見出し画像

【エッセイ】彼と仲良くしたいならイタリア人になれ

私と彼氏は仲が良い。
彼は温厚な性格でめったに怒らない。それが仲良くいられる一番の理由だと思うが、それ以外の理由は何だろうと考えた。

まず、お互い小言を言わない。

あ、ちょっと嘘。私は家事のことで言ってしまう。でも、夫婦間でよくある「許せない家事の不満」とか「生活の価値観に対するズレ」とかはない。人間完璧じゃないから、合わないことがあっても大目に見る。

それに、ふたりともマイペースな性格かつ怒られたくないから(特に彼が)、ちくちく言わないようにしている。

お互いの趣味を否定しない。

趣味が全く違うと話の合う・合わない問題が持ち上がるが、うちに関しては皆無。趣味が違いすぎるから、相手の趣味に興味がない。「楽しそうで良かったねぇ」という感じで見ている(特に彼が)。

どちらかの趣味を強要しない。

以前、私がどうしても行きたかった美術展に彼に付き合ってもらった。彼は美術展に行くのはお初だったらしく、もしかしたらこれを機にアートに対して目覚めるのではと淡い期待をもっていた。

しかし、彼は心底つまらなくて、先に会場を出た。
それに対しては全く怒りはなかったけど、もう2度と一緒に行くものかと思った。
強要するなんてもってのほか。デートなのにストレスが溜まってしまう。

食の好みが似ている。

ふたりとも飲み食い大好き。
家で飲んでると、ふたりして良い気分になっちゃって、調子のってカップラーメンとか食べちゃうもんね。以前はよく彼が納豆オムレツを作ってくれた。そういえば最近作ってくれないなぁ。

私に合わせてくれる。

これも大きい。旅行や特別の日の食事は、私に合わせてくれる。
あと、時間の使い方を理解してくれるのも助かる。フリーランスと会社員カップルの私たちは時間の流れ方や使い方が違う。特に、私が特殊で昼夜逆転になってしまうんだけど、彼は文句を言わない。

合うところは合うけど、合わないところは合わない。
合わないからといって押し付けることもしない。

多分これが仲良くやってる秘訣なのだけど、もう一つ思い出した。

それは、おふざけだ。

「ほんと恭子って、イタリア人みたいだよね」

以前彼にそう言われた。
イタリア人と言われた所以はこうだ。

機嫌が良い時は鼻歌を歌い、会話中に面白いフレーズがあれば連呼し、テンションが高くなるとその時の気持ちを即興で歌い始める。

愛猫への愛情表現と名打った「ラブラブチュッチュダンス」など、いきなり踊ることは日常茶飯事。テンションが上がりすぎると彼に「面白いこと言って」「あのモノマネやって!」と無茶ぶりをする。

要は、家にいるときは大抵ふざている女なのである。

▼ラブラブチュッチュダンスとは▼

前に観たスペシャルドラマで、「イタリア人は歌って踊って恋をする」と言っていたのを覚えていたらしく、まさに私みたいと思ったらしい。

いきなり歌って踊って、モノマネを無茶振りするなんてかなり迷惑で痛い女だけど、彼はそんな陽気な私を見て笑っている。陽気なイタリア人気質によって笑いが生まれているのは間違いない。

もちろん、思いやりや譲り合い、協力し合う姿勢も大切だけど、適度なおふざけは周りを笑顔にするからすごく良いと思っている。ふざけるって、なんだかダメなことのように感じるけど、何でもない毎日を楽しくするスパイスになると思うのだ。

何よりも、相手が笑ってくれたら、こちらも無条件にうれしいし楽しくなるじゃない? おふざけはパートナーシップを育む上で実はとても重要だと個人的には思っている。真剣に。

イタリア人になったつもりでふざけてみると、意外にもパートナーから面白くてかわいいと思われるかもしれない。

たまには理性も何もかも取っ払って、ふざけて過ごすのも良いと思う。
彼や夫、パートナーと不仲な人はぜひ一度イタリア人になってほしい。

と偉そうに言ったが、私は一度もイタリアに行ったことがない。知り合いにもイタリア人はいない。



この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?