お世話になっております。おせつときょうたの小さい方のきょうたです。

覗いて頂いてありがとうございます。普段、文章は月額制のオンラインサロンの方に書いておりまして、それが1000円かかるので、見て頂くお客様にも、たくさん見て頂きたい僕らにもなかなかの高さのハードルとなっている気がします。（そんな中、ご登録頂いている皆様、本当にありがとうございます。価値を感じて頂いてとても嬉しいです。）

そこで、noteなら書いている芸人さんも多いし、無料の記事、有料の記事の使い分けもあり、また単発での読みものとしても楽しんで頂きやすいのかなと思い、今回の試みです。

昨年の7月からオンラインサロンを始めて、一年間、たくさんの文章を書かせてもらいました。その中から、会員登録して頂いている方にアンケートを取らせてもらって、特に印象に残っている記事などご意見を頂きました。

人気の記事をnoteで少し公開させてもらい、興味関心を持って頂けたらこれ幸いだと思いまして！noteは拡散もしやすいですし、お試し頂いて、少しずつハードルを超えていけたら、めちゃくちゃ嬉しいです。笑

オンラインサロンの月額には別のリターンの要素も含まれているので、文章単体での販売ということでも、どれくらいご購入頂けるものなのか、とても気になっております。

なんとなく毛色の違う文章（ブログっぽいの、エッセイっぽいの、非公開という形式で書きたいものなど）を以下、5本ほど載せさせて頂きます。

このまま読み進めて頂ければ幸いです。

①荻窪のカメちゃん、②新衣装、③パパ、④セールスポイント、⑤香盤

よろしくお願い致します！！！

①【荻窪のカメちゃん】2020.6.20

先日、知り合いが美容師デビューするというのでカットしてもらいに荻窪に行った。

美容師さんは元芸人さんの奥さんで、名前はカメちゃん（仮名）。
当時よくライブを見にきてくれていたので、打ち上げなどでよく一緒になって飲んでいた。
カメちゃんは九州から出てきた女の子で、しっかり訛っていた。
明るく元気で、声が大きく、酒焼けのようなハスキーボイス。
芸人ばかりの飲み会なのに、誰よりもはしゃいでは酔い潰れる。そしてなぜか泣く。
芸人殺しとでも言うのか、めちゃくちゃキャラの濃い女の子だった。

あ、思い出した。カメちゃんはその仲間内では最年少だった。
僕が二番目に若かったから仲良くなったんだ。
あの頃、先輩ばかりの飲み会でも僕が大はしゃぎできたのは、最年少ながら、もっともっと濃く大はしゃぎするカメちゃんの存在があったたからかもしれない。そうだ、あいつ最年少だったんだ。なんてやつだ。

カメちゃんは、ある日、旅に出た。
インドやオーストラリアを数年間渡り歩いていた。
帰国して間もなく遠距離恋愛を続けていた元芸人の先輩と結婚した。

「あたし、やっとやりたいことが見つかったんですよ！」
座り心地の良い回転する椅子に座った僕に、クシを片手に鏡越しに話しかけてくるカメちゃんの声は相変わらずのハスキーボイスだった。
そして、声はフロアにいる全員に話しかける人の声量だった。
「カメちゃん、声の大きさ合ってる？僕も引っ張られて大きい声な気がするけど、これ大丈夫？」
久しぶりのカメちゃんとの会話が楽しくて、僕の声もワントーン高かった気がする。
「大丈夫です！チェリーさん（ギネス記録芸人）はもっと大きかったです！」
合っているのか間違っているのかよくわからない返答だったが、フロアにいるスタイリストさんもお客さんもクスクス笑っていたからいいのだろう。

もう美容師を目指して5年が経つと言うカメちゃん。
指導係の大先輩に対しても、腕を組みながら「そのアイデアいいっすね！」と、謎の立ち位置のカメちゃん。
夫となった先輩芸人の惚気話を手を止めてしっかり話してくれるカメちゃん。

「加減どうですか？痛くないですか？」と、頭上から聞こえてくるハスキーボイス。
シャンプーの流れで、どうやら頭皮マッサージをしてくれていたみたいなのだが、全然気づいていなかった僕は正直に答えた。
「痛くもないし、痒くもないし、気持ちよくもないよー」
隣でシャンプーをしていた別の美容師さんが吹き出す。
すぐさま、子どもが駄々をこねるような言い方で、粘っこいハスキーボイスがツッコミを入れる。
「えー、なんで！？じゃあ、わたし、自己満の時間だったんですかー！？ただ無駄に頭皮撫で回してただけー！？え、やば、今までの人も気持ち良くなかったのかな？ショックー！！！」

美容室を出て、エレベーターの前まで送ってくれたカメちゃん。
コロナで遅れたみたいだが、いよいよ7月にスタイリストデビューするとのこと。

人柄が愛されて仕事が増える人、腕前が優れていて仕事が増える人、人の仕事にはその人の人生が映し出される。

僕の髪型は良いように言ったら、崖の上のポニョの宗介みたいになった。