがJpopの有名曲を歌い踊っているような動画が制作され脚光を浴びていました。

多くのユーザーがニコニコ動画に期待したことは「日常的にみんなで一つの話題を共有する会話空間を作ること、またその話題を提供する役割」です。
商用コンテンツでは削除されてしまうから代用できるものを探そうという風潮が巻き起こります。
アスキーアートのキャラクター「のまネコ」とともに、外国曲に日本語の面白おかしい歌詞をつけた空耳フラッシュが無名曲の「恋のマイアヒ」を大ヒットに導いた現象など、この時期には「誰かひとりのクリエイターではなく、無数の作り手がネタ的なコンテンツを生み出し、パロディやオマージュを繰り返しながら、その盛り上がり自体を消費していく」という文化が生まれていました。

ニコニコ動画の登場、弾幕の存在、アイドルマスターとアイマスMADのブームを経て、「二次元のバーチャルアイドルを『プロデュース』する」という欲求と需要が大きく広がっていたなかで登場したのが初音ミクであります。

そのような風潮の中登場した初音ミクはカバー曲ではなくオリジナル曲を中心に盛り上がりを見せます。
そして初音ミクは「創作の連鎖」をもたらしました。
hukeさんが書いた一枚のキャラクターイラストからsupercellのryoさんがブラック★ロックシューターを作詞作曲し、歌投稿後は別の歌い手が歌ってみたを投稿するといったように、「誰かが作ったコンテンツをもとにそれをさらに上書きするようなコンテンツが生まれ、それが日々公開されていく」というアマチュアの表現がネット上でお互いに呼応する、一つの新しい文化現象を生み出しました。
その創作の連鎖はメルトショックを契機に、初音ミクの人気とともに爆発的に成長していきます。



歴史的背景はここまでなのですが、次いで日本の特徴について。

日本企業の特徴としては「クリエイター(キャラクターや物語など原作そのものを作り出す人)」を発掘し、その人材の投資するという観点が強いように思われます。例えば世界一のIPポケットモンスターは当時25歳のゲームプランナー田尻智さんが任天堂に企画を持ち込み、任天堂がそれに乗り開発費を出したことに始まるなど。
学歴も肩書も関係なく作品のみで大ヒットを打ち出せる可能性がある。そうした挑戦の機会を与えてくれるプラットフォームとして漫画、雑誌、アニメ、コンソールゲーム、最近ではYouTubeやニコニコ動画、スマホゲームなどがあります。
エンターテインメントコンテンツの多い日本は豊かなクリエイティブ支援社会であるということができます。


②Vtuber誕生に繋がるオタクとキャラクターの変化

前述にある通り1995年にCDが売れなくなった音楽業界を皮切りに、新聞・出版業界など日本のコンテンツ業界は失墜しました。漫画やゲーム業界も国内は衰退傾向にあるなど例外ではありません。
商売の基盤を再構築しなければ生き残れないことを痛感した時代です。

ただ、このような時代でもわざわざその場所まで足を運びエンターテインメントを楽しむ「コト消費市場」は成長していました。

ただ、そのコト消費も内容は二極化しており、伸びていたのはカラオケやゲームセンターのような場所ではなく、音楽コンサートやミュージカル・歌舞伎などの「共体験をすること」にコアを持ってきたコンテンツです。
特筆すべきはそれらのうち、声優が歌う2.5次元ライブやアニメミュージカルなど、アニメを取り込んだものが特に成功を収めていることです。

このコト消費市場の背景には、SNSの普及が人と人との結びつきを弱めたのではなく、逆に結びつきがデジタルの利点により、さらに強力になったことなどがあげられます。

2010年代、人々はアニメやゲームなどのサブカルチャーを通じて同じ嗜好にある人々と集まることに価値を感じ、そこでしか手に入れられないグッズや感動の体験に大きな期待を寄せ、クリエイターや声優などを応援するというコト消費ビジネスが大きく発達します。
2ちゃんねるやニコニコ動画のような文化により家で引きこもりがちなイメージが強かったオタクという存在は、この年代にはアグレッシブなものへと変化していくのです。

アニメの聖地に訪れ観光を楽しむコンテンツツーリズムに注目が集まったのもガールズアンドパンツァーを皮切りとしたこのあたりの時代です。

さらに2010年代には音楽ライブコンサート市場で革命が起こります。
AKB48や乃木坂46など「イベント事業と連動したCD販売」というマネタイズが構築されました。
AKB48はCDを自分が推しているアイドルへの投票権に置き換え、アイドルの競争にユーザー自身が参加するための「イベントチケット市場」へと転換しました。
CDを購入することで、ユーザーはファンとなったアイドルとの関係性を作り出し、そのアイドルの成長物語に自らも参画するプロデューサーとなるのです。

