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迷惑かけたって、大丈夫ら。

今回は本紹介。

映画にもなった作品で御存知の方も多いのではないだろうか。


企画とプロデュースは、あの明石家さんまさんである。

天真爛漫な肉子ちゃんとその娘であるキクりんという小学5年生の女子を主軸に繰り広げられるコメディ作品である。

肉子ちゃんは、とにかく「なんで!?」とツッコミを入れたくなるところばかり。いろんな男の人に騙されたり、人の話の意図が全く理解できなかったり、ドジなところだったり、、、だけど、ありのままに、普通に一生懸命生きているのだ。それを本人が自覚しているかどうかはさておき。。。

そして、キクりんもいかにも経験しそうな学校での女子関係、思春期、自我の芽生えなどが描かれている。肉子ちゃんとは違い、自分という存在に自問自答しているのだ。

この物語では、そうした「ありのまま」と「自意識」の対立が、様々な場面で、ユニークな登場人物とともに描かれているのである。そしてその対立が、西加奈子さんの作品の特徴であると言われている。

ところで、タイトルにあるセリフは、物語のクライマックスで、肉子ちゃんが働く焼き肉屋の主人であるサッサンという人が語ったものである。キクりんはある時、入院した。その時、「ごめんなさい。。。」(中略)「自分は望まれて生まれてきたんじゃないから」と言う。それに対してサッサンが一喝。その後、諭すようにタイトルの言葉をかけるのである。そして最後にキクりんにかけた言葉は、

おめさんは、望まれて生まれてきたんだ。

『漁港の肉子ちゃん』の一部より抜粋

である。

この本の帯に「ちゃんとした大人なんて、一人もいない」と書いてある。ちゃんとしたとはどんな人間のことなのだろうか。

人間は、「ありのままに」「自分らしく」と言われることが多い。だけど時には背伸びをしたくなることもきっとある。周りの存在が歪んで見えてしまうこともきっとある。自分という存在が惨めに思えてしまうこともきっとある。

日々過ごす中で、何が正解かもわからないのに「将来をどうしたいか」といった難題を突き付けられることもある。それはある意味では酷なことなのかもしれない。しかし、この物語のようにみんながそれぞれの場所でそれぞれが一生懸命生きていればいいのかもしれない。誰かが自分たちの頑張りを見てくれていることを信じて、、、

そんな風に、気分がほっこりする物語なので、本や映画でぜひご覧いただけたらと思う。


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