「もぅ嫌だわ。。。怖すぎる…。」
臆病者のワシは当たるも八卦当たらぬも八卦…
と知りながらもこの先を拒んだ。

「大丈夫大丈夫…。じゃ、つぎイクぞ…。」
毎回同じように "気" を込めて数回シャッフルし
たのちにワシにカードを手渡す。。。

しかたない…素人でナンの知識もないワシ等が
いくら "気" を込めようとこんないい加減なやり方でマトモな結果が出るわけなかろう…。
言い聞かせてカードを引いた。。。

◎すこし未来のカード　ソードの６　正位置

仕事の移動、転職、引っ越し
キーワードは　新たな旅立ち

「なんやねん！…。。。」
おどけた言葉に彼の落胆が伺えた。。。

引っ越し…。。。
その文字にワシは他人事ならぬ苦痛を感じた。

ワシは下戸だが、彼は飲んべえだ…
むしろ完全なアルコール中毒者であるが本人は認めようとはしない。
毎日飲みながら常連さん達とウィットに富んだ会話をこなしながらお客様の意見には逆らわない…。
それでいて若年者達には歳上を敬うような言いまわしをする。
そして高級料理店に引けをとらない料理を提供する。庶民的な値段でだ…。
小さな会社の社長さん連中に人気のお店だ。

彼の子ども達もまた優秀なようで…
片田舎でも屈指の高校に進学している。

その昔彼と教育論とか子育て論まではいかないが
子ども達に対する躾について交わした事がある。

ワシは子ども達には殆ど叱ることはしないし
実際叱らなければならないような時を目の当たりにしたことがない。

彼は違うらしく声を荒げて叱るときがあるらしい。
しかもその理由が…。。。
オレ(彼自信)が恥ずかしい思いをしてるだろ…。
と言うことだった。
ワシに言わせれば、キミの親御さんはもっともっと恥ずかしい思いをしてたはずだがね…。。。だ。

まあ、それは置いておくとして。

ワシも彼も辱しめな事象にはことさら敏感だ…。
ましてや子ども達に厳格な彼の事なら尚更であろう

ワシも彼も自死に対しては否定的だ…。。。
言葉ではわかりきっている…。
ましてや彼は接客業が長いので自死の幾つか話は聞いたこともあるし
同級生ですら自死をしている。。。
そんな人に限って人柄も評判も好い人ばかりだ。
欲深く、オレオレとした自己中心的な性格の人は、
自らの命を…ナンて話はほとんどで聞かない。

現状を嘆く彼は
自ら生命を絶つほどの勇気はないから
彼曰く毎晩毎晩べろんべろんに酔って身体壊して
とっととこの世をオサラバしたい。。。と

そんな時にワシはいつも言う…。
「この世が地獄ならあの世も地獄だぞ…。」
「どうせ死ぬなら申し訳ない気持ちを持つよりも、
　感謝の気持ちで死にたいね。。。」

彼に言いながら自分にも強く言い聞かせていた。
ワシはどうしても逃げて背中にキズを負うよりも
正面にキズを負ってコト尽きたいな。。。
だってワシは誰よりも臆病者だからね。。。