ファン体験の少ない人には理解されにくい概念ですが、近年のこうしたライブ音楽コンサート事業において消費の主体はユーザー自身ではないのです。
自分が楽しむためにコンサート会場に行くのではなく、むしろタレントが自分が行くことで喜んでくれる、応援し続けて自分の顔を覚えているようなタレントが、たくさん人の集まった会場で楽しんでくれている、その様子を見に行く「楽しませに行く」ということが足を運ぶ動機となっているのです。

「誰かのために」「誰かと一緒に」。こうした自分という主体を安全な空白地帯に置いた状態での、集団性と対象のみを愛好することが、エンターテインメントの主軸となっているのが昨今のライブの価値であります。

そして2次元アイドルコンテンツの「ラブライブ!」にて、面白い取り組みが行われます。
「ラブライブ!」はユーザーの反応を取り入れて巧みにアイドルの性格を調整してきたのです。
当初絢瀬絵里という金髪の生徒会長キャラクターがいますが、2010年当初は「だから私は、ダーリンを家族みんなに紹介するわ」などのセリフに現れているように消費者との疑似恋愛を代行する言動が目立ち、そのチープな発言からか人気ランキングでは常に最下位かブービーにいるという低迷状況でした。
このユーザーからの反応を受け、疑似恋愛要素を排除し、大人でエロティックな女性から優秀な生徒会長キャラへと変貌し、ついには人気ランキングで2位を記録するまでのキャラクターとなりました。
ラブライブ!の作品全体からも男性という存在が抹消されていきます。

これこそがユーザー感触を確かめながらインタラクティブにコンテンツを調整していけるライブコンテンツの強みであり、作品はそうしてより良いモノへと変化していき、多くのユーザーを巻き込んでいくのです。

モノはモノとしてだけでは価値を持たない時代です。
現代において、モノはヒトを繋げる媒介として価値を持つものであり、ヒトとヒトのコミュニティー価値に貢献してはじめてエンターテインメントは事業として消費者に認められるのです。


③Vtuberヒットの要因

ここまでが大変長くなりましたが、①と②の総決算としてVtuberがヒットした背景や要因をまとめていきましょう。

①まず鉄腕アトムによりキャラクター(IPビジネス)が誕生し、その後日本のアニメは米国と異なり大人向けという方向でも独自に進化していきます。

②インターネットの登場によりファンがエンターテインメントコンテンツを楽しむ場所が移り、業界は大きなダメージを受けましたが、それが契機となってオタクが増えたという事実もあります。

③2007年にニコニコ動画がサービスを開始し、日常的にみんなで一つの話題を共有する会話空間を作る役割を担い、「二次元のバーチャルアイドルを『プロデュース』する」という欲求と需要を生み出し、初音ミクを受け入れました。

④その後伸びたエンターテインメントコンテンツは共体験を軸にしたもので、アイドルの成長物語に参画するためにお金を払い、楽しませに行くために会場に足を運ぶという概念が生まれます。

⑤「ラブライブ!」を筆頭に2次元コンテンツもファンの反応を見ながら変化していくことができるようになりました。

①~⑤の全てがVtuberが成り立つうえで大切な出来事&要素です。

まず①にあるようにアニメが大人向けに多様に進化してきたこそVtuberは日本で生まれました。
Vtuberのターゲットはどのような内容でも性別でもおそらく18~26歳ぐらいではないのかと思います。
過去に富士葵さんが「あおい`sきっず」というチャンネルを開設し、子供をターゲットに動画を投稿していたことがありましたが、2018年10月8日を境に動画投稿が止まっていることから、この試みは失敗であったということができるでしょう。
現在では株式会社アカツキがかわいらしい熊のVtuberが主役の「クマーバチャンネル」を開設し子供をターゲットにした動画を投稿していますが、子供向けに動物をモチーフにしたモデルが動いて喋る動画なんてVtuber流行以前からYouTubeにありふれていましたから、いくら定義がなく名乗ったもの勝ちのVtuberとはいえ、これをVtuberとしてカウントするのはどうなのかと思うわけです。あまりに後付けがすぎるかなと。
あくまでVtuberは日本という土壌で大人相手に第一歩を踏み出したからこそこれほどの広まり方をしたのです。

③にある通り、ニコニコ動画にて「二次元のバーチャルアイドルを『プロデュース』する」風潮が生まれたのが意外と気づかれていない、Vtuberヒットを考える際の重要項目であると私(京野)は考えています。
もしアイドルマスターが存在しなかったら、もし初音ミクが存在しなかったら、Vtuberが生まれることはなかったでしょう。
Vtuberもナユタン星人さんの「ダンスロボットダンス」をはじめとして数多くのMAD動画が制作されました。
場所はYouTubeでも、全盛期ニコニコ動画の流れ、「創作の連鎖」がVtuberをさらに大きくさせました。

④の共体験がブームとなったこと、成長物語に自らも参画するということがブームとなったことはVtuber誕生を後押ししています。
黎明期登場のVtuberは動画でファンを獲得し、配信でコメント欄を通して共体験を提供し、チャンネル登録者数や継続〇周年でファンに成長を肌で感じさせ、リアルイベントで感動させています。最近のVtuberは動画のところをかなりすっとばしていますが。
Vtuberの動画を視聴している、さらにはリアルイベントに参加しているという方は、そのVtuberを観ている以上に「応援している」という気持ちが強いのではないでしょうか。
Vtuber業界は生まれたてほやほやで、業界を支えているのは吹けば飛んでしまいそうなベンチャー企業やモチベーション一つでやめてしまうような個人勢です。
そのような不安定な基盤だからこそ、「俺たちが応援しなければ」「支えなければ」という感情が生まれるわけです。
そしてそのVtuberを支えるファンのほとんどがニコニコ全盛期やYouTube黎明期を知る、盛り上がりを消費してきた世代であります。
こうしてVtuberはヒトとヒトのコミュニティー価値に貢献し、エンターテインメントとして認められることができました。

そして⑤の世に出したキャラクターを柔軟に変化させてもいい、むしろそのほうがファンは喜ぶという結果は、世間にオタクが「Vtuberを受け入れる準備ができましたよ」と告げたことにほかならず、Vtuber誕生の決定打です。
Vtuberは個人勢なら自分が首を縦に振れば、企業勢ならプロデューサーが首を縦に振れば簡単にキャラクターを変化させることができます。
アニメやゲーム、漫画のキャラクターにはできない(できたとしても時間がかかる)変化、ユーザーの反応をすぐに活動に反映できるという即効性がVtuberの売りの一つです。
Vtuberは生まれてきた姿のまま愛され続けているというケースは少ないように見受けられます。
かつての四天王も現在のにじさんじやホロライブたちも、動画や配信のなかでファンに受けるポイントを探し、柔軟に変化したからこそ受け入れられたのです。


④最後に

デジタルコンテンツはプロモーションメディアとなりました。
Twitterのように人々の口コミは気軽に広がり、勝手に盛り上がります。
現代ではデジタルの力を借りることで「流行すること」の価値がどんどん下がっていっています。

その反面、任天堂社長古川俊太郎さんが「ユーザーの飽きのスピードが年々上がってきている」と語っているように「維持をすること」の難易度は格段に上がってきています。
世の中には、特に日本にはエンターテインメントが数多くあふれているなかで、Vtuberが選ばれ続けるためにはどのような要素が必要なのか。

任天堂社長古川俊太郎さんは続いて「選ばれるためには従来と違っていることに価値がある。必要なのは独創の精神と柔軟に変わり続けること」と語っています。
Vtuberは柔軟に変わり続けることができる存在でありますから、欠けているのは独創の精神ということになります。
考えてみればVtuberだからできることとはなんでしょうか。
むしろYouTuberなどと比べてできないことのほうが多いと思います。
Vtuberだからできることもなければ、Vtuberだからこそできるマネタイズもない。
VtuberはVtuberなのにVtuberであることを活かせていないというのがVtuber業界の抱える最も大きな課題ではないでしょうか。

独創性をもってしなければこの閉じコン化してしまった現在のVtuber業界を打開することはできないと考えています。      



最後に一つだけ…

私はバーチャルアナウンサーとしてYouTubeで現在はチャンネル登録者100人を目指し活動しています。
競馬や野球に関する動画を投稿しております、おすすめ動画を数点貼っておくので、もしよければYouTubeにも遊びに来てください。

https://youtu.be/0kDe6Wexxrw

https://youtu.be/7bbGpbCtNjo

https://youtu.be/arKQeGNNGLo

https://youtu.be/1sdQLsNBPR0

それでは次回のnoteでもお会いできれば幸いです。

㊟ハート形のボタンを押すと、私の好きな曲のうちひとつがランダムで表示されます。皆さんの知っている曲は出てくるかな?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?